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昼、救助隊、民家の防衛戦5
しおりを挟む救助隊
小久保ひきいる救助隊は、梅柄台の民家に向かっていた。竹棒を手に前衛三名、中衛三名、後衛三名の編成である。
三メートル程度の長さの竹棒を担いで、三名で並ぶと道路いっぱいになる。
一体のゾンビが、ふらふらとやってきた。
「構えろ」
竹棒を垂直に構える。
ゾンビが両手を前に出し、向かってきた。
訓練は十分にやってきた。実戦でも使ったことがある。
「打て」
腰を落とし、三メートルの高さからアルミの筒が打ち下ろされる。
竹のしなりと筒状のアルミと腕力、ゾンビの頭は割れた。
ゾンビは前のめりに倒れる。倒れたゾンビを念のために殴打する。
音に気づいたのか、曲がり角からゾンビが何体かあられる。
待ち構える。
射程距離に近づいた瞬間、一斉に叩きつける。
ぞろぞろとあらわれるゾンビを一体一体、処理していく。
「周辺を警戒しろ」
小久保は手応えを感じた。
民家
「二十人規模の救助隊が組まれたそうだ」
無線で連絡をした堀田が言った。
「どうやって、ここに来るの?」
輪子が言った。
「竹棒で付近のゾンビの数を減らしながら来るそうだ」
「強引ね」
「ああ、だが、確実な方法だ。どのみちゾンビの数は減らさなきゃいけないからな」
「それまで、もつかしら」
風呂場の窓は壊され、中にゾンビが入り込んでいた。そこはあきらめ、洗面所の扉を釘と板で封鎖した。台所の窓も時間の問題と判断し、台所と居間に通じる扉を封鎖した。野口と里山と道明寺の三人は、つかれきって仮眠をとっている。
洗面所の扉を叩く音と、うなり声が二階に聞こえる。ゾンビの濁った臭いが漂っていた。
「もたせるさ。いざとなれば、電線を伝って逃げればいい」
「屋根の上の太陽光パネルはどうするの。またゾンビが上に乗ったらやっかいよ」
輪子は天井を見上げた。
「屋根裏から、屋根に穴を開けて、パネルを回収できないか」
栗山を見た。
「ああ、できると思うが、護衛を付けてくれ。作業中、屋根に登らなきゃいけないこともあるだろうからな」
「私がつくわ」
輪子が弓を手に言った。
「俺は下を見とくよ。少し、休憩してから作業に取りかかってくれ」
疲れた顔で立ち上がった。
救助隊
救助者のいる民家まで、まだまだ距離があった。
ゾンビを数十体葬ったが、尽きる気配はなかった。
梅柄台周辺は起伏のある緩やかな斜面になっているため、ゾンビに高所をとられないような位置取りを心がけながら移動した。上をとられると、ゾンビは加速して坂道を降りてくるため、脅威度が上がる。
あまり深入りせず、ゾンビの数を減らしながら、救助者のいる民家へ行くルートを探っていた。
疲れも出ていた。メンバーを交代させていたが疲労は蓄積していた。
そろそろ拠点のコンビニに帰ってメンバーを入れ替えようかと小久保が考えていると、ゾンビの一団がやってきた。
「やれやれ、もう一仕事するか」
血に汚れた竹棒を手に言った。
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