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第十七章 最後の遊戯に挑む魔塔主と弟子と仲間たち
412.闇の中の奇襲
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俺らが押さえつけてる間に、ディーとウルガーが何かを発見したらしい。
ウルガーが俺に何か伝えようとしているので、すぐに集音魔法を使って聞き取る。
『テオドール様、玉座の近くに黒い宝石が隠してありました』
『よし、ディーと一緒に壊せ。ヤバそうならディーを盾にしろ』
俺の声も聞こえたらしく、ウルガーは了承の意を身体で伝えてきた。
で、こっちで押さえつけてるハーゲンティはこれだけ魔法を重ね掛けしても、もう抜け出そうとしてやがるな。
「くだらないことを……っ、まさか」
ハーゲンティが玉座の方を振り向いたが、遅かったな。
ディーは剣気を込めた大剣を思い切り宝石へ突き立てた。
すると、パキッという音が聞こえる。
「グァ、アァァァ……よくも、人間ごときが我を……」
ハーゲンティが一気に力を膨らませたせいで、俺らの拘束が全てはじけ飛ぶ。
ご自慢の顔を押さえてやがるし、かなり効いてるみたいだな。
「そのままぶち壊しちまえ!」
「戯言を! オォォォォ……」
ハーゲンティの身体から黒い霧が噴き出し、あっという間に視界が奪われる。
野郎、目隠しとは姑息な真似をしやがるな。
俺は探知で動きを探るが、すぐに引っかからない。
「きゃあっ!」
「ちまいの!」
「視界を奪われただけだ」
「この子は私たちに任せてください」
この高い声は、ちまいのがやられたか? これだけ霧が濃いと視界では何も捉えられない。
精霊王二人の声がしたし、ちまいのの側には二人がいるみたいだ。
まだあまり使いたくないが、いざとなったら精霊王の力も借りた方がいいかもしれないな。
「ぐっ!」
「団長……っぶな! っくぅ!」
騎士連中はハーゲンティの奇襲を野生の勘だけで防いでいるみたいだが、いつやられちまうか分からない。
霧を晴らすには聖女サマの魔法が一番だが……まだ魔力残量が余ってるかどうかも分からねぇ。
分からねぇだらけで腹が立つが、必死にイライラを抑え込む。
「クロード! まだ魔法は使えるか?」
「ええ、この闇を払うくらいなら……くうっ!」
「聖女様っ!」
レイヴンとクロードの声がした瞬間、身体がフッと引っ張られる。
この感覚は強制移動か?
勘を総動員して、盾を唱えて構える。
「……っ、チッ」
アイツ、レイヴンを狙いやがったな?
レイヴンに仕込んでおいた俺を召喚する魔法が発動したらしい。
揃いで付けてるブレスレットには俺を呼び出す魔法が込められた魔石を選んでおいたから、レイヴンに危険が迫ると発動する。
ハーゲンティはレイヴンに鋭いものを投げつけて串刺しにでもしようとしたみてぇだが、そうはいかない。
いくつかは防御魔法を貫通して俺に刺さっちまったがどうとでもなる。
「その声は……師匠? 大丈夫ですか?」
「ああ、大したことはねぇ。が、こうも視界が悪いと不利だな……ったくよ!」
ハーゲンティからの追撃の一撃を紙一重で何とか避けるが、また聖女サマ頼みかァ?
