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第十三章 魔塔に残った魔塔主と修行する弟子
354.補佐官がいない部屋
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今日も自室の机の前で煙草を燻らせて思案しているってのに、今一歩のところで頭に浮かんだものが消えてしまう。
ったく、魔塔主様とあろうものが情けねぇってな。
煙草を摘まんで灰皿へと押し付ける。
火が消えたところで気持ちが落ち着く訳でもねぇし、一旦諦めて立ち上がる。
「……チッ。どこまでも空気の読めねぇヤツ」
立ち上がったのと同時に、部屋の外の結界に人が触れたことに気づいた。
この感覚は一番会いたくねぇヤツだろうな。
すぐさま、扉を叩く音が聞こえてきた。
「テオ、いるんだろう? 大人しく出てこい」
言い方が脅しなんだよ。
今は相手する気力すらねぇっての。
このまま無視を決め込んでも、扉を壊す勢いで叩き続けるだろうな。
あー……面倒臭ぇ。
頭を掻きむしってから、仕方なく扉を開けてやった。
「いるならすぐ出てこい。それと……む、煙いな。部屋の喚起くらいできないのか?」
「うるせぇな。騎士団長様がわざわざ俺の自室までお越しとはな。俺はお前に呼び出されるようなことは何もしてねぇんだが」
「そう言うな。レイヴンがいなくなってから、お前のことが気になってな」
「はあ? だから、お前は俺の母親かっていつも言ってるだろうが。いい歳したおっさんの心配してどうするんだよ気持ち悪ぃな」
コイツの顔なんて見てると、ますます疲れが増してくるな。
シッシッと手で払っても、出ていく素振りも見せやしねぇ。
それどころかズンズンと部屋の中に入って来て、いきなり窓を開け放つ。
「おい、馬鹿! 急に窓なんぞ開いたら資料が飛ぶだろ? って、あー……遅かったか」
「俺は空気の入れ替えを……あ」
俺の言うことを聞きもしないどこぞの脳筋は、俺が書き溜めてた資料も吹き飛ばしてくれた。
咄嗟に結界を展開しなかったら、窓の外にも吹き飛んでたかもしれねぇな。
「すまない、部屋の汚さに耐えられなくてな」
「あのなぁ。おせっかいされるのもうぜぇが、せめて周囲の状況を確認してからにしろ。これだからウルガーがいつもぶつぶつ文句を言ってるんだろうが。騎士団長はいつも周りを何も見てないってな」
「それはそうだが、テオに言われると物凄く腹が立つな。お前は頭もボサボサで髭の手入れも怠っている。あげくの果てに部屋は空の酒瓶と紙屑だらけ。そこら中に煙草の煙を充満させているヤツに言われるのは屈辱的だ」
「ディー。お前、本当に何しに来たんだよ。俺の神経を逆なでしに来ただけなら今すぐ帰れ。俺はこう見えて忙しいんだっての」
分かるように言い放ってやると、漸く聞き耳を持ったらしい。
ディーは長く息を吐き出してから、無言で部屋に転がっているゴミだけを片づけ始めた。
「実はレイヴンに頼まれたんだ。暫くしたらテオの様子を見に行ってほしいとな」
「レイヴンが? なんでお前に」
「最初はウルガーに頼もうとしたらしいが、テオが不機嫌だった場合ウルガーでは太刀打ちできない可能性があると言ってな。俺なら抑えてくれるだろうと」
「アイツも俺のことを何だと思っていやがるんだ。レイヴンがいなくなったくらいで暴れまわるとでも思ってんのかぁ?」
鼻で笑ってやったが、ディーは来てみて良かったとかほざいてるしよ。
レイヴンも余計な頼み事をしていったもんだ。
ったく、魔塔主様とあろうものが情けねぇってな。
煙草を摘まんで灰皿へと押し付ける。
火が消えたところで気持ちが落ち着く訳でもねぇし、一旦諦めて立ち上がる。
「……チッ。どこまでも空気の読めねぇヤツ」
立ち上がったのと同時に、部屋の外の結界に人が触れたことに気づいた。
この感覚は一番会いたくねぇヤツだろうな。
すぐさま、扉を叩く音が聞こえてきた。
「テオ、いるんだろう? 大人しく出てこい」
言い方が脅しなんだよ。
今は相手する気力すらねぇっての。
このまま無視を決め込んでも、扉を壊す勢いで叩き続けるだろうな。
あー……面倒臭ぇ。
頭を掻きむしってから、仕方なく扉を開けてやった。
「いるならすぐ出てこい。それと……む、煙いな。部屋の喚起くらいできないのか?」
「うるせぇな。騎士団長様がわざわざ俺の自室までお越しとはな。俺はお前に呼び出されるようなことは何もしてねぇんだが」
「そう言うな。レイヴンがいなくなってから、お前のことが気になってな」
「はあ? だから、お前は俺の母親かっていつも言ってるだろうが。いい歳したおっさんの心配してどうするんだよ気持ち悪ぃな」
コイツの顔なんて見てると、ますます疲れが増してくるな。
シッシッと手で払っても、出ていく素振りも見せやしねぇ。
それどころかズンズンと部屋の中に入って来て、いきなり窓を開け放つ。
「おい、馬鹿! 急に窓なんぞ開いたら資料が飛ぶだろ? って、あー……遅かったか」
「俺は空気の入れ替えを……あ」
俺の言うことを聞きもしないどこぞの脳筋は、俺が書き溜めてた資料も吹き飛ばしてくれた。
咄嗟に結界を展開しなかったら、窓の外にも吹き飛んでたかもしれねぇな。
「すまない、部屋の汚さに耐えられなくてな」
「あのなぁ。おせっかいされるのもうぜぇが、せめて周囲の状況を確認してからにしろ。これだからウルガーがいつもぶつぶつ文句を言ってるんだろうが。騎士団長はいつも周りを何も見てないってな」
「それはそうだが、テオに言われると物凄く腹が立つな。お前は頭もボサボサで髭の手入れも怠っている。あげくの果てに部屋は空の酒瓶と紙屑だらけ。そこら中に煙草の煙を充満させているヤツに言われるのは屈辱的だ」
「ディー。お前、本当に何しに来たんだよ。俺の神経を逆なでしに来ただけなら今すぐ帰れ。俺はこう見えて忙しいんだっての」
分かるように言い放ってやると、漸く聞き耳を持ったらしい。
ディーは長く息を吐き出してから、無言で部屋に転がっているゴミだけを片づけ始めた。
「実はレイヴンに頼まれたんだ。暫くしたらテオの様子を見に行ってほしいとな」
「レイヴンが? なんでお前に」
「最初はウルガーに頼もうとしたらしいが、テオが不機嫌だった場合ウルガーでは太刀打ちできない可能性があると言ってな。俺なら抑えてくれるだろうと」
「アイツも俺のことを何だと思っていやがるんだ。レイヴンがいなくなったくらいで暴れまわるとでも思ってんのかぁ?」
鼻で笑ってやったが、ディーは来てみて良かったとかほざいてるしよ。
レイヴンも余計な頼み事をしていったもんだ。
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