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第十三章 魔塔に残った魔塔主と修行する弟子
357.真剣勝負
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ディーは表情を変えると、行くぞと低い声で呟いた。
ヤツが纏う空気まで変化してきやがった。
コイツ、マジで手加減するつもりねぇな?
ディーは俺の方へ一気に距離を詰めて、剣を振り下ろしてきた。
ガキンっと金属同士がぶつかる音が響く。
一撃目は受け止めたが、重い一撃を受け流すまではできなかった。
拳で受け止める場合はナックルに強化魔法をかけておくから重さは多少軽減されるんだが、最初っから魔法に頼るのもな。
魔法なしだと、正直受け止めるだけで精一杯になっちまうな。
「チィッ! 相変わらず馬鹿力だな!」
「まだ減らず口を叩く余裕はありそうだな。やはり、お前に手加減など必要なさそうだ」
「この調子でウルガーともやり合ってんだとしたら、アイツに同情するぜ」
にらみ合っていても仕方ねぇ。
俺から後ろへ飛んで、一旦距離を取る。
俺が習っていたのはアレーシュ剣術でこの国に伝わる主流の剣術だが、ディーは更にアーベライン家に伝わる剣術も混ざってるから面倒だ。
コイツの太刀筋は何度も見て来てるから何とかついていけるが、じゃなけりゃ一撃目で吹き飛んで終わりだっただろうな。
「どうした、もう降参か?」
「俺はお前と違うんだよ。綿密な計算をして戦闘を組み立てる技術屋だっての」
「よく言う。テオが近接戦闘を行う時は、楽しそうに殴りつけていたはずだがな」
「いちいちうるせぇな。俺が何故かお前に合わせてやってんだ。剣は力任せだけじゃお前には勝てねぇってことくらい分かってんだよ」
ムカつくが、ディーは強い。
だからこそ、剣でやり合うならば色々作戦を練らないといけねぇんだよな。
余計に疲れることをやらせる意図が分からねぇ。
本気で腹が立ってきたな。
「魔法を使わないのか?」
「最初から使ったら楽しくねぇだろ? 優しいテオドール様はお前に付き合ってやってんだ」
「フッ……俺にそんなことを言えるのはテオくらいだな。俺の部下たちもすぐに音を上げるから張り合いがない」
「そりゃ……お前が突進してきたら面倒だから……って、来るんじゃねぇ! 聞けよ!」
話をしながら戦略を練ってたってのに、聞きやしねぇ。
俺の身体が剣の勢いに押されちまう。
剣でギリギリと押し込まれると、このまま身体ごと叩き斬られちまいそうだ。
「っつーか今更だが、この剣で斬られたらケガするよなァ?」
「だろうな。まあ、危険だと思ったら手を止めるから安心しろ」
「ホントかよ……嘘くせぇな」
隙を狙って右足で思い切りディーの腹を蹴り飛ばすと、不意打ちになったみたいでディーの身体が離れた。
また距離を取ってから、今度は俺の方から距離を詰めていく。
「足癖の悪い男なのを忘れていた。なかなかやるじゃないか」
「上から目線なのは気に食わねぇが、誉め言葉として受け取っておいてやるよ」
上から振り下ろすと見せかけて、剣の軌道を変化させる。
が、読まれていたせいで下から斬り上げた俺の剣は、ディーの剣に止められてしまった。
やっぱりこの程度の小細工じゃ通じねぇか。
勢いのまま何度か剣と剣で撃ち合うが、どの攻撃も軽く受け流されちまってる。
これだからディーは。面倒なんだよ。
ヤツが纏う空気まで変化してきやがった。
コイツ、マジで手加減するつもりねぇな?
ディーは俺の方へ一気に距離を詰めて、剣を振り下ろしてきた。
ガキンっと金属同士がぶつかる音が響く。
一撃目は受け止めたが、重い一撃を受け流すまではできなかった。
拳で受け止める場合はナックルに強化魔法をかけておくから重さは多少軽減されるんだが、最初っから魔法に頼るのもな。
魔法なしだと、正直受け止めるだけで精一杯になっちまうな。
「チィッ! 相変わらず馬鹿力だな!」
「まだ減らず口を叩く余裕はありそうだな。やはり、お前に手加減など必要なさそうだ」
「この調子でウルガーともやり合ってんだとしたら、アイツに同情するぜ」
にらみ合っていても仕方ねぇ。
俺から後ろへ飛んで、一旦距離を取る。
俺が習っていたのはアレーシュ剣術でこの国に伝わる主流の剣術だが、ディーは更にアーベライン家に伝わる剣術も混ざってるから面倒だ。
コイツの太刀筋は何度も見て来てるから何とかついていけるが、じゃなけりゃ一撃目で吹き飛んで終わりだっただろうな。
「どうした、もう降参か?」
「俺はお前と違うんだよ。綿密な計算をして戦闘を組み立てる技術屋だっての」
「よく言う。テオが近接戦闘を行う時は、楽しそうに殴りつけていたはずだがな」
「いちいちうるせぇな。俺が何故かお前に合わせてやってんだ。剣は力任せだけじゃお前には勝てねぇってことくらい分かってんだよ」
ムカつくが、ディーは強い。
だからこそ、剣でやり合うならば色々作戦を練らないといけねぇんだよな。
余計に疲れることをやらせる意図が分からねぇ。
本気で腹が立ってきたな。
「魔法を使わないのか?」
「最初から使ったら楽しくねぇだろ? 優しいテオドール様はお前に付き合ってやってんだ」
「フッ……俺にそんなことを言えるのはテオくらいだな。俺の部下たちもすぐに音を上げるから張り合いがない」
「そりゃ……お前が突進してきたら面倒だから……って、来るんじゃねぇ! 聞けよ!」
話をしながら戦略を練ってたってのに、聞きやしねぇ。
俺の身体が剣の勢いに押されちまう。
剣でギリギリと押し込まれると、このまま身体ごと叩き斬られちまいそうだ。
「っつーか今更だが、この剣で斬られたらケガするよなァ?」
「だろうな。まあ、危険だと思ったら手を止めるから安心しろ」
「ホントかよ……嘘くせぇな」
隙を狙って右足で思い切りディーの腹を蹴り飛ばすと、不意打ちになったみたいでディーの身体が離れた。
また距離を取ってから、今度は俺の方から距離を詰めていく。
「足癖の悪い男なのを忘れていた。なかなかやるじゃないか」
「上から目線なのは気に食わねぇが、誉め言葉として受け取っておいてやるよ」
上から振り下ろすと見せかけて、剣の軌道を変化させる。
が、読まれていたせいで下から斬り上げた俺の剣は、ディーの剣に止められてしまった。
やっぱりこの程度の小細工じゃ通じねぇか。
勢いのまま何度か剣と剣で撃ち合うが、どの攻撃も軽く受け流されちまってる。
これだからディーは。面倒なんだよ。
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