339 / 483
第十二章 準備をする魔塔主と寂しがる弟子
337.今だけはこのままで
しおりを挟む
レイヴンはじっと、挑戦的な表情で俺を見つめてくる。
額を離し、返事の代わりに指先でレイヴンの頬を擽ってやる。
見つめ合ったまま暫く頬の感触を楽しんでると、レイヴンが先に口を開いた。
「俺が魅力的すぎて我慢できなくなったんですね? 俺はそんな風に思ってなかったのにな」
「自分で言うな、自分で。ったく、鈍感すぎんだよ。どれだけ俺が特別扱いしてると思ってんだよ」
「今は……一応。分かりますよ? だから、側にいたいって心から思えるようになったんです」
レイヴンの方から甘えるように頬を擦り寄せてくる。
俺も自然と笑い、柔らかい頬の感触を手のひら全体で楽しむ。
「ホント、鈍感な弟子を持つ師匠は困るよなァ?」
「だって、テオはふざけたことしか言わないから分かりづらいんです。いつも真剣に言ってくれればいいのに……」
「そういうの柄じゃねぇんだよ。毎回やってたら笑う癖によ」
「それは確かに。病気を疑うかも?」
レイヴンがおかしそうに酷いことを言い放つ。
「あのなぁ、病気ってなんだよ病気って」
と、俺は苦笑いのまま言って優しいキスを落とす。
「ん……」
「……なぁ、どうせ色々巻き込まれるんだろうしよ。レイちゃんを今堪能してもいいよな?」
「またすぐそういうことを……って。いつもなら言いますけど。俺も、同じ気持ちだから」
レイヴンがふわりと微笑んでくるから、俺も優しく微笑み返す。
レイヴンの綺麗な微笑みなんてもんを見せつけられたら、毒気も抜けちまう。
壊れ物を扱うようにやんわりと、ちゅ、ちゅと繰り返し軽く唇を触れ合わせていく。
キスを続けながら、レイヴンの身体をスッと横向きに抱き上げる。
レイヴンは慌てながら俺に身体を預けて、少し顔を起こすと苦笑を向けてきた。
「もう、俺を抱き上げるのも好きですよね? これ、結構恥ずかしいのに」
「そうやって恥ずかしがることも含めて気に入ってるんだよなぁ。こうすると大人しくなるし?」
「……大人しくって……俺、いつも暴れているみたいじゃないですか」
「暴れてはいねぇけど、嫌がるだろ。俺が色々触ると」
俺がやや不満げに呟いたせいか、レイヴンが困ったように俯きながら俺の服をきゅっと掴んでくる。
「嫌、なんじゃなくて。恥ずかしいんです。でも……もう触れてもらわないと寂しくなってきてというか、なんというか……もう、分かるでしょう?」
レイヴンは一息で言い切ると、チラと上目遣いで俺を見上げてくる。
「そうかそうか」
と答えて、笑う。
俺に依存してきてるってなら、コッチのもんだからなァ。
「ここまで来るのが長くて、俺はどれだけ冷たい仕打ちに耐えてきたんだか、分かんねぇな」
「冷たいっていうか、それはテオがきちんとしていないからですよね?」
「きちんとってなんだよ。アレか? 今からキスするぞ、とか言えばいいのか?」
「そういうことじゃなくって、って……もう。分かってて言ってるでしょう?」
軽い身体を抱いたままレイヴンのベッドまで歩き、一旦ベッドの上に腰掛ける。
レイヴンを膝の上に乗せたまま愛でていると、レイヴンも身体を起こしてきて俺の首に両腕を引っ掛けてきた。
じぃっと、まるでキスを強請るように見つめてくる。
「随分と大胆に誘ってくるじゃねぇか」
「俺だってそういう気分のときくらい、ありますよ」
レイヴンはクスリと笑みを零して、俺へ顔を近づけてくる。
早くキスをしたかったと言わんばかりに、また優しく唇を触れ合わせてきた。
額を離し、返事の代わりに指先でレイヴンの頬を擽ってやる。
見つめ合ったまま暫く頬の感触を楽しんでると、レイヴンが先に口を開いた。
「俺が魅力的すぎて我慢できなくなったんですね? 俺はそんな風に思ってなかったのにな」
「自分で言うな、自分で。ったく、鈍感すぎんだよ。どれだけ俺が特別扱いしてると思ってんだよ」
「今は……一応。分かりますよ? だから、側にいたいって心から思えるようになったんです」
レイヴンの方から甘えるように頬を擦り寄せてくる。
俺も自然と笑い、柔らかい頬の感触を手のひら全体で楽しむ。
「ホント、鈍感な弟子を持つ師匠は困るよなァ?」
「だって、テオはふざけたことしか言わないから分かりづらいんです。いつも真剣に言ってくれればいいのに……」
「そういうの柄じゃねぇんだよ。毎回やってたら笑う癖によ」
「それは確かに。病気を疑うかも?」
レイヴンがおかしそうに酷いことを言い放つ。
「あのなぁ、病気ってなんだよ病気って」
と、俺は苦笑いのまま言って優しいキスを落とす。
「ん……」
「……なぁ、どうせ色々巻き込まれるんだろうしよ。レイちゃんを今堪能してもいいよな?」
「またすぐそういうことを……って。いつもなら言いますけど。俺も、同じ気持ちだから」
レイヴンがふわりと微笑んでくるから、俺も優しく微笑み返す。
レイヴンの綺麗な微笑みなんてもんを見せつけられたら、毒気も抜けちまう。
壊れ物を扱うようにやんわりと、ちゅ、ちゅと繰り返し軽く唇を触れ合わせていく。
キスを続けながら、レイヴンの身体をスッと横向きに抱き上げる。
レイヴンは慌てながら俺に身体を預けて、少し顔を起こすと苦笑を向けてきた。
「もう、俺を抱き上げるのも好きですよね? これ、結構恥ずかしいのに」
