おっさんの転生珍道中

dai

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王都の祭は夜もすごく賑やかだ。
出店が沢山あり、其処彼処で陽気な人達が飲んで騒いで踊っている。
夜空には色取り取りな花火みたいなものが上がっている。
セシルに聞くと花火ではなく魔法らしい。
この世界には火薬とかはないのかな?
確か硝石と硫黄と木炭で作れたような気がするが……

そんな事を考えながら歩いているとメルに袖を引かれた。
「どうした?」
「あそこのお店見てもいい?」

メルが指を指した方を見ると雑貨を扱っている店が見える。
「おお、いいぞ」
メルも女の子だからああいう物が好きなんだなぁ。
「ミコも行かなくていいのか?」
ミコ見ると何かソワソワしている。
「ミコも気になるなら見てきてもいいんだぞ」
遠慮しているのか?

「あるじさま、いいのですか?」
ミコは嬉しそうにメルの後を追いかけた。

大樹は店が見える所に座りながら2人の楽しそうな姿を眺めていると、「ほら!」セシルが屋台で買ってきた酒とツマミを渡してきた。

「サンキュー!気がきくね~」

「まぁな!小遣いも貰ったしな!」
セシルと2人でミコとメルの楽しそうな姿を眺めながら乾杯をした。

たまにミコとメルがこちらを見て手を振って楽しそうだ。

「ダイキ、メルを届けた後はどうするんだ?もしかしたら北のトランスにメルの親族がいるんだろ?」

ん~いきなりそんな事を言われてもメルを届けた後の事は考えてなかった。
そもそも異世界に来たのも別に目的があった訳ではない、さて、どうしたものか……

「まだ、何も考えてないんだよ。セシルはどうするんだ?」

確かセシルは王宮の魔術士になりたかったんだよな?

「俺か?俺はダイキと会ってお前のぶっ飛んだ力を見てからお前といるのも悪くないと思っている」

ぶっ飛んだって……

「だからダイキがしたい事を一緒に見たいかな。お前といると色々起きるから飽きないしな!」

色々起きるのは俺の称号のせいです。

「そっか。俺はセシルがいると助かるからありがたいけどな。まずはメルを届けてから考えるよ。本当は楽しくのほほんと暮らしたいんだけどな!」

「ダイキらしいな!」

そんな話をしていると、ミコとメルが帰って来た。
「あ~お兄ちゃん達だけズルイ!」
「あるじさま、私もお腹空きました」

「はいはい、それじゃみんなで飯にしようか」

大樹達は晩飯を食べ、祭を楽しんだ。

「ふぅ~食ったな!」
「もう、食べられないです」

「もう遅いから宿に戻ろうか」
メルも眠たそうだし俺も疲れた……

「俺はもう少しぶらぶらするからダイキ達は宿に戻っててくれ」
セシルは凄い笑顔でウインクした。

出た!久々のウインク。あいつ色街に向かう気だな……羨ましい。

「チッ刺されちまえ!」

「はいはい、焼かない焼かない」

セシルと別れ宿に戻り、クリーンをかけメルを寝かせた。
「ミコ、祭は楽しかったか?」
「あるじさま、凄く楽しかったかです。それであるじさまにプレゼントがあるんですけど、貰ってくれますか?」
ミコは上目遣いで俺を見ている。
「あるじさま、目を瞑ってください」

え?……もしかして、ゴクリ

ミコは大樹の手を取り……

…ドキドキ

……あれ?

