【第二部開始】風変わりな魔塔主と弟子

めーぷる

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第十一章 強気な魔塔主と心配性の弟子

331.不安な夜<レイヴン視点>

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 夜中に目が覚めてしまった。
 俺を抱きしめたまま眠るテオに安心して息を吐く。
 テオはいつも勝手に決めて、勝手に進んでいってしまう。
 それでも、テオのことは信じているけど……。

「信じているけど、テオが無茶をしすぎないかとか、何かあったらと思うと……不安で。俺がもっとテオのように強ければいいのに……」

 テオに抱きついてギュッと目を瞑る。
 俺はハーフエルフだったおかげで精霊魔法が使えるようになったけど、まだ使いこなせていない。
 魔法は必死に努力しているけど、それでもテオと比べれば劣っているのは分かりきっている。

 役立てればいいんだけど、不安な気持ちが勝る。
 焦る気持ちはまともな思考を溶かしていく。
 このままテオから与えられる温もりに、ただ甘えていたくなってしまう。

「本当は……ずっとテオの腕の中にいたい。何も考えずに、テオを感じていたい。俺の側に……」

 独り言を呟いていると、急に力強く抱きしめられた。
 驚いてもぞもぞ身体を動かすと、少し力が弱まる。
 テオを見ようとするのと同時に顔を持ち上げられて、唇を奪われた。

「んんっ、ぁ、……テオ?」
「真夜中に、なぁに不安がってんだよ。お前は自己評価が低すぎる。俺の隣に立てるのはお前だけだって。いい加減分かれって何度も言ってるのになぁ?」
「……ごめんなさい、俺……」
「謝るのも禁止だ。弱気になるのはまぁ、分かるけどよ。俺も引き受けてはみたが、まぁなんとかなるだろ、くらいだしなぁ」

 テオの言い分に文句を言いたくなる。
 でも優しく微笑まれて頭を撫でられると、言葉は引っ込んで出て来ない。
 俺のこと大切にしてくれてるのが分かるから、結局テオに甘えたくなってしまう。

「……その顔は反則」
「んー? 俺だって弱ってるレイに意地悪はしねぇよ。でもなぁ、口説き文句のように呟かれると身体は正直だからなァ」

 テオは熱を持ってきた欲望を俺の腹へとピタリと当ててきた。
 待って、なんで興奮してるのこの人は……。
 俺とくっついてるだけで?
 
 いや、口説き文句のようにとかなんとか言ってたような?
 あ……俺のさっきの恥ずかしい呟きを聞いてた……?
 思い出した途端、顔が熱くなってくる。

「ひ、独り言聞いて……」
「情熱的に求められたら答えねぇと。なぁ?」
「ぁ……ぁ、ぁう…うぅぅ……」

 心の声が全部漏れちゃってたせいで、言い逃れもできない。
 俺があわあわしてる間に、テオが俺の昂りまで触ってくるからじわじわと身体が熱を帯びてくる。

「聞いてないと思ったのに……でも、嘘じゃないから。俺も、もっと……」

 俺が言葉を言い終える前に、また唇が重なり合う。
 重なり合いが深くなり、俺が素直に求めるとテオがまた熱を与えてくれた。
 恥ずかしいけど、より深くテオを感じられて満たされていくのが分かる。

 俺の身体はすっかりテオに慣らされている気がするけど、俺もテオのことを求めてることを認めるしかなさそうだ。
 でも、テオに言いたくないから必死に隠しておこう。
 不安が熱で掻き消えるまで、熱くて甘い時間が流れていった。
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