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第零訓「勇者を自称する存在は疑ってかかるべし」
勇者は最初のボスとして魔王と出会ってしまった。
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「畜生、畜生……冗談じゃねぇ、冗談じゃねぇ……!」
さる王国の秘術により勇者として召喚された男は、この世界で初めての苦痛と恐怖に苛まれていた。
男は前世ではごく普通の家庭で生まれ、ブラック企業で薄給の中激務を負わされストレスを抱え、
楽になりたい一心で、つい、ふっとトラックに撥ねられて死んだはずだった。
しかし、人生の今際の際になって、天は遂に彼に味方をしたのだ。
『嗚呼、可哀想に……なんて哀れで、救われなきゃいけない命なのかしら』
彼の目の前に現れたのは豊満で官能的な女神だった。
彼の人生を憐れみ、現世での記憶を宿したまま異世界へと転生されたばかりか、
触れただけで相手を即死させる奇跡を宿した剣を共に託してくれたのだった。
『これは私からの祝福……その力を使って、勇者となって世界を救ってね?』
勇者として召喚された彼は、その剣を使って彼に生意気な態度を見せた近衛師団20人を一瞬で葬り、その無双ぶりを王女にまざまざと見せつけた。
だからこそ、この周辺に出没する魔女の退治を王女から直接頼まれ、
成功した暁には付き合ってくれると順風満帆な生活を期待していた。
「なのに……なのに……なんで、なんで最初から魔王が襲ってくるんだよ!
なんだよこれ・こんなのクソゲーじゃねぇかああっ!」
魔女の家を目前とした矢先に現れた特徴的な耳をした黒い髪のエルフのガキ、
こいつがすべての元凶だった。
「おじさん、ここは拳聖の魔女さんの所有地だよ?」
「薬を貰いに来た……って感じじゃないよね? 何しに来たの?」
「今は禁猟期だよ?
それなのに勝手に動物殺し回ってるんだから、警戒するに決まってるよ……ね?」
へらへらとした生意気そうなツラをしながら、
そのエルフは勇者である俺様に向かって「何をしに来たのか」とか、
「なんで動物を殺したのか」だの一々、一々癪に障る言い方で言葉を投げつけてきやがった。
その言葉と態度が昔務めていた嫌味な上司を思い出して煩かったから
「てめーも殺して経験値にしてやる」と言った直後だった。
ダサい田舎の格好をしていたかと思ったら、突然その姿は禍々しい姿に変わって、
たった一発、たった一発股間に蹴りを喰らわされた。
その一発。一発を受けただけで股間に想像を絶する痛みがあふれ出してくる。
「あぁあああぁあああぁっ!
こ、このクソガキがぁああああぁあぁあっ!」
痛みに悶絶して地面をのたうち回っている俺様を他所に、
目の前のエルフのガキは自分を魔王だの、仏がどうのこうのほざきやがる。
知るかっ、何で転生してまで偉そうな説教を受けなきゃならないんだ!
俺様はこれからこのチート能力でこの世界で好きに生きる勇者様だぞ!
「「魔王なんかが意見するじゃねぇ! このクソチート野郎が!
俺が拷問なんかで口を開くとでも思ってるのか!」」
「っ!?」
なんだ!?
なんでこいつ、俺の考えている事を全く同じタイミングで言いやがったんだ?
「あ、知りたい? じゃあはいこれ」
エルフのガキはまるで俺の考えが分かっているかのように、
懐から手鏡を取り出して、俺様の顔にかざしたのだった。
「『手鏡』って言うんだけど……おじさんの文化圏では知ってるかなぁ?
……いや、絶対知ってる……よねぇ?」
「っ!? うわ、うわぁああああっ!!?」
――◆
勇者を名乗った男の情けない絶叫が深夜の森に響き渡る――。
その情けない悲鳴を聞いて、周辺に潜んでいた獣達は恐怖に脅え逃げ出していた。
(なんだ!? なんだんだよこれ、俺の頭に紫色のエイのような何かが頭を貫いてる!?
あれ? でもなんで痛みが無いんだ?
っていうか何時から刺さってんだ? なんだんだ?
なんなんだよこれぇえええっ!?)
勇者を名乗った男がそう考えていると、その考えを見透かしているかのように
魔王と名乗った森人の少年は懐に手鏡を戻しながら、
意地悪そうにニィッと笑みを浮かべた。
「ごめーんね、拷問するってのは嘘。
今時さぁ、拷問なんかで情報奪うなんて古臭すぎるよねぇ?
