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第十八章 用意周到な魔塔主と腹が立つ弟子
421.次世代の魔法使い
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俺は集まっている魔法使いを一通り見渡してから、ある一人で視線を止めて高らかに宣言する。
「補佐官代理は、パフィト・シュビンを任命する。パフィト、こちらへ」
「は、はいっ!」
パフィトは入ってまだ間もないのにも関わらず、自分の努力のみで才能を開花させた。
その能力は決して派手じゃないけれど、魔力制御や補助魔法の優先順位など細やかな気遣いができる汎用性の高い魔法使いだ。
年齢は十六で俺よりも若い。見た目は拘らないらしく、灰色のもさもさとした柔らかそうな髪で大き目の黒縁の丸眼鏡をかけている。
よく、ボサボサとか爆発頭と揶揄されているけれどとても勤勉で真面目な男の子だ。
パフィトには補佐官の仕事の手伝いもしてもらっていて、その都度テオにも報告していた。
なので、魔塔の魔法使いたちからも文句の声があがることはないだろう。
「パフィト、足と手が同時に出てるぞ」
先輩の魔法使いが笑いながらツッコミを入れると、パフィトはあわあわとしながら俺のところまでやってくる。
「すす、すみませんっ! レイヴン様、本当に僕でよろしいのでしょうか?」
「勿論だ。パフィトの細やかな気配りは、魔法を使うときにも大事な素質だ。人を良く見ているから、戦闘においても立派な補助ができるだろう」
「こ、光栄です。パフィト・シュビン、謹んでお受けいたします」
周りから拍手が巻き起こり、パフィトはぺこぺこと頭を下げている。
生真面目で努力家なところはとても共感できるし、パフィトなら補佐官の仕事もしっかりとまわしてくれるだろう。
こうして俺がテオの地位と仕事を引き継ぎ、パフィトには補佐をしてもらうことになった。
仕事に関しては俺がほぼ魔塔主の仕事もしていたので問題はないんだけど……それがこんな形で役に立ってしまうなんて、皮肉なものだと思ってしまった。
+++
俺は魔塔でやるべきことを済ませてから、テオの部屋へ向かって階段を上る。
相変わらず段数が多いけど、テオと違い俺は移動が使えない。
もう慣れてしまったけど、テオの部屋まで行くのにはかなりの段数を上らなくてはならない。
「テオの部屋か……」
テオがいなくなってから初めて行くテオの部屋だ。
主のいない部屋も埃がたまらないように掃除しなくちゃいけないんだけど、体調を崩していたせいで来ることができなかった。
「それに……」
テオがいないという事実が受け止められるまで、部屋へ入ることを禁じられていた。
俺はそこまで弱っていたってことだよな。本当に情けない。
俺が気づかないうちに、テオの存在はどんどん膨らんで大きくなっていたってことだ。
「まあ……存在感だけはある人だから……」
いつもの腹立つ顔を思い出し、ふうとため息を吐いたところで漸くテオの部屋の前へ来ることができた。
テオは外出時、侵入者が来ないように結界を貼っていたと思うけど……扉は開くのか?
やや緊張しながら扉に触れると、あっさりと扉は開いて俺を向かい入れてくれた。
「……もしかして、俺だから?」
テオのことだから、俺ならいいだろうと思っていてくれたのだろうか?
