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第十二章 準備をする魔塔主と寂しがる弟子
336.珍しく戸惑う
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レイヴンから素直に甘えられるのはいいもんだよなぁ。
大人の余裕ってヤツを見せつけてやりたいところだが、可愛いことされると抱きたくなっちまう。
節操なしって怒られそうだが、全部レイヴンのせいだしな。
「なんか、こうするのが当たり前みたいになってしまって。俺……」
俺は顔をあげずにくっついているレイヴンを上から見下ろす。
耳を赤くしてるのを見ると、甘えながら照れてんだよな。
熱を持つ頬を両手で包みこんで、レイヴンと見つめ合う。
「全く。これでも我慢してるのによ。そんな可愛いことされると、参るよなァ」
「テオは、そんなに嬉しい……?」
「俺のことを突っぱねるレイヴンも可愛らしいが、素直なレイヴンは堪らねぇな」
「す、素直って……」
そんなに縋られちまうと、やりづらいんだよなぁ。
ここまで可愛く育ててやったっていう親心みたいなもんと、俺のモノだから好き勝手してもイイっていう気持ちがぶつかりあっちまう。
レイヴンは俺がどうしようかと迷っている表情に気づいたらしくて、ほっと息を吐き出した。
「俺が思っていることを全部ぶちまけると大変なことになるから言わねぇが。レイヴンが俺のことを意識するより前から、俺は自分のモノにしたいって思ってたからな」
「え……? 大変なことって……いや、それは聞くのが怖いから聞きませんが。そもそもいつから俺のことをそういう意味で……その、抱きたいって意識してたんですか?」
「あー……最初から?」
「最初って……」
最初って言うと誤解されそうだから言いたくなかったんだよ。
レイヴンは驚いた顔をして、俺を見上げながらジッと見つめてくる。
仕方ねぇ、説明してやるしかねぇか。
レイヴンの頬を指先で擽りながら、諦め顔を向けた。
「初めてレイヴンに出会った日、だな」
「は……? その時、俺は子どもで……」
「別に変な意味じゃねぇよ。レイヴンの目に惹かれたっつーか。その時に側で成長するのを見てみてぇなって思った」
「……テオが言うと変な意味に聞こえるんですが」
レイヴンが分かりやすく疑うように視線をぶつけてくる。
素直に白状すると、ホント信用しねぇんだよなァ堅物な補佐官さんは。
抗議のつもりで、長く息を吐き出した。
「あのなぁ……いくら俺でも子どもに突っ込んだり……」
「最後まで言わなくてもいいです! もう、分かりましたから!」
茶化して説明すると納得するのかよ。
レイヴンがいつもの溜め息を吐きながら、また分かりやすく照れ始めた。
コロコロと変わる表情を眺め、フッと笑う。
「お前は荒んでいたのに、その眼だけは力があって。顔薄汚れて髪もボサボサ、服も今みたいに上等じゃなかったのに。凄く惹きつけられた。だから、自然と一緒に来るか?と誘ったんだよ」
「……恥ずかしいからあまり思い出したくないですが、初めて会った日は覚えてます。俺も不審感しかなかったのに……その手を掴んだ。だから、今、ここにいるんです」
「だな。あの時誘っておいて良かったぜ。まぁ育てていくうちにそれだけじゃ足りなくなっちまったから、参ったよなぁ」
「足りなくなったって……そういう? だから、俺のことを……」
レイヴンはごもごもと言い淀みながら、困ったようにジッと見つめてくる。
ニッと笑って返し、身体を屈めて額を合わせた。
「あぁ。全て自分のモノにしたくなった。心も、身体も。独占したくなった」
「……子どもの俺にも欲情していたら、ただの不審者じゃないですか……」
「だから、そこはギリギリ節度を保ってだな。お前が成長するまで待ってたんだけどな」
「なのに、勢いで奪われた俺は泣いていいですよね」
わざとらしく泣く真似をされちまうと、なんも言えねぇんだよな。
酔って気分がノっちまったから、勢いで食っちまったし。
「悪かったって」
言って、苦笑しながら謝る。
レイヴンも、今は本気で怒ってねぇし泣いてもいないのは分かってんだけどな。
