【第二部開始】風変わりな魔塔主と弟子

めーぷる

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第十三章 魔塔に残った魔塔主と修行する弟子

360.師匠と弟子の久しぶりの再会

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 次の日、早朝に起きてから適当に身支度を整えて一服していた。
 レイヴンを迎えに行く日くらいは早めに行ってやらねぇと、後で文句を言いそうだな。
 レイヴンのことだから真剣に強くなろうと特訓だーとか騒いで頑張ってただろうし、少しは優しくしてやるか。

 煙草を灰皿へ押し付けてから、精神を集中させる。
 わざわざ集中するのは眠気のせいもあるが、ここからエルフの里まではちょいと距離があるからな。
 座標がズレるのも面倒臭ぇし、あそこはレイヴンに付けてる目印も結界で分かりづらくなっちまう。
 本来はレイヴンのことを思い浮かべることが一番手っ取り早いが、仕方ねぇ。

「さてと、お迎えに行くとするか」

 頭の中で座標をしっかりと思い浮かべ、魔法を発動させた。

 +++

 計算通りにエルフの里の結界前に降り立つ。
 俺が来たことに気づくかどうか、ちょっと結界にちょっかいでもかけてみるか。

石の雨ストーンレイン

 手を振り上げ、結界めがけて小さな石の雨を降らせる。
 手加減してやってるし、結界には影響もないはずだが気づくかどうかだな。

 腕組みして少し待っていると、スッと結界が解かれる。
 目の前に焦った顔をしたレイヴンと、苦笑しているクレインが立っていた。

「テオ! 結界に攻撃を仕掛けるだなんて、何を考えているんですか!」
「攻撃だなんてそんな大層なもんじゃねぇだろうが。大げさだな」
「レイヴンの言いたいことも分かるが、テオドールは我々が敵の侵入に迅速に気づくかどうかを試してくれたのだろう?」

 クレインは予想通りの反応を返してきた。
 まあ、俺の意図にも気づけないようじゃ里長なんて務まらないだろうからな。
 それでもレイヴンは全てを理解した上で怒っているみたいだな。

「迎えは助かりますけど、やり方がいつも乱暴なんですよ。どうしていつも強引に……」
「ったく、久しぶりに会ったってのにまた説教か? お前のせいでディーにも絡まれたってのによ」

 ディーの名前を出すと、レイヴンの動きがピタリと止まる。
 じぃっと俺を睨むように見上げてきた。

「テオ……まさか、暴れたんですか?」
「お前なぁ……」

 俺たちのやり取りを見ていたクレインがこほんとわざとらしい咳払いをする。
 レイヴンはハッとしたような顔をしてから、恥ずかしそうに少し頬を赤らめた。

「……続きは戻ってから話しましょう。ここだと、お父さんたちに迷惑がかかりますから」
「迷惑はかからないが、ここで立ち話というのもどうかと思ってな」
「まあ、結界を開けたままってのは良くねぇよな。あんたの気遣いに感謝でもしとくか」

 気が利くお父様ってところだな。
 レイヴンは妙にそわそわしてやがるが、問答無用で腕を掴んで俺の方へ引き寄せた。

「テ、テオ!」
「ご迷惑をおかけしないうちに、退散しちまうか。クレイン、里のことはあんたに任せた」
「テオドールらしいな。では、レイヴンのことを頼んだぞ」

 ニッと笑って見せると、クレインも俺と似たような顔で笑い返してきた。
 察してるぞってか? エルフの里長様は伊達に年食ってる訳じゃねぇな。
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