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第十七章 最後の遊戯に挑む魔塔主と弟子と仲間たち
405.遊戯相手の組み合わせ
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俺らの前には遊戯とやらで順番に付き合った魔族どもが、いかにもダルそうに並んでいる。
呼び出されたことは不本意だと顔に書いてあるヤツもいる。
「ねえ、ホントにもう一回やるの? 僕はまた焦がされるの嫌なんだけどー」
始めに不服を訴えたのは最初に出てきたウァラクだ。
次にやってられないわと両手を挙げたヤツは見たことねぇが……あれがウルガーと遊んでた女だろ。
「そうよ。私はウルちゃんと会話できて満足だったのに……荒っぽいことをするのは趣味じゃないのよ」
「ウルちゃん……?」
「団長、そこは聞かなかったことにしてください」
妖艶なねえちゃんだな。俺の視線の先を見て、レイヴンが俺の腕を思い切りつねってきやがった。
「おい、レイヴン。俺は普通に見てただけだぞ」
「いいえ。どうせ見るのはタダだとか思ってたんでしょう? これだから最低男は……」
ため息しながら頷くんじゃねぇよ、横のウンディーネサマよ?
赤い甲冑のゼパルは、相変わらず無口だが……魔族も勢ぞろいだな。
「我はこの人間がどのように戦うのか見てみたくてな」
「貴方は紳士的に振る舞う癖に戦闘狂なところがあるわね。いいわ。私も少しだけ付き合ってあげる。さっきはウルちゃんと遊んだから……今度はそこの貴方にしようかしら?」
女が指さしたのは聖女サマか。これはまた嫌な組み合わせだな。
一応女同士になる訳か。
「私はこの茶番を終わらせられるなら誰でも構わないわ。さっさと始めましょう」
「私はフールフール。フルちゃんと呼んでくれて構わないわ」
投げキッス付きとは、折角なら美人な姉ちゃんとやりたかったが……レイヴンの視線がさっきから刺さって痛ぇんだよな。
「ゼパルは……レイヴンか。俺も共にやろう」
「ディートリッヒ様、ありがとうございます。師匠、こちらはお気になさらず自身の戦いに集中してください」
「おう、任せとけ。危ない時は助けてやるからよ」
俺らの配置が決まってくると、ふわふわと浮いていたウァラクもゼパルの側に寄ってくる。
「ゼパルが一人じゃかわいそうだから、僕はコッチで遊ぼうかなー?」
ゼパルとレイヴン。で、ウァラクもそっちにいくと。
俺だけ相手が固定ってのも気に入らねぇんだが……レイヴンに触ろうとしたヤツだ。
さっさとぶちのめした方がいい。
「仕方ねぇ、ディー。そっちは任せる。サラマンダー、あとどれくらいコッチにいられそうだ?」
「この戦闘が終わるまでは無理だ。あと一撃くらいは手伝えそうだが……」
「じゃあ、俺じゃなくてレイヴンに付いてくれ。一撃かますか何かしら守ってくれりゃあそれでいい」
「お前はどうする?」
サラマンダーは意外と真面目に考えてくれてるみたいだな。
ディーなら力負けはしねぇだろうから、そこは安心だとして。
サラマンダーとウンディーネがいれば後少しは何とか助けてもらえるだろ。
「俺も仕方ねぇから、久しぶりにぶっ放すとするか」
「テオ、くれぐれも我々の戦いを邪魔してくれるなよ。お前は後先考えずに攻撃するからな」
「そっくりそのまま返すぜ、ディー。レイヴンだけは守れ。俺も勿論そのつもりだが」
俺らの様子を見ていたちまいのが、どうすればいいのかきょろきょろしてやがる。
まあ、コイツもそれなりの戦力なんだろうが……どうしたもんか。
「お前もレイヴンを守れ。お兄ちゃんの側がいいだろ?」
「うん。わかった。おじちゃんは?」
「おじちゃん……間違っちゃいねぇが、俺の名前はテオドールだ。俺は一人の方が気楽なんだよ。気を遣うってのは面倒でな」
「ておど……てお? わかった。おにいちゃんのそばにいるよ!」
「ああ、テオでいい。頼んだぞ」
ちまいのの頭もポンと撫でてやってから、正面を向いてヤツと対峙する。
軽く肩を回しながら、真正面のムカつくツラを眺めてやるが……うすら笑いも腹立つな。
絶対的余裕があるヤツは今までに何度も見てきたが……コイツはそれが嘘でもないってのがな。
俺とレイヴンで全員に強化と防御をかけて、俺は身体保護をついでに被せる。
ここからは奴らも本気を出すかもしれねぇし、できることはやっておかねぇとな。
呼び出されたことは不本意だと顔に書いてあるヤツもいる。
「ねえ、ホントにもう一回やるの? 僕はまた焦がされるの嫌なんだけどー」
始めに不服を訴えたのは最初に出てきたウァラクだ。
次にやってられないわと両手を挙げたヤツは見たことねぇが……あれがウルガーと遊んでた女だろ。
「そうよ。私はウルちゃんと会話できて満足だったのに……荒っぽいことをするのは趣味じゃないのよ」
「ウルちゃん……?」
「団長、そこは聞かなかったことにしてください」
妖艶なねえちゃんだな。俺の視線の先を見て、レイヴンが俺の腕を思い切りつねってきやがった。
「おい、レイヴン。俺は普通に見てただけだぞ」
「いいえ。どうせ見るのはタダだとか思ってたんでしょう? これだから最低男は……」
ため息しながら頷くんじゃねぇよ、横のウンディーネサマよ?
