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第十九章 旅に出る弟子と騎士
433.考え方の違い
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レクシェルさんと合流し、さっそくドワーフの隠れ里を目指す。
場所的にはアレーシュのギリギリ領土内くらい、別名谷間の里と呼ばれる場所で普段は結界があって見えないそうだ。
「結界があるのに、どうしてレクシェルさんは場所を知っていたのですか?」
「私は一度里長のお使いでドワーフの隠れ里に行ったことがありまして。エルフとドワーフは古来より繋がりがありますからお互いに情報交換などのやり取りをしているのです」
「なら、レクシェルさんが一緒の方がいいのでは?」
繋がりがあるなら一緒に行ってもらえる方が心強いけど、レクシェルさんは苦笑して首を振る。
「実は……ドワーフの隠れ里の里長が苦手なのです。悪いお方ではありませんが、毎回嫁に来ないかと誘われてしまうのでちょっと……」
「え? ドワーフって嫁の種族は関係なくって、誰でもいいみたいな?」
ウルガーが話に食いつくと、レクシェルさんは肯定的な意味で頷いてみせた。
エルフにとって俺のようなハーフエルフは禁忌の存在になってしまうけど、ドワーフは逆に寛容なのかもしれないな。
エルフのレクシェルさんから見れば、ドワーフの考え方自体が肌に合わないのかもしれない。
「しかも里長ってことは、もしかして一夫多妻とかそういう感じ?」
「詳しくは分かりませんが、結婚観に関しても寛容なようです。ドワーフは自由な種族なので、特にこだわりや決まりはないのだと思いますよ」
「他種族の方と出会うことがないので、もし里に入ることをお許しいただけるのであればとても貴重なことですよね」
「そうですね。レイヴンさんは彼らにとって興味をひく存在という言い方は失礼かもしれませんが、気になる存在だと思います」
レクシェルさんは俺のことは認めてくれているけど、レクシェルさん自身が他種族と結ばれるという考えは持っていないんだろうな。
これは長年閉鎖的に暮らしてきたエルフ特有のものなのかもしれない。
同じ閉鎖的な暮らしのはずなのに、ドワーフはドワーフらしい独自の文化ってことか。
「時間に余裕があったら、じっくりとお話を聞きたいところだけど……俺たちの目的はあくまで師匠である魔塔主の安否を確認し、連れ帰ることだ」
「確かにレイヴンは研究熱心だから、時間があるなら居座れるだけ居座っちゃうかもな」
「ふふ。さすがはレイヴンさん。我々のところに来てくださったときも頑張って特訓してらっしゃいましたものね」
改めてレクシェルさんに言われるのは恥ずかしいけど、精霊魔法を見につけなきゃって必死になっていた気がする。
おかげで今も少しずつ使いこなせるようになってきたけど、俺がもっとしっかりしていればテオが危険な賭けをすることはなかったのかもしれない。
「レイヴーン? また悪い方に考えてるだろ?」
「ウルガーはいつでもお見通しだな。分かってはいるんだけど、どうしてもね」
「私も何かお役に立てればよかったのですが……」
レクシェルさんまで申し訳なさそうな表情にさせてしまった。
これは、俺がいけないよな。頭を切り替えるように首を振って笑いかける。
「レクシェルさんたちエルフの里の皆さんが我々アレーシュに協力してくれたからこそ、魔族との戦いにも挑めたんです。じゃなければ、安心して出向くこともできませんでした」
「そうですよ。アレーシュの二強が国から離れるということは、周囲の国にとってはアレーシュを攻める絶好の機会です。国を守っていただいて、むしろ一騎士としてお礼を言う立場ですよ」
ウルガーは真面目な顔で、レクシェルさんに騎士として敬礼をする。
拳を左胸に当てて、頭を下げる仕草は相手に感謝の意を示すと言われている。
色々と仕草はあるみたいだけど、俺もウルガーに教えてもらった数種類くらいしか分からない。
「ありがとうございます。そう言っていただけると、私たちもお役に立てたのだと実感できます。これからの旅も、お二人に精霊のご加護がありますように」
今度はレクシェルさんがエルフの祈りを捧げてくれる。
