【第二部開始】風変わりな魔塔主と弟子

めーぷる

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第十六章 遊戯に翻弄される魔塔主と弟子と騎士と聖女

387.言葉の意図は?

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 対峙している二人は一度剣を押し込みあってから、また少し距離を取る。
 そしてまた真っ向から刃と刃をぶつけ合って、ギリギリと押し付け合う。
 とにかく真正面からぶつかり合うのが続いてるせいで、油断をすれば剣が弾かれちまって終わりだろうな。

「どうやら打ち合いが好みなようだな。まだまだ体力は有り余っている。しばらく付き合ってもいいが……あまり長引かせると外野が煩そうだ」
「ガイヤトハ……オマエヲミテイルモノタチカ?」
「ああ。俺の戦いを見守ってくれている者たち。つまり仲間だな」
「ナカマ……ナカマノナカニ、アイスルモノガイルトイウコトカ」

 ゼパルの野郎、また妙な問いかけをしてきやがった。
 コイツ、やたらと愛だのとほざきやがって。
 恋愛っていう意味なら、コイツは一番かけ離れた位置にいるから無駄な質問なんだよなァ。
 腹も立つし、もうしゃべらずにとっとと黙ってほしいんだが。

「お前の言う愛がどの愛を指すのかによるが、友として仲間としての愛は友愛とも言うのではないか?」
「ホウ?」

 激しく剣を交えながらする会話とは思えないが、これが遊戯ってヤツなら従うしかねぇのか。
 これはある意味拷問に近いな。寒気とイラつきに耐え続けろって言うのがなァ?

「アイハトウトイモノダトモキイタ。ソレナラバミマモリツヅケルカ」
「見守るだと? 一体何の意図が……」

 ディーが何度目か分からない刃を交えたところで、急に矛先が変わって俺らのいる方に赤い甲冑が勢いよく向かってくる。

「え……テオドール様! なんかコッチに突撃してくるんですけど!」
「チッ! 一体何がしたいんだよコイツは。おい、ディー!」

 ディーは俺が声をかける前に俺らの前へすっ飛んできて、ゼパルが放ってきた剣をがっちり受ける。
 勢いを受け流しきれずに、ディーが押されて後ずさりしてきた。

「ちゃんと愛する者を守ってくれよ? ……自分で言っても寒気がするな」
「師匠! 余計なことを言ってないで守りを固めてください」

 真面目なレイヴンは念のために光の盾ライトシールドを展開しているが、ディーならこれくらいはどうってことねぇからな。
 それより、ゼパルの野郎の目的をはっきりさせねぇと時間の無駄になっちまう。

「ディー、さっさと終わらせろ」
「無茶ばかり言ってないで、お前も策を考えろ! 愛を語るなど、俺にはできんぞ」
「力は拮抗きっこうしていますもんね。早く問いかけの正解を導かないと……しかし団長じゃ答えを導けませんよ?」

 ウルガーは相変わらずサラッと本心を混ぜてきやがるな。
 まあ、間違ってねぇからこそ会話を拾ってる訳だが。
 こうなったら適当にコイツが愛する者だって言っちまえばいいか?
 見守りたいだとかぬかしてる訳だから、逆に見せつけたら納得するかもしれねぇ。
 俺とレイヴンを除くなら、ウルガーか聖女サマの二択だ。
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