おじさんが金的で悶絶して気をそらしている間にそれ、刺させてもらったよ。
今おじさんの頭に刺さっているのは俺の魔法で作り出した……『爪』、かな?
他の奴は『ビット』って呼んでるけど……まぁ、そこはどうでもいいよね。
今は『闇』属性の特性である『吸収』を応用して、おじさんの脳に突き刺して直接記憶を奪わせて貰ってるよ」
「き、記憶を奪うだと!?
くそっ! なんでそんなチートがありふれてるんだよ!?
この世界でチートして無双するのは俺様の特権だろうがぁっ!」
「……は? 『チート』、だぁ……?」
それまで情けなく悶え打っていた勇者と名乗る男を、苦笑する感じで見下ろして魔王だったが、
その能力を軽はずみに『チート』と呼ばれた途端、目つきが鋭くなり、その瞳に明確な殺意が溢れ出した。
「ぎゃあぁああっ!」
それは突然の事だった。
魔王が勇者と名乗った男へ明確に殺意を見せてからは終始無言のまま、
彼の右肩を地面へめり込ませるかのように、勢いよく踏みつける。
「これが『チート』だって? ボケたこと抜かしてんじゃねぇよ。
闇属性の魔法はこの吸収するという特性を総て基点にして開発されていくものだ。
そんな初歩的な知識が『チート』? 『チート』だって……?
お前が元々魔法が使えない世界から逃げ出してきたからって、
その言い方はないよねぇえええええ?」
魔王の口調が早くなるのに合わせて、魔王が勇者と名乗った男の右肩を踏みつける速度も上昇していく。
そして、一瞬動きを止めた直後に、魔王は一際力を込めて勇者を名乗った男の右肩を踏み抜いた。
「ミシ」……「メキッ」……と、まるで生木を裂く様な音がしたのと同時に、勇者を名乗った男の右肩は砕かれ、
その右腕は跳ねるようにあらぬ方向へ飛んでいき、鈍い音を立てて地面へと転がっていた。
「あ゛ぁぁ゛あああ゛ぁああぁ゛ああ゛あぁああ゛あああああっ!」
勇者はただただ喧しくのたうち回る。愚かに、無様に、滑稽に。
その姿を見て、魔王はただ溜息を一つ吐くと、ぽつりと一言呟いた。
「あのさぁ、自称勇者さんよ」
次に紡がれる一言は、あまりにも突拍子の無い一言だった。
「股間と右肩バラされてるのに、なんで血が出てないか疑問に思わないわけ?」
さる王国の秘術により勇者として召喚された男は、この世界で初めての苦痛と恐怖に苛まれていた。
男は前世ではごく普通の家庭で生まれ、ブラック企業で薄給の中激務を負わされストレスを抱え、
楽になりたい一心で、つい、ふっとトラックに撥ねられて死んだはずだった。
しかし、人生の今際の際になって、天は遂に彼に味方をしたのだ。
『嗚呼、可哀想に……なんて哀れで、救われなきゃいけない命なのかしら』
彼の目の前に現れたのは豊満で官能的な女神だった。
彼の人生を憐れみ、現世での記憶を宿したまま異世界へと転生されたばかりか、
触れただけで相手を即死させる奇跡を宿した剣を共に託してくれたのだった。
『これは私からの祝福……その力を使って、勇者となって世界を救ってね?』
勇者として召喚された彼は、その剣を使って彼に生意気な態度を見せた近衛師団20人を一瞬で葬り、その無双ぶりを王女にまざまざと見せつけた。
だからこそ、この周辺に出没する魔女の退治を王女から直接頼まれ、
成功した暁には付き合ってくれると順風満帆な生活を期待していた。
「なのに……なのに……なんで、なんで最初から魔王が襲ってくるんだよ!
なんだよこれ・こんなのクソゲーじゃねぇかああっ!」
魔女の家を目前とした矢先に現れた特徴的な耳をした黒い髪のエルフのガキ、
こいつがすべての元凶だった。
「おじさん、ここは拳聖の魔女さんの所有地だよ?」
「薬を貰いに来た……って感じじゃないよね? 何しに来たの?」
「今は禁猟期だよ?
それなのに勝手に動物殺し回ってるんだから、警戒するに決まってるよ……ね?」
へらへらとした生意気そうなツラをしながら、
そのエルフは勇者である俺様に向かって「何をしに来たのか」とか、
「なんで動物を殺したのか」だの一々、一々癪に障る言い方で言葉を投げつけてきやがった。
その言葉と態度が昔務めていた嫌味な上司を思い出して煩かったから
「てめーも殺して経験値にしてやる」と言った直後だった。
ダサい田舎の格好をしていたかと思ったら、突然その姿は禍々しい姿に変わって、
たった一発、たった一発股間に蹴りを喰らわされた。
その一発。一発を受けただけで股間に想像を絶する痛みがあふれ出してくる。
「あぁあああぁあああぁっ!
