【第二部開始】風変わりな魔塔主と弟子

めーぷる

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第十三章 魔塔に残った魔塔主と修行する弟子

349.いつも真面目な弟子<レイヴン視点>

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 テオに見送られながら、エルフの里の結界を潜る。
 討伐に行く時は一人の時もあるしいつもテオと一緒だという訳じゃなかったはずなのに、離れることを寂しく思うだなんて親離れできていない子どもみたいだ。
 テオの存在がより身近になったっていうことなのかな。
 これが好きだっていう気持ちそのものなのかもしれないけど、今は恥ずかしいしそれどころじゃないから気持ちに蓋をしておこう。

「レイヴン、大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。お父さんこそ、わざわざ迎えにきてくれたんですか?」

 少しぼんやりとしてしまったみたいだ。
 気づくと目の前に父さんとレクシェルさんがいた。
 里長自らだなんて、いいのかなぁ……でも横にいるレクシェルさんもニッコリと微笑んでいるから甘えていいってことなのかな。

「家族なんだから当たり前だろう。それよりも大変なことになったな。テオドールも色々と考えているのだろうが、彼の言う通り精霊魔法に関しては我々の方が詳しいからな」
「ええ。俺もまだまだですから、お父さんにしっかりと教えてもらうつもりです。いつまでも師匠のお世話になってばかりでは弟子として情けないですから」
「レイヴンさんは真面目なんですね。私も、微力ながら手伝わせてください。テオドールさんは私たちの里に被害が及ばないように魔族と交渉してくださったと聞きましたし」

 そうだ。
 あのハーゲンティと名乗った魔族は、言うことを聞かなければこの里を……って。
 だから、テオが無茶をして……。

「また浮かない顔をして。お前の気持ちも分かるが、我々はもっと歯がゆいのだ。直接来られたら私も村の皆を守ることくらいしかできないだろう。攻撃に転じる余裕はないのだから」
「そう、ですね。考える前に行動しなくっちゃ。お父さん、よろしくお願いします」

 勢いよく頭を下げると、ふわりと大きな手が頭の上に乗せられる。
 優しく撫でてもらうと、少しずつ余計な力が抜けてくる気がした。

「そうと決まれば、移動しようか。里の皆はハーリオンとレクシェルが根気強く説得した成果もあって、すっかりレイヴンのことを気に入っているからな」
「あら、里長も私の自慢の息子だと言いまわっていたじゃありませんか」
 
 レクシェルさんがクスクスと笑いこぼしていると、お父さんは照れたようにコホンと咳払いをしてから俺の背中にポンと手を当ててくる。

「お腹は空いていないか?」
「まだ大丈夫です。テオに移動テレポートで送ってもらいましたから、元気ですよ」
「そうか。じゃあ早速、始めるとしよう」

 お父さんの言葉に頷きを返して、特訓してくれるという場所まで連れて行ってもらうことになった。
 レクシェルさんも手伝わせてくださいと言っていたし、もしかしたら特訓に付き合ってくれるのかもしれない。
 大切な人たちの力を借りるのだから、俺もテオの隣でしっかりと戦えるように頑張らないと!
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