近くで仕掛けてくりゃ分かるが、離れた位置から来るのは勘が冴えていてもギリギリになっちまうからな。
俺は聖女サマとレイヴンの近くにいることが分かったので、辺りに防御結界を張り直す。
見えなくても三人の周囲は大丈夫なくらいにはしたが、ガンガンと何かが当たる音が響いている辺り、結界はあまり持たなそうだな。
「強化!」
レイヴンは俺の結界に強化をかけて少し持ちを良くしてくれる。
これで聖女サマの魔法発動を待つしかねぇか。
時間を稼いでやると、近くから澄んだ声が聞こえてくる。
「――聖なる光よ」
聖女サマの生み出した光が溢れ、辺りの霧がさあっと晴れていく。
どうやらうまく詠唱できたらしいな。
「師匠、血が……」
「これくらいはどうってことねぇよ」
強化系の魔法と新調した装備もあっさりぶち破られるほどにお怒りとはな。
レイヴンが少し取り乱してるから、右手で頭をポンと撫でて安心させてやる。
撫でながら左手でベルトにぶら下げてた回復薬の入った瓶を取り出し、先のコルクを軽くかんで引き抜き一気飲みする。
すると傷が塞がり、刺さっていたものもぽろぽろと抜け落ちる。
辺りを見回して軽く状況を確認してみるが、多少の傷を負ったヤツもいるものの全員無事だったみたいだな。
ウルガーが俺に何か伝えようとしているので、すぐに集音魔法を使って聞き取る。
『テオドール様、玉座の近くに黒い宝石が隠してありました』
『よし、ディーと一緒に壊せ。ヤバそうならディーを盾にしろ』
俺の声も聞こえたらしく、ウルガーは了承の意を身体で伝えてきた。
で、こっちで押さえつけてるハーゲンティはこれだけ魔法を重ね掛けしても、もう抜け出そうとしてやがるな。
「くだらないことを……っ、まさか」
ハーゲンティが玉座の方を振り向いたが、遅かったな。
ディーは剣気を込めた大剣を思い切り宝石へ突き立てた。
すると、パキッという音が聞こえる。
「グァ、アァァァ……よくも、人間ごときが我を……」
ハーゲンティが一気に力を膨らませたせいで、俺らの拘束が全てはじけ飛ぶ。
ご自慢の顔を押さえてやがるし、かなり効いてるみたいだな。
「そのままぶち壊しちまえ!」
「戯言を! オォォォォ……」
ハーゲンティの身体から黒い霧が噴き出し、あっという間に視界が奪われる。
野郎、目隠しとは姑息な真似をしやがるな。
俺は探知で動きを探るが、すぐに引っかからない。
「きゃあっ!」
「ちまいの!」
「視界を奪われただけだ」
「この子は私たちに任せてください」
この高い声は、ちまいのがやられたか? これだけ霧が濃いと視界では何も捉えられない。
精霊王二人の声がしたし、ちまいのの側には二人がいるみたいだ。
まだあまり使いたくないが、いざとなったら精霊王の力も借りた方がいいかもしれないな。
「ぐっ!」
「団長……っぶな! っくぅ!」
騎士連中はハーゲンティの奇襲を野生の勘だけで防いでいるみたいだが、いつやられちまうか分からない。
霧を晴らすには聖女サマの魔法が一番だが……まだ魔力残量が余ってるかどうかも分からねぇ。
分からねぇだらけで腹が立つが、必死にイライラを抑え込む。
「クロード! まだ魔法は使えるか?」
「ええ、この闇を払うくらいなら……くうっ!」
「聖女様っ!」
レイヴンとクロードの声がした瞬間、身体がフッと引っ張られる。
この感覚は強制移動か?
勘を総動員して、盾を唱えて構える。
「……っ、チッ」
アイツ、レイヴンを狙いやがったな?
レイヴンに仕込んでおいた俺を召喚する魔法が発動したらしい。
揃いで付けてるブレスレットには俺を呼び出す魔法が込められた魔石を選んでおいたから、レイヴンに危険が迫ると発動する。
ハーゲンティはレイヴンに鋭いものを投げつけて串刺しにでもしようとしたみてぇだが、そうはいかない。
いくつかは防御魔法を貫通して俺に刺さっちまったがどうとでもなる。
「その声は……師匠? 大丈夫ですか?」
「ああ、大したことはねぇ。が、こうも視界が悪いと不利だな……ったくよ!」
ハーゲンティからの追撃の一撃を紙一重で何とか避けるが、また聖女サマ頼みかァ?
近くで仕掛けてくりゃ分かるが、離れた位置から来るのは勘が冴えていてもギリギリになっちまうからな。
俺は聖女サマとレイヴンの近くにいることが分かったので、辺りに防御結界を張り直す。
見えなくても三人の周囲は大丈夫なくらいにはしたが、ガンガンと何かが当たる音が響いている辺り、結界はあまり持たなそうだな。
「強化!」
レイヴンは俺の結界に強化をかけて少し持ちを良くしてくれる。
これで聖女サマの魔法発動を待つしかねぇか。
時間を稼いでやると、近くから澄んだ声が聞こえてくる。
「――聖なる光よ」
聖女サマの生み出した光が溢れ、辺りの霧がさあっと晴れていく。
どうやらうまく詠唱できたらしいな。
「師匠、血が……」
「これくらいはどうってことねぇよ」
強化系の魔法と新調した装備もあっさりぶち破られるほどにお怒りとはな。
レイヴンが少し取り乱してるから、右手で頭をポンと撫でて安心させてやる。
撫でながら左手でベルトにぶら下げてた回復薬の入った瓶を取り出し、先のコルクを軽くかんで引き抜き一気飲みする。
すると傷が塞がり、刺さっていたものもぽろぽろと抜け落ちる。
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