7 / 8
マウントと逃亡
しおりを挟む「私だって辛かった」
と、人に言うのはとても簡単だ。
当たり前だ。
その人にしか辛さなど分かるはずもないのだ。
言語で説明しても、その人の感受性や性格によって辛さの度合いとは人によるのだ。
自分の辛さを他人に共有することは完全には不可能なのである。
大切なのは受け入れてあげることだろうか、
と、私は思う。
さて、私の母の場合は辛さにおいてマウントを取ることしか脳がないようだ。
私が「仕事も職場の人と折り合いがつかず、家族とどう接すればいいのか分からなくなっていたからずっと死にたかった」
と母に話の流れで打ち明けたことがある。
ちょうど妊娠した時期の話し合いだ。
母はそれを聞いた直後に間髪おかずにこう言った
「私だってアンタよりよっぽど死にたいよ!!」
違う、そういうことを言って欲しいんじゃないし、今この場において母の辛さなど聞いてないのだ。
母は続ける
「アンタが死にたくてバイト辞めても私は働き続けなきゃいけない!私だって(義父)が病気で死んでから稼ぎがなくなってどうしようもう子供たちと死のうかと思ったけど働き出した!子供たちが可哀想やけん!私が死んだら残されてしまうけん!
なんで辛いだけで死のうとか考えるん!?なんとかいい方向に持っていこうとせんの!?そういうこと考えんわけ!?私の方がアンタよりずっと辛いんよ!!」
分かるだろうか。
私の辛さなど知ったこっちゃないのだ。
あくまで、自分の方が辛いのだ。
私が死にたいと思うことより、自分の方が死にたいことをわかって欲しいのだ、この親は。
ポカンとしたあとに、思わず笑いそうになった。
あぁ、どこまでもこの親は子供でしかないのだ。
他人が転んで怪我をしても、
自分の擦り傷を見せるのだ。
どうだ、私の方が傷がでかいのだからお前のは痛くもないだろう?と。
そして、母は、辛さから逃げるなという。
辛くてもそこから逃げるな。
それは時と場合によるのだと知らないのだ。
辛いことから全て逃げてはいけないのは確かに一理ある。
耐えることを知るためには必要な痛みだ。
しかし、仕事の場合などは違うだろう。
そりが合わない職場で無駄に気を病んで過ごす時間ほど無意味なものは無い。
正社員でもなければ所詮時給。
好きなところで好きに働けるのがパートアルバイトの特権だろう。
が、やはり母の言い分は違う。
「次から次に職場を変えるのは逃げだ。本気で生活しようと思ったら、倒産しない限り職場は変えられないはずだ。アンタはころころ職種変えて逃げ続けてる!」
本当にこの主張だけはよく分からない。
一理もない。
効率良く働くために自分に合った職場を探すのは個人の自由ではないのか。
(言うなれば、私は別のバイトに移動する時は次のバイト先を見つけてから今のバイト先を辞めるようにしているのでバイトが途切れたことはほぼない)
そして、逃げ、というのは
果たして本当にそこまで悪いことか。
なぜ逃げてはいけないのか。
逃げてもいいのではないか。
逃げずに心を殺して廃人になるより、
自分に合った場所を見つけることは悪いことではないだろう。
母は度々言う。
「今度はどこに逃げるん?もう逃げ場なんてないんやけど」
と。
1つ言おう、困難に立ち向かおうとした結果が私の今の状況だ。
親と話し合いという1番苦手なことをした結果、マウントを取られまくって、たった1つ言い返す気力も削がれて、心がボロボロにされてしまった。
家から逃げることも許されない。
また逃げるのかと激怒され、嘲笑され、
それならば、それならば、
生から逃げることもダメなのだろう。
逃げる悪さを教えて欲しい
過酷な環境で育つより、
伸び伸びと楽しく生きた方が有意義だろう。
有意義を捨ててまで忍耐が必要か?
そんな考えなど、
もう何もかも古臭いのだ。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
雲母虫漫筆 ~江戸のあれこれ~
糺ノ杜 胡瓜堂
エッセイ・ノンフィクション
「耳嚢」や「兎園小説」「新著聞集」「甲子夜話」など、江戸時代の書物から、面白いと思ったものをピックアップしてゆく短いエッセイ。
怪談や奇談、感動話、しょ~もない話までその時の気分次第。
「雲母虫」とは紙につく虫「シミ」の異名、小さくて可愛らしい(?)虫です。
本の虫になったつもりで色々な江戸時代に書かれた話をご紹介してゆきたいと思っています。
ネット上で気軽に様々な情報が拾える昨今、自分自身で「オリジナル」を読むという行為はなかなか手間がかかりますが、その分色々と新しい発見があります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる