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短期決戦に向けて
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だが…やはりな。
先日の陸軍情報将校と、そして中村のルートから入手した情報。
米国本国では、2000馬力級の新鋭海軍戦闘機が初飛行、及び各種テストに入ったらしい。
予想内だが最悪の部類だな…流石はアメリカ。
更には新鋭高速空母の大量建造開始。
翔鶴級をも遥かに上回る規模の空母が、10隻、15隻という単位で、日本近海に肉薄してきたら…考えるだに恐ろしい。
やはり中部太平洋方面の作戦…急がないとな。
山本長官や源田さんが考えているのとは違う方向で。
そう考える中、ポートモレスビー、更にはニューギニア方面の制海権、制空権を巡り、またオーストラリア政府の催促もあり、アメリカは虎の子の空母ヨークタウン レキシントンを基幹とするフレッチャー少将率いる第17任務部隊を派遣する。
それに対し日本連合艦隊は、艦、人員ともローテーション的に休養が必要との久保参謀の進言もあり、今回は第5航空戦隊の空母、
翔鶴、瑞鶴を基幹とする機動部隊で対抗する。
1942年(昭和17年)4月15日
「海戦史上初の空母対空母の対決」
世に言う珊瑚海海戦が生起するということとなる。
「あーもう、あいつらバッカじゃないの!?」
ホルテンブルグ中尉ーカリンは毒づく。
日本の機上電話はまだ使い物にならない。
だがカリンは、僚機達には
「アタシの背中を離れずに!突っ込む時は一緒に!!」と念を押して置いたはずなのに…。
いざ戦闘ー味方艦隊を護る為の防空戦ーになると…皆思い思いに敵機を追い回してしまう。
編隊空戦、と言う概念が今までなかったから仕方ない。
大体ロクな機上電話もレーダーも無い時点で…。
…とは言っても、部下達も含め、日本海軍の荒鷲達の「個の力」は圧倒的であった。
単機で2.3機撃墜は当たり前、なんなら獲物の取り合いになるくらいに…。
こう思い巡らす自分自身も4機目を喰う。
見渡す限りでは、我が空母に目立った損傷なし。
あとは、こちら側で送り出した攻撃隊か…。
「ほう、また命中か、あっちの奴は持たんな。」
アメリカ機動部隊上空。
爆発炎上する空母レキシントンを見下ろし、独りごちるのは、空母瑞鶴の零戦搭乗員が1人、岩本徹三飛曹長であった。
もう周辺空域には、まばらな程しか敵戦闘機はいない。
今日は3機は食ったか。
空母の片割れ(ヨークタウンか?)は大破はしているが、撃沈に追い込む前に我が艦爆、艦攻隊が打ち止めか…。
まあ上出来であろう、重巡も2隻沈めたとのことであるし。
ここまですんなりと、迷走なく敵主力を発見、最短で攻撃できたのも、潜水艦群を一時的にこちらに回し哨戒させたり、例の零戦の偵察機化など、徹底した索敵、情報重視あってのこと…。
原提督の発案ではないな…。
連合艦隊の方にも、どうしてキレる奴がいるではないか。
艦艇の損害に加え、米第17任務部隊はまたも貴重な航空戦力148機を喪失することになる…。
日本側も47機喪失。しかし零戦はわずか4機であった。
ポートモレスビー確保を巡る戦いの主導権は日本が握る事となり、オーストラリアへの圧迫はますます増すこととなり、連合艦隊は当面は中部太平洋方面の攻め口に集中できることとなる。
先日の陸軍情報将校と、そして中村のルートから入手した情報。
米国本国では、2000馬力級の新鋭海軍戦闘機が初飛行、及び各種テストに入ったらしい。
予想内だが最悪の部類だな…流石はアメリカ。
更には新鋭高速空母の大量建造開始。
翔鶴級をも遥かに上回る規模の空母が、10隻、15隻という単位で、日本近海に肉薄してきたら…考えるだに恐ろしい。
やはり中部太平洋方面の作戦…急がないとな。
山本長官や源田さんが考えているのとは違う方向で。
そう考える中、ポートモレスビー、更にはニューギニア方面の制海権、制空権を巡り、またオーストラリア政府の催促もあり、アメリカは虎の子の空母ヨークタウン レキシントンを基幹とするフレッチャー少将率いる第17任務部隊を派遣する。
それに対し日本連合艦隊は、艦、人員ともローテーション的に休養が必要との久保参謀の進言もあり、今回は第5航空戦隊の空母、
翔鶴、瑞鶴を基幹とする機動部隊で対抗する。
1942年(昭和17年)4月15日
「海戦史上初の空母対空母の対決」
世に言う珊瑚海海戦が生起するということとなる。
「あーもう、あいつらバッカじゃないの!?」
ホルテンブルグ中尉ーカリンは毒づく。
日本の機上電話はまだ使い物にならない。
だがカリンは、僚機達には
「アタシの背中を離れずに!突っ込む時は一緒に!!」と念を押して置いたはずなのに…。
いざ戦闘ー味方艦隊を護る為の防空戦ーになると…皆思い思いに敵機を追い回してしまう。
編隊空戦、と言う概念が今までなかったから仕方ない。
大体ロクな機上電話もレーダーも無い時点で…。
…とは言っても、部下達も含め、日本海軍の荒鷲達の「個の力」は圧倒的であった。
単機で2.3機撃墜は当たり前、なんなら獲物の取り合いになるくらいに…。
こう思い巡らす自分自身も4機目を喰う。
見渡す限りでは、我が空母に目立った損傷なし。
あとは、こちら側で送り出した攻撃隊か…。
「ほう、また命中か、あっちの奴は持たんな。」
アメリカ機動部隊上空。
爆発炎上する空母レキシントンを見下ろし、独りごちるのは、空母瑞鶴の零戦搭乗員が1人、岩本徹三飛曹長であった。
もう周辺空域には、まばらな程しか敵戦闘機はいない。
今日は3機は食ったか。
空母の片割れ(ヨークタウンか?)は大破はしているが、撃沈に追い込む前に我が艦爆、艦攻隊が打ち止めか…。
まあ上出来であろう、重巡も2隻沈めたとのことであるし。
ここまですんなりと、迷走なく敵主力を発見、最短で攻撃できたのも、潜水艦群を一時的にこちらに回し哨戒させたり、例の零戦の偵察機化など、徹底した索敵、情報重視あってのこと…。
原提督の発案ではないな…。
連合艦隊の方にも、どうしてキレる奴がいるではないか。
艦艇の損害に加え、米第17任務部隊はまたも貴重な航空戦力148機を喪失することになる…。
日本側も47機喪失。しかし零戦はわずか4機であった。
ポートモレスビー確保を巡る戦いの主導権は日本が握る事となり、オーストラリアへの圧迫はますます増すこととなり、連合艦隊は当面は中部太平洋方面の攻め口に集中できることとなる。
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