【第二部開始】風変わりな魔塔主と弟子

めーぷる

文字の大きさ
上 下
372 / 483
第十四章 準備万端な魔塔主と常に努力する弟子

370.今夜だけは※

しおりを挟む
 あまり身体を動かさずに一体感を楽しんでいると、レイヴンが更に身体を密着させてきた。
 お互いに触れあう面積が広いと、単純な気持ちよさもあるが安心感もある。
 あまり動かさずにいると、レイヴンもふわふわ気分から少し意識が戻ってきたみてぇだな。

「いつもみたいに激しくないのに……凄く愛されてる感じがします」
「俺はどっちの時も同じ気持ちなんだがなァ?」

 ツンと戯れに奥を突くと、ひゃんっという可愛らしい声があがる。
 レイヴンは恥ずかしさを思い出したように、ぎゅううと俺のことを力いっぱい抱きしめてくる。

「おー。熱烈な歓迎だな」
「もう……テオの意地悪」

 俺の耳元で囁いたレイヴンが、仕返しとばかりに耳を食んでくる。
 可愛い反撃に、レイヴンのナカで大人しくしてた俺の分身も喜んで大きくなっちまった。

「ぁ……」
「優しく可愛がってんだから、大人しくしとけっての」

 嗜めるように頭のてっぺんにキスを落として、イイコイイコと頭を撫でる。
 ゆさゆさと身体を揺らすが、刺激を与えるのは最小限にして唇で耳や頬に触れていく。
 唇に触れた時だけ、啄むように何度もキスを繰り返す。

「苦しいはずなのに……このまま繋がっていたい、だなんて」
「俺は構わないけどな。なんなら寝てもいいぞ。俺はさっきも言った通り、今夜は側にいて離さない」

 額と額を優しく合わせて、念押しのキスをする。
 レイヴンと目を合わせると、綺麗な焦げ茶の瞳は俺だけを捉えていた。
 表情を見ていても、嬉しそうにしているのがよく分かる。
 今晩のやり取りは大変お気に召したみたいだな。

「はい。俺も……テオの側にいます」
「可愛いこと言ってくれるじゃねぇか。いつもそのくらい可愛くてしてくれりゃあ満点だってのによ」
「っ! も、言いながら……ぁ、あんまり奥で動かしたらダメ、だからぁ……」

 ゆっくり動かしても俺の存在感は誤魔化せないらしい。
 しっかり感じちゃうところはレイちゃんだよなぁ。
 笑いながら謝るとレイヴンは一瞬むくれた顔をして見せたが、すぐに笑顔に戻る。

「テオも我慢するのは大変でしょうし……辛くなったら、動いても……いいんですよ?」
「出したくなったら出すから、気にすんな」
「言い方が……ぁ、んっ」

 時々擦れるところはレイヴンにとっても我慢しきれない場所だろうな。
 目を閉じてやりすごそうとしてるが、このまま強く刺激すればあっさり果てちまうかもしれねぇ。
 
「今晩くらいは、もっと甘えても……いいですよね」
「ああ。今は俺のことだけ考えとけ。じゃないと、意識が飛ぶまでやっちまうからな」
「いつも、そうしてる癖に……」

 レイヴンも同じことを察してるんだよな。
 暫くはゆっくり過ごす時間もなくなっちまうってことにな。
 そろそろ、待ちくたびれてコッチにちょっかいかけてきそうな邪魔者を何とかしなくちゃいけねぇし。
 だからこそ今夜はレイちゃんと一緒に、甘い時間に溺れながらゆっくりじっくり愉しまねぇとな。
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

すずらん通り商店街の日常 〜悠介と柊一郎〜

ドラマチカ
BL
恋愛に疲れ果てた自称社畜でイケメンの犬飼柊一郎が、ある時ふと見つけた「すずらん通り商店街」の一角にある犬山古書店。そこに住む綺麗で賢い黒猫と、その家族である一見すると儚げ美形店主、犬山悠介。 恋に臆病な犬山悠介と、初めて恋をした犬飼柊一郎の物語。 ※猫と話せる店主等、特殊設定あり

秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~

めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆ ―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。― モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。 だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。 そう、あの「秘密」が表に出るまでは。

俺は魔法使いの息子らしい。

高穂もか
BL
吉村時生、高校一年生。 ある日、自分の父親と親友の父親のキスシーンを見てしまい、平穏な日常が瓦解する。 「時生くん、君は本当はぼくと勇二さんの子供なんだ」 と、親友の父から衝撃の告白。 なんと、二人は魔法使いでカップルで、魔法で子供(俺)を作ったらしい。 母ちゃん同士もカップルで、親父と母ちゃんは偽装結婚だったとか。 「でさ、魔法で生まれた子供は、絶対に魔法使いになるんだよ」 と、のほほんと言う父親。しかも、魔法の存在を知ったが最後、魔法の修業が義務付けられるらしい。 でも、魔法学園つったって、俺は魔法なんて使えたことないわけで。 同じ境遇の親友のイノリと、時生は「全寮制魔法学園」に転校することとなる。 「まー、俺はぁ。トキちゃんと一緒ならなんでもいいかなぁ」 「そおかあ? お前ってマジ呑気だよなあ」 腹黒美形×強気平凡の幼馴染BLです♡ ※とても素敵な表紙は、小槻みしろさんに頂きました(*^^*)

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

今世はメシウマ召喚獣

片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。 最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。 ※女の子もゴリゴリ出てきます。 ※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。 ※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。 ※なるべくさくさく更新したい。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

拝啓お父様。私は野良魔王を拾いました。ちゃんとお世話するので飼ってよいでしょうか?

ミクリ21
BL
ある日、ルーゼンは野良魔王を拾った。 ルーゼンはある理由から、領地で家族とは離れて暮らしているのだ。 そして、父親に手紙で野良魔王を飼っていいかを伺うのだった。

暁にもう一度

伊簑木サイ
ファンタジー
成り上がり貧乏辺境領主の後継者ソランは、金策のため、「第二王子を王太子になるよう説得できた者に望みの褒美をとらす」という王の頼みごとを引き受けた。 ところが、王子は女嫌いということで、女とばれないよう、性別を隠して仕えることになる。 ソランと、国のために死に場所を探している王子の、「死なせない」と「巻き込みたくない」から始まった主従愛は、いつしか絶対に失いたくない相手へと変わっていく。 けれど、絆を深めるほどに、古に世界に掛けられた呪いに、前世の二人が関わっていたと判明していき……。 『暁に、もう一度、あなたと』。数千年を越えて果たされる、愛と祈りの物語。

処理中です...