赤い甲冑のゼパルは、相変わらず無口だが……魔族も勢ぞろいだな。
「我はこの人間がどのように戦うのか見てみたくてな」
「貴方は紳士的に振る舞う癖に戦闘狂なところがあるわね。いいわ。私も少しだけ付き合ってあげる。さっきはウルちゃんと遊んだから……今度はそこの貴方にしようかしら?」
女が指さしたのは聖女サマか。これはまた嫌な組み合わせだな。
一応女同士になる訳か。
「私はこの茶番を終わらせられるなら誰でも構わないわ。さっさと始めましょう」
「私はフールフール。フルちゃんと呼んでくれて構わないわ」
投げキッス付きとは、折角なら美人な姉ちゃんとやりたかったが……レイヴンの視線がさっきから刺さって痛ぇんだよな。
「ゼパルは……レイヴンか。俺も共にやろう」
「ディートリッヒ様、ありがとうございます。師匠、こちらはお気になさらず自身の戦いに集中してください」
「おう、任せとけ。危ない時は助けてやるからよ」
俺らの配置が決まってくると、ふわふわと浮いていたウァラクもゼパルの側に寄ってくる。
「ゼパルが一人じゃかわいそうだから、僕はコッチで遊ぼうかなー?」
ゼパルとレイヴン。で、ウァラクもそっちにいくと。
俺だけ相手が固定ってのも気に入らねぇんだが……レイヴンに触ろうとしたヤツだ。
さっさとぶちのめした方がいい。
「仕方ねぇ、ディー。そっちは任せる。サラマンダー、あとどれくらいコッチにいられそうだ?」
「この戦闘が終わるまでは無理だ。あと一撃くらいは手伝えそうだが……」
「じゃあ、俺じゃなくてレイヴンに付いてくれ。一撃かますか何かしら守ってくれりゃあそれでいい」
「お前はどうする?」
サラマンダーは意外と真面目に考えてくれてるみたいだな。
ディーなら力負けはしねぇだろうから、そこは安心だとして。
サラマンダーとウンディーネがいれば後少しは何とか助けてもらえるだろ。
「俺も仕方ねぇから、久しぶりにぶっ放すとするか」
「テオ、くれぐれも我々の戦いを邪魔してくれるなよ。お前は後先考えずに攻撃するからな」
「そっくりそのまま返すぜ、ディー。レイヴンだけは守れ。俺も勿論そのつもりだが」
俺らの様子を見ていたちまいのが、どうすればいいのかきょろきょろしてやがる。
まあ、コイツもそれなりの戦力なんだろうが……どうしたもんか。
「お前もレイヴンを守れ。お兄ちゃんの側がいいだろ?」
「うん。わかった。おじちゃんは?」
「おじちゃん……間違っちゃいねぇが、俺の名前はテオドールだ。俺は一人の方が気楽なんだよ。気を遣うってのは面倒でな」
「ておど……てお? わかった。おにいちゃんのそばにいるよ!」
「ああ、テオでいい。頼んだぞ」
ちまいのの頭もポンと撫でてやってから、正面を向いてヤツと対峙する。
軽く肩を回しながら、真正面のムカつくツラを眺めてやるが……うすら笑いも腹立つな。
絶対的余裕があるヤツは今までに何度も見てきたが……コイツはそれが嘘でもないってのがな。
俺とレイヴンで全員に強化と防御をかけて、俺は身体保護をついでに被せる。
ここからは奴らも本気を出すかもしれねぇし、できることはやっておかねぇとな。
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