【第二部開始】風変わりな魔塔主と弟子

第十四章 準備万端な魔塔主と常に努力する弟子

369.かけがえのない存在※

　こうやってじわりじわりとレイヴンを追い詰めていくのも悪くない。
　ただ、俺の欲望がレイヴンのナカへ入りたがってうずうずしてるってだけだ。
　増やした指で丁寧に刺激していくと、レイヴンも俺を受け入れる準備ができてきたみてぇだ。

「んぁ、あ……っふ」
「痛くはなさそうだな。どんな感じだ？」
「ふぇ……？　ぁ、ん……」

　とろんとした目が俺へ向けられる。
　唇が僅かに動くのを見逃さずに耳を近づけると、レイヴンが律儀に気持ちいいと言っているのが分かって思わずニヤケちまう。

「そうか。なら、良かった。熱くて程よく締め付けてくる。レイヴンはホント俺のことが好きみたいだな」
「ひゃんっ！　ん……すき」

　レイヴンがお気に入りの場所をコリっと引っ搔くと、甲高い声が上がる。
　レイちゃんも順調に蕩けてきたみたいで、一安心だ。
　ご褒美のキスをしながらゆっくりと指を引き抜くと、名残惜しそうにきゅうっと入り口を締められた。

「さて……お次は？」

　俺が問うと、レイヴンがもじもじしながら後孔をひくひくと震わせてくる。
　分かりやすいお誘いに舌なめずりしかけて、慌てて笑顔に切り替えた。

「テオを……もっと感じたい」
「もっと、ねぇ？　キスか？　それとも……」

　優しく尋ねると、レイヴンの手がそっと俺自身に触れた。
　レイヴンは恥ずかしそうにしながら、屹立をひくついている後孔へと導く。

「……両方」
「分かった」

　お強請りされたら、応えねぇとな。
　唇を合わせながら、なるべくゆっくりめに欲望を差し入れていく。
　つぷ……という感触がすると一気に挿入したくなる衝動に駆られるが、何とか抑え込んでじわじわと攻める。

「……っ！」

　同時に口内へ舌を差し入れて、レイヴンの舌をちゅっと吸い上げる。
　上は少し強めの刺激に、下は優しめの刺激で調節するとレイヴンの中がギュウと縮こまる。
　ナカで絡みつく感触が堪らない。
　俺も息を逃しながら進めねぇと、意識を持っていかれちまいそうだ。

「ッ、良さそうで何よりだ」
「あぁっ、あ、んっ！」

　ゆっくりと最奥に到達したところで一旦動きを止めて、キスの方に集中する。
　舌と舌を絡み合わせ、時々舌先で口内も擽る。

「んあぁ……ぁ、っふ」

　締め付けが弱まったところで、ゆさゆさと身体を揺らして優しく最奥を刺激する。
　トントンと一定の間隔で叩くと、レイヴンの薄く開かれた瞳からツーっと涙が流れてくる。

「キツイか？」
「んっ……だいじょうぶ……」

　ちゅっと唇へ口付けてから、涙を掬うように目尻と頬へ順に唇を触れさせる。
　その間も緩く身体を揺らして、刺激していく。
　
「ふぁっ、あ……ん、んん……」
「イイ感じか？」
「ん……ふわふわして、ぽかぽかする……」

　その言葉通り、レイヴンは目尻を赤く染めながら幸せそうに微笑んでいた。
　どうしてもがっついちまうのは、俺の癖みたいなもんだからな。
　無理にイカせようとせずに、じっくり堪能してもらうのも悪くない。
　心が満たされるってのも、安心するもんだからな。

　愛おしさを込めてギュウっと抱きしめると、レイヴンも答えるように両腕と両足を俺へ絡ませてくる。
　自然と欲望がレイヴンのナカの深い位置で固定された。

「テオ……すき」
「ああ。俺もだ、レイ。こうして一晩中、繋がっていたいくらいにな」

　これは本心だしな。
　絶対に手放したくない、かけがえのない存在。
　ずっと側において、永遠に可愛がっていたい。
　正直、何もかもどうでもいい。レイがいればいい。

　って、俺まで頭の中がふわふわになっちまうな。
　それくらい、俺もレイヴンに溺れてるってことだ。
　ギリギリの理性で正気を繋ぎとめて、今はレイヴンを可愛がることだけに集中する。