【第二部開始】風変わりな魔塔主と弟子

めーぷる

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第十三章 魔塔に残った魔塔主と修行する弟子

355.武闘派な騎士団長と魔塔主

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 ディーがご丁寧に吹き飛ばしてくれた資料を仕方なく集める。
 また目を通すっていう余計な仕事を増やされたんだよな。
 集めた資料は机の上へ置き直して、念のために空き瓶を重石代わりに載せておく。
 
 俺の苛立ちがディーにも伝わってるみたいだ。
 それすら気づけないなら、騎士団長なんて名乗るなって話しだからな。

「その……邪魔したみたいだな」
「口に出すんじゃねぇよ。余計にイラつくっての」
「しかし、お前がそこまで余裕なく不機嫌なのは珍しいな」

 脳筋なくせして、今だけ勘がいいのも余計に腹が立つ。
 昔からディーは痛いところを突いてくるときがあるんだよな。
 自然と舌打ちしちまった。

「もう帰れ。俺はまだやることがあるんだよ」
「そうか。だが、煮詰まってるんだろう? いつものお前ならもっと適当な理由を言って俺を騙すようにして帰そうとするはずだ」
「何が言いたい?」
「テオ、俺は大して役に立てないがお前のイラつきを受け止めるくらいはできる。少し身体を動かしてみてはどうだ?」

 ディーは……俺が何を言っても納得しなさそうだな。
 まあ、いい。
 売られたケンカは勝ってやるか。
 力任せにぶん殴れば、スッキリするかもしれねぇしな。
 ったく。相手がレイヴンだったら、思い切り可愛がれば俺もイイ意味でスッキリして一石二鳥なんだがなァ。

「そこまで言うなら、その気分転換ってヤツに付き合ってやる。結果何も生まれなかったら、酒と煙草を買わせるからな」
「酒と煙草? 俺が買う訳ないだろう。だが、テオと訓練するのは久しぶりだしな。本気でいかせてもらう」
「それはコッチの台詞だ。お前に付き合うってことは俺もぶん殴るしかねぇからな。スカッとさせてもらうか」
「テオの言っていることがそこらのゴロツキと変わらんが、まあいいだろう。これでレイヴンからの頼みも叶えることができる」

 コイツがレイヴンの名前を言うだけでもイライラするな。
 なんでディーなんかに俺のことを頼んだりするんだか。
 レイちゃんが帰ってきたらおしおきしねぇとな。

「そうと決まれば、訓練場へ移動するか」
「さっさとしねぇと、時間は有限だからな。ディーに使うのは癪だが、行くぞ」

 指でバルコニーを指し示し、ディーを連れ出す。
 俺からあんまり触りたくねぇが、移動テレポートで飛ぶ場合は対象に触れてないと飛ばせねぇからな。
 ディーのぶら下げてる剣の柄へ手を触れる。

「おい、テオまさか……」
「言っただろ、時間は有限ってな。感謝しろよ?」
「お前、もしかして移動テレポートを……ぐわっ!」

 そういやディーは移動テレポート苦手だったか?
 まあ、どうでもいいんだけどな。
 酔いやすいヤツもいるからなァ。
 変な声が聞こえた気もするが、無視だ無視。
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