だとしたら嬉しいけど……今はそれすらむなしく感じる。
本当は他の用事で来たけれど、そのままベッドへ一直線に進んで飛び込んだ。
テオがいないと、ベッドもとても広く感じる。
「……っ」
どうしても、心の穴を埋められない。もうだいぶ立ち直ったと思っていたのに。
少しでもテオを感じたくて、縋りつくように毛布を手繰り寄せる。
心を安心させる香りは、まだ濃く残っていた。
「テオ……」
ぎゅうっと毛布を握りしめていると、心と身体がざわついて妙な感情に押しつぶされていく。
我慢していた感情がまた溢れ出し、頭の奥をしびれさせていく。
「ぁ……」
寂しさに耐えられず、俺の手は自然と下腹部へ伸びていた。
理性ではこんなことしたくないと思っているのに、香りを嗅いでいるだけで次第に体温があがり理性の糸がプツンと切れる音がした。
「補佐官代理は、パフィト・シュビンを任命する。パフィト、こちらへ」
「は、はいっ!」
パフィトは入ってまだ間もないのにも関わらず、自分の努力のみで才能を開花させた。
その能力は決して派手じゃないけれど、魔力制御や補助魔法の優先順位など細やかな気遣いができる汎用性の高い魔法使いだ。
年齢は十六で俺よりも若い。見た目は拘らないらしく、灰色のもさもさとした柔らかそうな髪で大き目の黒縁の丸眼鏡をかけている。
よく、ボサボサとか爆発頭と揶揄されているけれどとても勤勉で真面目な男の子だ。
パフィトには補佐官の仕事の手伝いもしてもらっていて、その都度テオにも報告していた。
なので、魔塔の魔法使いたちからも文句の声があがることはないだろう。
「パフィト、足と手が同時に出てるぞ」
先輩の魔法使いが笑いながらツッコミを入れると、パフィトはあわあわとしながら俺のところまでやってくる。
「すす、すみませんっ! レイヴン様、本当に僕でよろしいのでしょうか?」
「勿論だ。パフィトの細やかな気配りは、魔法を使うときにも大事な素質だ。人を良く見ているから、戦闘においても立派な補助ができるだろう」
「こ、光栄です。パフィト・シュビン、謹んでお受けいたします」
周りから拍手が巻き起こり、パフィトはぺこぺこと頭を下げている。
生真面目で努力家なところはとても共感できるし、パフィトなら補佐官の仕事もしっかりとまわしてくれるだろう。
こうして俺がテオの地位と仕事を引き継ぎ、パフィトには補佐をしてもらうことになった。
仕事に関しては俺がほぼ魔塔主の仕事もしていたので問題はないんだけど……それがこんな形で役に立ってしまうなんて、皮肉なものだと思ってしまった。
+++
俺は魔塔でやるべきことを済ませてから、テオの部屋へ向かって階段を上る。
相変わらず段数が多いけど、テオと違い俺は移動が使えない。
もう慣れてしまったけど、テオの部屋まで行くのにはかなりの段数を上らなくてはならない。
「テオの部屋か……」
テオがいなくなってから初めて行くテオの部屋だ。
主のいない部屋も埃がたまらないように掃除しなくちゃいけないんだけど、体調を崩していたせいで来ることができなかった。
「それに……」
テオがいないという事実が受け止められるまで、部屋へ入ることを禁じられていた。
俺はそこまで弱っていたってことだよな。本当に情けない。
俺が気づかないうちに、テオの存在はどんどん膨らんで大きくなっていたってことだ。
「まあ……存在感だけはある人だから……」
いつもの腹立つ顔を思い出し、ふうとため息を吐いたところで漸くテオの部屋の前へ来ることができた。
テオは外出時、侵入者が来ないように結界を貼っていたと思うけど……扉は開くのか?
やや緊張しながら扉に触れると、あっさりと扉は開いて俺を向かい入れてくれた。
「……もしかして、俺だから?」
テオのことだから、俺ならいいだろうと思っていてくれたのだろうか?
だとしたら嬉しいけど……今はそれすらむなしく感じる。
本当は他の用事で来たけれど、そのままベッドへ一直線に進んで飛び込んだ。
テオがいないと、ベッドもとても広く感じる。
「……っ」
どうしても、心の穴を埋められない。もうだいぶ立ち直ったと思っていたのに。
少しでもテオを感じたくて、縋りつくように毛布を手繰り寄せる。
心を安心させる香りは、まだ濃く残っていた。
「テオ……」
ぎゅうっと毛布を握りしめていると、心と身体がざわついて妙な感情に押しつぶされていく。
我慢していた感情がまた溢れ出し、頭の奥をしびれさせていく。
「ぁ……」
寂しさに耐えられず、俺の手は自然と下腹部へ伸びていた。
理性ではこんなことしたくないと思っているのに、香りを嗅いでいるだけで次第に体温があがり理性の糸がプツンと切れる音がした。
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