新訳 零戦戦記 選ばれしセカイ

俊也

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猛牛、再び。

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「どうだ?ヘリントン?」
ハワイ。オアフ島真珠湾に進出した新生第3艦隊旗艦、モンタナ艦橋。
同型艦アイオワⅡ共々、日本大和級に匹敵する7万トン超弩級戦艦である。
そこで、司令長官ハルゼーに問われたヘリントン。
「基本、順調ですよ。
無論、実戦経験者の絶対数不足という不安はついてまわりますが…それでもこの数ヶ月中堅以下の連中は徹底して鍛え込んでいます。
基本の編隊空戦から、日本人の手練れに格闘戦に巻き込まれても対応できる空戦術まで…。
あのベアキャットの性能を少しでも引き出せるように…」
「ふむ。素晴らしい。流石だな。」
葉巻をくゆらせ、ご機嫌悪からぬハルゼー。
(ああん?提督はあんな肺活量一杯に葉巻を…。
肺癌になっても仕方ないね。)
などと思いつつヘリントンは、サシでハルゼーに報告と雑談をした流れで、艦隊司令部幕僚達のミーティングに参加することとなる。

カーニー参謀長がその場を仕切る。
「まずは、日本機動部隊の勢力と動きですが、情報で把握できる限りの新造艦の情報と、新鋭機の配備状況等から見ますに…。」
まずは、日本連合艦隊におけるそれの裏返しのような説明が入る。
「艦載機だけでも優に2倍強。」
「敵のマリアナ基地航空隊は、こちらのBー29を決戦に合わせ大量投入出来る。」
「厄介な新鋭ゼロも、奴らの工業力では手に余り、完全に前線分の更新とはいかないようだ。つまり奴らさえ抑えれば。」
「このモンタナ級2隻と併せて、我が方の圧勝だな。」
ははは…。

…?
珍しく黙って、我らがハルゼー閣下が腕組みをして考えこんでいる。
「提督、なにやら懸念がお有りですか?」
「うむ…。パールハーバーでも、前回海戦でも、奴らは空母機動部隊の集中運用という新たな戦術で、我が方に痛撃を与えた…。
一見そう見せて、最終的には水雷戦隊、そして戦艦部隊による砲撃戦…。
なにやら結局、我々もジャップも同様のドクトリンとして一種共有していたクラシカルな艦隊決戦の概念をなぞっているように思える。」
「確かに…言われてみれば…。」
と言う事は今回も航空兵力以外のの切り札が?
「が、いくらこちらの通商破壊が効いているとは言え、今回配備確実と見られていた、大和級3番艦が確認されていない。
もし艦隊決戦を望むなら、奴らは万難排しても建造を間に合わせた筈。
正規空母も、2.3隻と言わずもう少し上乗せ出来たと思うんだが。」
カーニーら幕僚達も考え込んでしまう。
彼らは中国戦線から徴兵した熟練工等を少なからず本土に戻してまで、後方の生産支援体制を強化している。
その気になればもっと主力艦の質も量も…。
「無論、疑心暗鬼になって腰が引けちまうのは俺様の流儀ではない。
それならそれで、マリアナの基地航空隊ごと容赦無く、速攻で正面から粉砕するまでだ。
が、諸君は、動き続ける状況からあらゆる可能性を考え続けてくれ!」

イエスサー!!

まぁ、これらの分析もレイ…現在機能回復訓練中のスプルーアンスの受け売りなんだがな…。






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