もうちょい、じっくりと時間をかけて落とすのもアリだったか。
俺の素直な言葉が聞けて嬉しかったのか、レイヴンは楽しそうにクスクスと笑った。
大人の余裕ってヤツを見せつけてやりたいところだが、可愛いことされると抱きたくなっちまう。
節操なしって怒られそうだが、全部レイヴンのせいだしな。
「なんか、こうするのが当たり前みたいになってしまって。俺……」
俺は顔をあげずにくっついているレイヴンを上から見下ろす。
耳を赤くしてるのを見ると、甘えながら照れてんだよな。
熱を持つ頬を両手で包みこんで、レイヴンと見つめ合う。
「全く。これでも我慢してるのによ。そんな可愛いことされると、参るよなァ」
「テオは、そんなに嬉しい……?」
「俺のことを突っぱねるレイヴンも可愛らしいが、素直なレイヴンは堪らねぇな」
「す、素直って……」
そんなに縋られちまうと、やりづらいんだよなぁ。
ここまで可愛く育ててやったっていう親心みたいなもんと、俺のモノだから好き勝手してもイイっていう気持ちがぶつかりあっちまう。
レイヴンは俺がどうしようかと迷っている表情に気づいたらしくて、ほっと息を吐き出した。
「俺が思っていることを全部ぶちまけると大変なことになるから言わねぇが。レイヴンが俺のことを意識するより前から、俺は自分のモノにしたいって思ってたからな」
「え……? 大変なことって……いや、それは聞くのが怖いから聞きませんが。そもそもいつから俺のことをそういう意味で……その、抱きたいって意識してたんですか?」
「あー……最初から?」
「最初って……」
最初って言うと誤解されそうだから言いたくなかったんだよ。
レイヴンは驚いた顔をして、俺を見上げながらジッと見つめてくる。
仕方ねぇ、説明してやるしかねぇか。
レイヴンの頬を指先で擽りながら、諦め顔を向けた。
「初めてレイヴンに出会った日、だな」
「は……? その時、俺は子どもで……」
「別に変な意味じゃねぇよ。レイヴンの目に惹かれたっつーか。その時に側で成長するのを見てみてぇなって思った」
「……テオが言うと変な意味に聞こえるんですが」
レイヴンが分かりやすく疑うように視線をぶつけてくる。
素直に白状すると、ホント信用しねぇんだよなァ堅物な補佐官さんは。
抗議のつもりで、長く息を吐き出した。
「あのなぁ……いくら俺でも子どもに突っ込んだり……」
「最後まで言わなくてもいいです! もう、分かりましたから!」
茶化して説明すると納得するのかよ。
レイヴンがいつもの溜め息を吐きながら、また分かりやすく照れ始めた。
コロコロと変わる表情を眺め、フッと笑う。
「お前は荒んでいたのに、その眼だけは力があって。顔薄汚れて髪もボサボサ、服も今みたいに上等じゃなかったのに。凄く惹きつけられた。だから、自然と一緒に来るか?と誘ったんだよ」
「……恥ずかしいからあまり思い出したくないですが、初めて会った日は覚えてます。俺も不審感しかなかったのに……その手を掴んだ。だから、今、ここにいるんです」
「だな。あの時誘っておいて良かったぜ。まぁ育てていくうちにそれだけじゃ足りなくなっちまったから、参ったよなぁ」
「足りなくなったって……そういう? だから、俺のことを……」
レイヴンはごもごもと言い淀みながら、困ったようにジッと見つめてくる。
ニッと笑って返し、身体を屈めて額を合わせた。
「あぁ。全て自分のモノにしたくなった。心も、身体も。独占したくなった」
「……子どもの俺にも欲情していたら、ただの不審者じゃないですか……」
「だから、そこはギリギリ節度を保ってだな。お前が成長するまで待ってたんだけどな」
「なのに、勢いで奪われた俺は泣いていいですよね」
わざとらしく泣く真似をされちまうと、なんも言えねぇんだよな。
酔って気分がノっちまったから、勢いで食っちまったし。
「悪かったって」
言って、苦笑しながら謝る。
レイヴンも、今は本気で怒ってねぇし泣いてもいないのは分かってんだけどな。
もうちょい、じっくりと時間をかけて落とすのもアリだったか。
俺の素直な言葉が聞けて嬉しかったのか、レイヴンは楽しそうにクスクスと笑った。
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