「そうやって恥ずかしがることも含めて気に入ってるんだよなぁ。こうすると大人しくなるし?」
「……大人しくって……俺、いつも暴れているみたいじゃないですか」
「暴れてはいねぇけど、嫌がるだろ。俺が色々触ると」
俺がやや不満げに呟いたせいか、レイヴンが困ったように俯きながら俺の服をきゅっと掴んでくる。
「嫌、なんじゃなくて。恥ずかしいんです。でも……もう触れてもらわないと寂しくなってきてというか、なんというか……もう、分かるでしょう?」
レイヴンは一息で言い切ると、チラと上目遣いで俺を見上げてくる。
「そうかそうか」
と答えて、笑う。
俺に依存してきてるってなら、コッチのもんだからなァ。
「ここまで来るのが長くて、俺はどれだけ冷たい仕打ちに耐えてきたんだか、分かんねぇな」
「冷たいっていうか、それはテオがきちんとしていないからですよね?」
「きちんとってなんだよ。アレか? 今からキスするぞ、とか言えばいいのか?」
「そういうことじゃなくって、って……もう。分かってて言ってるでしょう?」
軽い身体を抱いたままレイヴンのベッドまで歩き、一旦ベッドの上に腰掛ける。
レイヴンを膝の上に乗せたまま愛でていると、レイヴンも身体を起こしてきて俺の首に両腕を引っ掛けてきた。
じぃっと、まるでキスを強請るように見つめてくる。
「随分と大胆に誘ってくるじゃねぇか」
「俺だってそういう気分のときくらい、ありますよ」
レイヴンはクスリと笑みを零して、俺へ顔を近づけてくる。
早くキスをしたかったと言わんばかりに、また優しく唇を触れ合わせてきた。
0
お気に入りに追加
118
あなたにおすすめの小説
手紙
ドラマチカ
BL
忘れらない思い出。高校で知り合って親友になった益子と郡山。一年、二年と共に過ごし、いつの間にか郡山に恋心を抱いていた益子。カッコよく、優しい郡山と一緒にいればいるほど好きになっていく。きっと郡山も同じ気持ちなのだろうと感じながらも、告白をする勇気もなく日々が過ぎていく。
そうこうしているうちに三年になり、高校生活も終わりが見えてきた。ずっと一緒にいたいと思いながら気持ちを伝えることができない益子。そして、誰よりも益子を大切に想っている郡山。二人の想いは思い出とともに記憶の中に残り続けている……。
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
俺は魔法使いの息子らしい。
高穂もか
BL
吉村時生、高校一年生。
ある日、自分の父親と親友の父親のキスシーンを見てしまい、平穏な日常が瓦解する。
「時生くん、君は本当はぼくと勇二さんの子供なんだ」
と、親友の父から衝撃の告白。
なんと、二人は魔法使いでカップルで、魔法で子供(俺)を作ったらしい。
母ちゃん同士もカップルで、親父と母ちゃんは偽装結婚だったとか。
「でさ、魔法で生まれた子供は、絶対に魔法使いになるんだよ」
と、のほほんと言う父親。しかも、魔法の存在を知ったが最後、魔法の修業が義務付けられるらしい。
でも、魔法学園つったって、俺は魔法なんて使えたことないわけで。
同じ境遇の親友のイノリと、時生は「全寮制魔法学園」に転校することとなる。
「まー、俺はぁ。トキちゃんと一緒ならなんでもいいかなぁ」
「そおかあ? お前ってマジ呑気だよなあ」
腹黒美形×強気平凡の幼馴染BLです♡
※とても素敵な表紙は、小槻みしろさんに頂きました(*^^*)
今世はメシウマ召喚獣
片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。
最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。
※女の子もゴリゴリ出てきます。
※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。
※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。
※なるべくさくさく更新したい。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

拝啓お父様。私は野良魔王を拾いました。ちゃんとお世話するので飼ってよいでしょうか?
ミクリ21
BL
ある日、ルーゼンは野良魔王を拾った。
ルーゼンはある理由から、領地で家族とは離れて暮らしているのだ。
そして、父親に手紙で野良魔王を飼っていいかを伺うのだった。
暁にもう一度
伊簑木サイ
ファンタジー
成り上がり貧乏辺境領主の後継者ソランは、金策のため、「第二王子を王太子になるよう説得できた者に望みの褒美をとらす」という王の頼みごとを引き受けた。
ところが、王子は女嫌いということで、女とばれないよう、性別を隠して仕えることになる。
ソランと、国のために死に場所を探している王子の、「死なせない」と「巻き込みたくない」から始まった主従愛は、いつしか絶対に失いたくない相手へと変わっていく。
けれど、絆を深めるほどに、古に世界に掛けられた呪いに、前世の二人が関わっていたと判明していき……。
『暁に、もう一度、あなたと』。数千年を越えて果たされる、愛と祈りの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる