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第十五章 自信満々な魔塔主と更に強くなった弟子
374.追いかけてきたのは
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謁見室を後にすると、ウルガーが分かりやすく気を抜いてわざとらしくはぁーっと息を吐いてくる。
「前に言ってたヤツ、やっぱり本気だったんですね。しかもお相手さんまでやる気満々じゃないですか。俺なんて一捻りでやられそうなんですけど、どうしろと?」
「ウルガー、お前何気なく忘れたフリして逃げようとしてただろ。思い出せて良かったなァ?」
「相変わらず性格悪……いえ、何でもありませんよ。何でも。で、改めて。ついでに俺も行く訳ですが。団長も筋肉量が増えた以外、何か対策は?」
ウルガーがディーに話を振ると、ディーは自信満々な顔をしながら俺とレイヴンに視線を流してくる。
こういう時のディーは、どうせ何も考えてねぇんだよな。
聞くだけ無駄なんだが、レイヴンはしっかり聞く体制をとっちまってる。
「心身ともに問題ない。相手が魔族だろうと、自分の持てる力をぶつけて戦うのみだ」
「さすがディートリッヒ様です。鍛錬もかかさず行っていらっしゃるし、やはり騎士団長は騎士の鑑です」
で、大体レイヴンが褒めちまうもんだから勘違いすんだよな。
まただと危惧してんのは、俺とウルガーだけなんだよ。
まあ……馬鹿力だけでも戦力だからな。コイツなら魔族も武力でぶっとばせるだろ。
「ウルガー、無駄なこと聞いてないで脳筋と一緒に準備してこい。俺たちも準備しに行かねぇとな」
「はい。師匠、出発はすぐにですよね」
「ああ。招待状で呼び出すお遊びをしたかっただけでどうせそこら辺に迎えがいるんじゃねぇの? 別に馬でも構わねぇがヤツらも時間はかけたくないだろうしな」
ウルガーも口だけで、どうせこうなることを想定して準備してきてるだろうしな。
ディーとレイヴンを引き離してから魔塔へ戻ろうとした帰り道、また聞きたくもない声が背中側から聞こえてきた。
「待って二人とも!」
「レイヴン振り返らなくていいぞ。嫌な予感がする」
「そういう訳には……この声は、聖女様?」
仕方なく振り返ると、予想通りヤツがいた。
普段は神殿に引きこもってるから会わないが、聖女クローディアンヌ様が息を切らせて俺らを追っかけてきたらしい。
清楚な白のドレスの乱れを直しながら、こっちに微笑みかけてきやがった。
金糸のような美しいブロンドの長い髪と、紫の優しい瞳が正に聖女に相応しく美しいとか言われてたな。
見目だけなら認めざるを得ないが、中身は男で本来の名前はクロード。年齢は俺より上だ。
女神から授かるっていう聖女の力のせいで肉体年齢が止まっちまってるから、見た目は二十代にしか見えねぇせいで騙されちまうヤツも多い。
コイツは俺に対して暴言も平気で吐くし、持ってる杖で普通に頭を殴ってくるからな。
「さっき陛下に許可をいただいてきたの。私も貴方たちに同行する」
「はあ? お前まで来たら誰がこの国を守るってんだよ」
「いざというときは同士が協力してくれるから大丈夫だと仰っていたわ」
「同士って……もしかして?」
協力関係で陛下も知ってる俺らに協力しそうなヤツらと言えば……エルフたちか。
アイツら、自分たちの森はいいのか?
まあ、結界があるからある程度の攻撃なら耐えられるのかもしれねぇが。
「あなたたちの活躍のおかげで、エルフたちもちょっかいをかけられることなかったから若い子たちも修行できたそうよ」
「そう、ですか……」
この様子だとレイヴンは何も聞かされてなかったみてぇだな。
俺らが知らないうちにクレイン父さんと陛下の間で約束事が交わされたってことだろうしな。
クレイン的には息子を心配して、せめてもの援助ってことなんだろう。
聖女サマにはレイヴンの生い立ちのことは話してねぇが、一緒に来るってんならレイヴンが力を存分に発揮するためにも話しておいた方がいいかもしれねぇな。
最終決定はレイヴン次第だが……レイヴンは俺に目線で合図を送ってきた。
「前に言ってたヤツ、やっぱり本気だったんですね。しかもお相手さんまでやる気満々じゃないですか。俺なんて一捻りでやられそうなんですけど、どうしろと?」
「ウルガー、お前何気なく忘れたフリして逃げようとしてただろ。思い出せて良かったなァ?」
「相変わらず性格悪……いえ、何でもありませんよ。何でも。で、改めて。ついでに俺も行く訳ですが。団長も筋肉量が増えた以外、何か対策は?」
ウルガーがディーに話を振ると、ディーは自信満々な顔をしながら俺とレイヴンに視線を流してくる。
こういう時のディーは、どうせ何も考えてねぇんだよな。
聞くだけ無駄なんだが、レイヴンはしっかり聞く体制をとっちまってる。
「心身ともに問題ない。相手が魔族だろうと、自分の持てる力をぶつけて戦うのみだ」
「さすがディートリッヒ様です。鍛錬もかかさず行っていらっしゃるし、やはり騎士団長は騎士の鑑です」
で、大体レイヴンが褒めちまうもんだから勘違いすんだよな。
まただと危惧してんのは、俺とウルガーだけなんだよ。
まあ……馬鹿力だけでも戦力だからな。コイツなら魔族も武力でぶっとばせるだろ。
「ウルガー、無駄なこと聞いてないで脳筋と一緒に準備してこい。俺たちも準備しに行かねぇとな」
「はい。師匠、出発はすぐにですよね」
「ああ。招待状で呼び出すお遊びをしたかっただけでどうせそこら辺に迎えがいるんじゃねぇの? 別に馬でも構わねぇがヤツらも時間はかけたくないだろうしな」
ウルガーも口だけで、どうせこうなることを想定して準備してきてるだろうしな。
ディーとレイヴンを引き離してから魔塔へ戻ろうとした帰り道、また聞きたくもない声が背中側から聞こえてきた。
「待って二人とも!」
「レイヴン振り返らなくていいぞ。嫌な予感がする」
「そういう訳には……この声は、聖女様?」
仕方なく振り返ると、予想通りヤツがいた。
普段は神殿に引きこもってるから会わないが、聖女クローディアンヌ様が息を切らせて俺らを追っかけてきたらしい。
清楚な白のドレスの乱れを直しながら、こっちに微笑みかけてきやがった。
金糸のような美しいブロンドの長い髪と、紫の優しい瞳が正に聖女に相応しく美しいとか言われてたな。
見目だけなら認めざるを得ないが、中身は男で本来の名前はクロード。年齢は俺より上だ。
女神から授かるっていう聖女の力のせいで肉体年齢が止まっちまってるから、見た目は二十代にしか見えねぇせいで騙されちまうヤツも多い。
コイツは俺に対して暴言も平気で吐くし、持ってる杖で普通に頭を殴ってくるからな。
「さっき陛下に許可をいただいてきたの。私も貴方たちに同行する」
「はあ? お前まで来たら誰がこの国を守るってんだよ」
「いざというときは同士が協力してくれるから大丈夫だと仰っていたわ」
「同士って……もしかして?」
協力関係で陛下も知ってる俺らに協力しそうなヤツらと言えば……エルフたちか。
アイツら、自分たちの森はいいのか?
まあ、結界があるからある程度の攻撃なら耐えられるのかもしれねぇが。
「あなたたちの活躍のおかげで、エルフたちもちょっかいをかけられることなかったから若い子たちも修行できたそうよ」
「そう、ですか……」
この様子だとレイヴンは何も聞かされてなかったみてぇだな。
俺らが知らないうちにクレイン父さんと陛下の間で約束事が交わされたってことだろうしな。
クレイン的には息子を心配して、せめてもの援助ってことなんだろう。
聖女サマにはレイヴンの生い立ちのことは話してねぇが、一緒に来るってんならレイヴンが力を存分に発揮するためにも話しておいた方がいいかもしれねぇな。
最終決定はレイヴン次第だが……レイヴンは俺に目線で合図を送ってきた。
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