こ、このクソガキがぁああああぁあぁあっ!」
痛みに悶絶して地面をのたうち回っている俺様を他所に、
目の前のエルフのガキは自分を魔王だの、仏がどうのこうのほざきやがる。
知るかっ、何で転生してまで偉そうな説教を受けなきゃならないんだ!
俺様はこれからこのチート能力でこの世界で好きに生きる勇者様だぞ!
「「魔王なんかが意見するじゃねぇ! このクソチート野郎が!
俺が拷問なんかで口を開くとでも思ってるのか!」」
「っ!?」
なんだ!?
なんでこいつ、俺の考えている事を全く同じタイミングで言いやがったんだ?
「あ、知りたい? じゃあはいこれ」
エルフのガキはまるで俺の考えが分かっているかのように、
懐から手鏡を取り出して、俺様の顔にかざしたのだった。
「『手鏡』って言うんだけど……おじさんの文化圏では知ってるかなぁ?
……いや、絶対知ってる……よねぇ?」
「っ!? うわ、うわぁああああっ!!?」
――◆
勇者を名乗った男の情けない絶叫が深夜の森に響き渡る――。
その情けない悲鳴を聞いて、周辺に潜んでいた獣達は恐怖に脅え逃げ出していた。
(なんだ!? なんだんだよこれ、俺の頭に紫色のエイのような何かが頭を貫いてる!?
あれ? でもなんで痛みが無いんだ?
っていうか何時から刺さってんだ? なんだんだ?
なんなんだよこれぇえええっ!?)
勇者を名乗った男がそう考えていると、その考えを見透かしているかのように
魔王と名乗った森人の少年は懐に手鏡を戻しながら、
意地悪そうにニィッと笑みを浮かべた。
「ごめーんね、拷問するってのは嘘。
今時さぁ、拷問なんかで情報奪うなんて古臭すぎるよねぇ?
おじさんが金的で悶絶して気をそらしている間にそれ、刺させてもらったよ。
今おじさんの頭に刺さっているのは俺の魔法で作り出した……『爪』、かな?
他の奴は『ビット』って呼んでるけど……まぁ、そこはどうでもいいよね。
今は『闇』属性の特性である『吸収』を応用して、おじさんの脳に突き刺して直接記憶を奪わせて貰ってるよ」
「き、記憶を奪うだと!?
くそっ! なんでそんなチートがありふれてるんだよ!?
この世界でチートして無双するのは俺様の特権だろうがぁっ!」
「……は? 『チート』、だぁ……?」
それまで情けなく悶え打っていた勇者と名乗る男を、苦笑する感じで見下ろして魔王だったが、
その能力を軽はずみに『チート』と呼ばれた途端、目つきが鋭くなり、その瞳に明確な殺意が溢れ出した。
「ぎゃあぁああっ!」
それは突然の事だった。
魔王が勇者と名乗った男へ明確に殺意を見せてからは終始無言のまま、
彼の右肩を地面へめり込ませるかのように、勢いよく踏みつける。
「これが『チート』だって? ボケたこと抜かしてんじゃねぇよ。
闇属性の魔法はこの吸収するという特性を総て基点にして開発されていくものだ。
そんな初歩的な知識が『チート』? 『チート』だって……?
お前が元々魔法が使えない世界から逃げ出してきたからって、
その言い方はないよねぇえええええ?」
魔王の口調が早くなるのに合わせて、魔王が勇者と名乗った男の右肩を踏みつける速度も上昇していく。
そして、一瞬動きを止めた直後に、魔王は一際力を込めて勇者を名乗った男の右肩を踏み抜いた。
「ミシ」……「メキッ」……と、まるで生木を裂く様な音がしたのと同時に、勇者を名乗った男の右肩は砕かれ、
その右腕は跳ねるようにあらぬ方向へ飛んでいき、鈍い音を立てて地面へと転がっていた。
「あ゛ぁぁ゛あああ゛ぁああぁ゛ああ゛あぁああ゛あああああっ!」
勇者はただただ喧しくのたうち回る。愚かに、無様に、滑稽に。
その姿を見て、魔王はただ溜息を一つ吐くと、ぽつりと一言呟いた。
「あのさぁ、自称勇者さんよ」
次に紡がれる一言は、あまりにも突拍子の無い一言だった。
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