精霊は自然の美しい場所ならば力を借りることのできる存在。願えばきっとこれからも力を貸してくれるはずだ。
場所的にはアレーシュのギリギリ領土内くらい、別名谷間の里と呼ばれる場所で普段は結界があって見えないそうだ。
「結界があるのに、どうしてレクシェルさんは場所を知っていたのですか?」
「私は一度里長のお使いでドワーフの隠れ里に行ったことがありまして。エルフとドワーフは古来より繋がりがありますからお互いに情報交換などのやり取りをしているのです」
「なら、レクシェルさんが一緒の方がいいのでは?」
繋がりがあるなら一緒に行ってもらえる方が心強いけど、レクシェルさんは苦笑して首を振る。
「実は……ドワーフの隠れ里の里長が苦手なのです。悪いお方ではありませんが、毎回嫁に来ないかと誘われてしまうのでちょっと……」
「え? ドワーフって嫁の種族は関係なくって、誰でもいいみたいな?」
ウルガーが話に食いつくと、レクシェルさんは肯定的な意味で頷いてみせた。
エルフにとって俺のようなハーフエルフは禁忌の存在になってしまうけど、ドワーフは逆に寛容なのかもしれないな。
エルフのレクシェルさんから見れば、ドワーフの考え方自体が肌に合わないのかもしれない。
「しかも里長ってことは、もしかして一夫多妻とかそういう感じ?」
「詳しくは分かりませんが、結婚観に関しても寛容なようです。ドワーフは自由な種族なので、特にこだわりや決まりはないのだと思いますよ」
「他種族の方と出会うことがないので、もし里に入ることをお許しいただけるのであればとても貴重なことですよね」
「そうですね。レイヴンさんは彼らにとって興味をひく存在という言い方は失礼かもしれませんが、気になる存在だと思います」
レクシェルさんは俺のことは認めてくれているけど、レクシェルさん自身が他種族と結ばれるという考えは持っていないんだろうな。
これは長年閉鎖的に暮らしてきたエルフ特有のものなのかもしれない。
同じ閉鎖的な暮らしのはずなのに、ドワーフはドワーフらしい独自の文化ってことか。
「時間に余裕があったら、じっくりとお話を聞きたいところだけど……俺たちの目的はあくまで師匠である魔塔主の安否を確認し、連れ帰ることだ」
「確かにレイヴンは研究熱心だから、時間があるなら居座れるだけ居座っちゃうかもな」
「ふふ。さすがはレイヴンさん。我々のところに来てくださったときも頑張って特訓してらっしゃいましたものね」
改めてレクシェルさんに言われるのは恥ずかしいけど、精霊魔法を見につけなきゃって必死になっていた気がする。
おかげで今も少しずつ使いこなせるようになってきたけど、俺がもっとしっかりしていればテオが危険な賭けをすることはなかったのかもしれない。
「レイヴーン? また悪い方に考えてるだろ?」
「ウルガーはいつでもお見通しだな。分かってはいるんだけど、どうしてもね」
「私も何かお役に立てればよかったのですが……」
レクシェルさんまで申し訳なさそうな表情にさせてしまった。
これは、俺がいけないよな。頭を切り替えるように首を振って笑いかける。
「レクシェルさんたちエルフの里の皆さんが我々アレーシュに協力してくれたからこそ、魔族との戦いにも挑めたんです。じゃなければ、安心して出向くこともできませんでした」
「そうですよ。アレーシュの二強が国から離れるということは、周囲の国にとってはアレーシュを攻める絶好の機会です。国を守っていただいて、むしろ一騎士としてお礼を言う立場ですよ」
ウルガーは真面目な顔で、レクシェルさんに騎士として敬礼をする。
拳を左胸に当てて、頭を下げる仕草は相手に感謝の意を示すと言われている。
色々と仕草はあるみたいだけど、俺もウルガーに教えてもらった数種類くらいしか分からない。
「ありがとうございます。そう言っていただけると、私たちもお役に立てたのだと実感できます。これからの旅も、お二人に精霊のご加護がありますように」
今度はレクシェルさんがエルフの祈りを捧げてくれる。
精霊は自然の美しい場所ならば力を借りることのできる存在。願えばきっとこれからも力を貸してくれるはずだ。
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