【第二部開始】風変わりな魔塔主と弟子

めーぷる

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第十三章 魔塔に残った魔塔主と修行する弟子

359.最後の仕上げ

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 ディーとやり合ってから、少しだが頭の中はスッキリした。
 アイツに感謝したくはねぇが、たまには役に立つらしいな。
 風呂に入って汗を流してからもう一度机へ向かうと、落ち着いて考えられるようになった。
 
 頭の中で様々な角度から魔法を構築して、魔力マナの流れをまとめあげていく。
 魔法は感覚的な部分もあるしあらゆる知識を組み合わせて答えを導く場合もあるが、それを全て人に説明するのは面倒なもんだ。
 俺自身魔法の真理を追及していくことは嫌いじゃねぇが、人様に教えるのは向いてねぇ。
 だがレイヴンは、俺と魔法の感覚が似ているところがある。
 じゃなきゃ、俺の弟子なんてやってられないだろうな。
 俺が説明したことを、嫌そうな顔をしながら最終的に理解するから優秀な弟子なんだよなぁ。
 レイヴンのためにも、俺は魔族を圧倒するような強い力を追い求める必要がある。

「対魔族用ってんだから、単純な火力だけって訳にもいかねぇからな」

 アイツらに付き合うには、攻撃と防御の両方を考えなきゃならねぇ。
 本当は大火力をぶっ放して一撃必殺ができればいいんだが、そう易々といかねぇだろうしな。
 魔族がどういう手段で来るのか予想しきれねぇからこその準備だ。
 
「これが終わったら、そろそろレイちゃんを迎えにいかねぇとな」

 レイヴンがどれだけ成長してるのか、楽しみだ。
 俺も師匠らしいところを見せてやれば、久しぶりに会った俺へ自らご奉仕してくれるかもしれねぇ。
 いい加減、たまっちまって困ってたところだ。
 会ったらまず、何をしてやろうか?

「まあ、コッチへ帰ってきてからだな。さすがにクレインの前でヤる訳にいかねぇか」

 俺もそこまで鬼畜じゃねぇし。
 レイちゃんは俺のことを全く信用してねぇが、お父様の前で息子の痴態を見せつけたいなんて性癖は持ち合わせてねぇんだよな。
 
 正直、たまった鬱憤はレイヴンを愛でることで解消させたいところだが……レイヴンを含めて、周りの後始末が面倒臭いのが目に見えてるんだよなァ。
 あのディーもギャンギャン吠えてうるせぇだろうし。

「今日中に片づけちまって、明日迎えに行くか」

 そうと決まれば、面倒ごとは素早くやっつけちまうに限る。
 一旦レイヴンへの欲望は心の奥底へ沈めて、目の前のことに集中していく。
 時々煙草もふかしながら、書き出した資料を一つの形へ纏めていく。
 
 最後の仕上げを本に書き出していくと、漸く自分のやりたい形になってきた。
 これなら新しい魔法も完成しそうだな。
 この魔法は制御が難しくなるだろうが、うまくいけばレイヴンにもいつか伝授してやれる。
 
 ただ、使い方によっては危険を伴う魔法もあるからな。
 危険な方はまだ俺の中だけに留めておいた方がいいだろうな。
 レイヴンには精霊魔法っていう強みがあるし、アイツのことは精霊も守ってくれるはずだろうよ。
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