………おかしい

…………ん?手の中に何かあるぞ。

「あるじさま、目を開けてもいいですよ」

目を開け手の中に綺麗な石が嵌め込まれたネックレスがあった。
ネックレスを見て大樹は恥ずかしくなり顔が赤くなるのがわかった。

だ…だよな……うん……ないない

「その石は持ち主に幸運を運んでくれる石みたいです。お店の人が教えてくれました」

ネックレスの石の部分を指で持ち、覗いてみた。
石は青く透き通って少しだけ光っている様にも見えて綺麗だ。多分魔力がある石なんだろう。

「ミコありがとうな!大事にするよ」
ミコに笑顔でお礼をしたら、ミコも嬉しそうだ。

宿でそんなやりとりがあった頃セシルは……

鼻歌を奏でながら王都の街を歩いている。
おっ!あそこの子かわいいじゃん。

いや~子守も嫌じゃないが、夜はやっぱりワクワクするな。
ダイキには悪いが夜を満喫させてもらおう。金もそこそこあるし夜の蝶が俺をまってるぜ!うへへへ、ヨダレがでそうだってか……

セシルは大通りからひと気の少ない裏道の方に向かった。
だいたいの街では色街は決まってひと気のない場所に多い。

おっ!あるある、結構な数の店があるじゃないか。流石王都!

「そこのお兄さん寄ってかないかい?」

「うちの方が可愛い子いるよ!」

色々な所からお誘いを受けつつセシルは沢山の店がある為歩きながら凄く悩んでいる。
すると、どこからか女性の嫌がる声がする。

セシルは女性が困っているとすぐ助けてしまう。それはいい事なのだが、若干やましい気持ちも持ちつつ助けてしまうのだから厄介だ。まぁ悪い奴ではないんだけどね。

セシルは声がした方に走り出し、周りを確認した。すると路地裏の方でフードを被って顔が見えないが女性が3人の男達に襲われていた。
「こっちにこい!」
「いや~~!触らないで!」
「うるさい女だな!兄貴少し痛めつけてもいいっすか?」
「馬鹿野郎!先方からは無傷で連れてこいと言われてるんだから、丁重に扱え!」

3人の男達は女性が暴れていて中々連れて行くのに四苦八苦している。
「使えない奴らだ!俺が魔法で眠らせてやる!」
1番偉そうな男が睡眠魔法を使かい女性を眠らせ体の大きい男に担がれた。
「よし、今のうちに連れてくぞ!」

セシルは焦った。このままではあの子は連れ去られてしまう。まずい、助けなくては!
「まて!その人を離せ!」

3人の男達は振り返りセシルを見た。
「誰だてめえは?しゃしゃり出てくるんじゃねー!痛い目見るぞ!」
「兄貴、見られたからにはこいつは消した方がいいんじゃねえすか?」
下っ端の男が懐からナイフを出し舌で舐めている。

うっ気持ちが悪い奴だな……舌切れても知らないぞ。
それより早く助けなくては。
「痛い目見るのはお前達だ!」
セシルは指を銃の形にし、指の先から水魔法を放ち下っ端の男の肩に当てた。

「ぐはっ」魔法は肩を貫き下っ端の男はナイフを落とした。

よし!すぐさま残りの2人にも魔法を放ったが、1人には当たったが兄貴と言われていた男には防がれてしまった。大きな男は脇腹を撃たれ女性を地面に落とした。

あっ!しまった!大丈夫か?

「邪魔をするな!」
男は火魔法を放ちセシルとの間に火の壁を作り女性を抱え逃げようとした。仲間は見捨てるつもりだ。
くそ~どうする?……やるしかない。セシルは決意をし火の壁に向かって走り出し、壁を飛び越えた。
「な…なに!」

ハアハア、髪が少し焦げたじゃないか。
すかさず水魔法を男の足に当てた。
「くっ!」男はまたしても女性を地面に落としてしまった。
その衝撃で女性は目を覚ましお尻を撫ぜている。
「痛った~!お尻をぶつけたじゃない!」

女性は起き上がり周りを見回すと、連れ去ろうとした男達が倒れている事に気付いた。
「えっ?どういう事?」
セシルは女性に近づき怪我がないか尋ね経緯を説明した。
「助けて頂いてありがとうございます」女性はフードを脱いだ。

セシルの体にカミナリが落ちたかの様な衝撃が走った。
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