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鉄槌、パールハーバー

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まず最初に狙われたアメリカ大型艦は、ようやく湾外退避の為主機を起動した、戦艦アリゾナであった。
800kg徹甲爆弾の水平投下をもろに第一砲塔に受け、直下の弾薬庫誘爆、真っ二つに艦体が折れ轟沈!
この光景はアメリカ将兵に開幕から甚大な精神的ダメージを与えた。
そして、最初に湾外に逃れようとしていた戦艦ネバダ。
「危ねえ、逃すわけにはいかねえな!」
村田重治少佐率いる97式艦上攻撃機、6機の編隊が海面を這い、浅深度用の特注魚雷を叩き込む。
6本の内4本がネバダの左舷に命中。
内一本は計ったように舵とスクリューを破壊し、傾斜も相まってネバダはよりによって湾口を塞ぐ位置で立ち往生してしまった。
「よおし、これで湾外には逃げられない。
貴様ら気張れよー。食い放題だ!」

カルフォルニア、ウエストバージニア…。
偉大なるアメリカ太平洋艦隊の中核を成す戦艦群が、次々と日本海軍雷爆撃隊の猛攻に、なすすべもなく蹂躙されていく。

おかしい、こんなことは許されない。

太平洋艦隊司令部の窓から、キンメルは呆然と立ち尽くし、眼前の地獄絵図を眺めていた。
「各島の航空基地が襲撃を受け、迎撃担当のPー40が離陸前に破壊されつつあります!」
そんな報告も頭の中で虚ろに響くのみ。
我々は日本艦隊の接近を察知していたのだ。
そして万全の体制で迎撃を…。
だのに、想定より1時間早く、ありえない飛行距離からの攻撃。
あらゆる要素で最悪のタイミングで…。
どこで間違えた…?

その時、目の前を低空で通過する…味方陸軍のPー40戦闘機。
それに後方から食いついていくのは…。

あれだ。

敵の新型戦闘機!
戦闘機にはあり得ない航続距離。
それで全ての計算が狂った。
勝手に我が海軍のF4Fより上回ることはないと高をくくり、それ基準で攻撃時刻を予想して…決めつけてしまっていた。
艦隊の湾外退避が遅れてしまったのも、こちらの防空能力を過信したのに加え、あまり早朝から大掛かりな艦隊行動を起こすと地元住民が動揺するのではと余計な気を回してしまった事が原因…。
そして、あの戦闘機の性能。
翼を折られて墜ちるPー40。
航続距離だけではない。純粋な空戦性能も…下手すればドイツのメッサーシュミットより上では?

甘かった…舐めていた。
日本海軍…いや日本人を。
いつから我々は思い込んでいた。
日本人の作る飛行機など所詮欧米の猿真似。
パイロットの腕も二流三流。

大嘘ではないか!

あの戦闘機だけではない。
艦爆も艦攻も、針の穴を通すような技量で爆弾、魚雷を目標に叩きつけていく。
勇猛さも含め…。
我が海軍のパイロット達に、あんな真似が出来るか…。

終わったな…。
私の海軍軍人キャリアも、そしてもしかしたらアメリカ海軍の栄光も…。




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