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接近
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ワシントンD.C. ホワイトハウス
「日本も思い切った賭けに出てきたものですな。」
ハル国務長官が慨嘆した。
「それだけ、じわじわと我々の潜水艦等での通商破壊が進んでおると言う事であろうか?」
ルーズベルトの問いに…
キング海軍作戦部長が深く頷く。
「ここ数ヶ月は、日本も新型哨戒機を投入する等の対処で、一種いたちごっこになっておりますが…。
明らかに日本本土への石油等の輸送を妨害出来ておるのは確かです。
恐らくは今回出撃すれば、年内は大規模作戦は不可能でしょう。燃料事情的に…。」
「なるほど、こちらからのボディブローは効いているというわけだな。
そして、肝心の我が方の戦力は?」
「はっ、第38、58任務部隊合わせ、エセックス級空母12隻、前回ミッドウェイ時の損害補修を終えたエンタープライズ。
合計13隻の正規空母に実働作戦機1280機となります。
これにアイオワ級新鋭戦艦6隻、ポートランド級重巡14隻が加わります。」
「うむ。陸軍の方は?」
スティムソンが答える。
「地上戦力は15万。装甲車両600両。航空戦力はB-29 110機。戦闘機は740機です。」
「航空戦力は、陸海軍トータル2000機を超えるか…それならば。」
「はっ。敵作戦機は、多めに見積もっても800機程度。」
「うむ。余程の過誤、慢心が無ければ我々の勝利は動かぬな。
陸海軍協調と、作戦のすり合わせを怠らず。ここで戦争の帰趨を決することが出来るように。」
御意!!
一方、こちらはハワイ太平洋艦隊司令部。
「任務部隊を統合ですか?」
「ハルゼー提督を司令官、スプルーアンス閣下を副司令に?」
いぶかしむ参謀達に、ニミッツは頷く。
「無論、両名の了承は得ている。
元々、慣熟訓練の都合上任務部隊を2分していただけで、本来の形に戻したとも言える。」
「…無論連中を迎え撃つのに兵力集中…。
と言うのは理解できますが、実質同格の提督同士を同じ艦隊の首脳に据えると言うのは…。」
「懸念は判る。
しかし、あの2人ならば。
あの2人だからこそ大丈夫なのだ。
これは、私が保証する、と言う言い方も変だがね…。」
「かしこまりました、そこまで仰るのでしたら…。」
「小官も異議はありませぬ。」
そして…。
太平洋艦隊の基幹を成す2大機動部隊は、4月7日払暁、物理的にも指揮系統的にも合流を果たした。
戦艦ニュージャージーに、スプルーアンスは乗り込む。
新生「第51任務部隊」総司令のハルゼーに敬礼。
「インディペンデンスより、当然ながらゆったりとしているね。」
「フン、無駄にデカいだけだ。
ただまあ、こいつは戦艦の割には足が速く、レーダーも通信能力も充実しているからな。
『移動指揮所』として都合が良いだけだ。
それよりレイ、早ければ激突は明日の朝になりそうだが、俺が頭に血が上って間違いかけたら、宜しく頼む。」
「自信はないが、ベストを尽くすよ。」
ニュージャージーの周囲には、正規空母13隻。
その壮観さは、アメリカ合衆国の偉大さを示すものとなるかどうか。
「日本も思い切った賭けに出てきたものですな。」
ハル国務長官が慨嘆した。
「それだけ、じわじわと我々の潜水艦等での通商破壊が進んでおると言う事であろうか?」
ルーズベルトの問いに…
キング海軍作戦部長が深く頷く。
「ここ数ヶ月は、日本も新型哨戒機を投入する等の対処で、一種いたちごっこになっておりますが…。
明らかに日本本土への石油等の輸送を妨害出来ておるのは確かです。
恐らくは今回出撃すれば、年内は大規模作戦は不可能でしょう。燃料事情的に…。」
「なるほど、こちらからのボディブローは効いているというわけだな。
そして、肝心の我が方の戦力は?」
「はっ、第38、58任務部隊合わせ、エセックス級空母12隻、前回ミッドウェイ時の損害補修を終えたエンタープライズ。
合計13隻の正規空母に実働作戦機1280機となります。
これにアイオワ級新鋭戦艦6隻、ポートランド級重巡14隻が加わります。」
「うむ。陸軍の方は?」
スティムソンが答える。
「地上戦力は15万。装甲車両600両。航空戦力はB-29 110機。戦闘機は740機です。」
「航空戦力は、陸海軍トータル2000機を超えるか…それならば。」
「はっ。敵作戦機は、多めに見積もっても800機程度。」
「うむ。余程の過誤、慢心が無ければ我々の勝利は動かぬな。
陸海軍協調と、作戦のすり合わせを怠らず。ここで戦争の帰趨を決することが出来るように。」
御意!!
一方、こちらはハワイ太平洋艦隊司令部。
「任務部隊を統合ですか?」
「ハルゼー提督を司令官、スプルーアンス閣下を副司令に?」
いぶかしむ参謀達に、ニミッツは頷く。
「無論、両名の了承は得ている。
元々、慣熟訓練の都合上任務部隊を2分していただけで、本来の形に戻したとも言える。」
「…無論連中を迎え撃つのに兵力集中…。
と言うのは理解できますが、実質同格の提督同士を同じ艦隊の首脳に据えると言うのは…。」
「懸念は判る。
しかし、あの2人ならば。
あの2人だからこそ大丈夫なのだ。
これは、私が保証する、と言う言い方も変だがね…。」
「かしこまりました、そこまで仰るのでしたら…。」
「小官も異議はありませぬ。」
そして…。
太平洋艦隊の基幹を成す2大機動部隊は、4月7日払暁、物理的にも指揮系統的にも合流を果たした。
戦艦ニュージャージーに、スプルーアンスは乗り込む。
新生「第51任務部隊」総司令のハルゼーに敬礼。
「インディペンデンスより、当然ながらゆったりとしているね。」
「フン、無駄にデカいだけだ。
ただまあ、こいつは戦艦の割には足が速く、レーダーも通信能力も充実しているからな。
『移動指揮所』として都合が良いだけだ。
それよりレイ、早ければ激突は明日の朝になりそうだが、俺が頭に血が上って間違いかけたら、宜しく頼む。」
「自信はないが、ベストを尽くすよ。」
ニュージャージーの周囲には、正規空母13隻。
その壮観さは、アメリカ合衆国の偉大さを示すものとなるかどうか。
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