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第十一章 強気な魔塔主と心配性の弟子
319.魔法陣から現れたのは
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「なんだこりゃ? 合成獣の研究所か」
「あまり直視したくないものが見えている気がします。明るいところでは見たくないですね」
液体の入った大きな筒に見たことのないような、気味の悪い生物が泡を出しながらぷかりと浮かんでいるのが分かる。
レイヴンは嫌がって顔を背けてるが、あまり凝視するようなもんじゃねぇな。
二つ首のラットや、何本も角を生やしたオーガに、つぎはぎだらけの狼だろ?
狂ったヤツが作りましたと言わんばかりだな。
どうしてやろうか考え、筒に手をあてた。
「――凍れ」
筒から冷気が伝わり設置されている地面まで、ビキビキと音を立てて凍りついていく。
中の生物も生命活動を静止したのか、氷の彫像のように動かなくなる。
「破壊しなくて良かったのですか?」
「一体何をしていたのか知る必要があるからな。単純に凍りつかせただけだが、この氷を解くことはできやしねぇよ」
「壊さないだなんて、珍しいなと思いまして」
「俺が適当にぶっ壊すのが好きだと思ってるだろ? まぁ、それも嫌いじゃねぇしソッチの方が楽なんだよな」
ニィと笑ってみせたが、魔法陣が怪しく光ったことに気付く。
そんなこったろうと予想はしてたが、漸くお出ましか。
舌打ちして、魔法陣から距離を取る。
「……来やがったな」
「まさか、この魔法陣が召喚陣を兼ねてるんですか?」
「だな。後で壊すとして、まずは出方を見るか。気に食わねぇが」
ヌッと召喚陣から人の形をしたものが現れる。
一人目は黒いローブに身を包んだ男、もう一人も黒いローブに身を包んではいるが一人目とは雰囲気が違う。
一人が現れた瞬間に、机の上においてあった燭台に火を灯す。
「な、な……」
「……落ち着け、主よ。まさかここまで探られるとは」
主と呼んだ方の男はアレーシュの牢屋に捕らえているはずの男とそっくりで、先程沈黙させた男と同一人物に見える。
コイツ、どんだけ同じ顔のヤツがいるんだよ……気持ち悪ぃな。
もう一人の男は見た目が違って、腰までの長い白髪の男でいかにも神経質そうな顔をしている。
知識をひけらかしたいヤツは、コイツだろうな。
「私の可愛い合成獣たちも凍りついて……これでは実験を進められない! もっと魔力を奪い、注ぎ込まねばならないというのに!」
「主、落ち着け。我々がここを出る前には何事もなかった。と、言うことは……敵がまだ潜んでいる可能性がある。連絡を取る前に兄弟たちの反応が途絶えていることから鑑みて……」
魔物使いと思われる男の方が冷静でやりづらそうだ。
だが、白髪の男からも不気味な存在感を感じる。
緊張するレイヴンを胸元に引き寄せて、この状況について考えを巡らせた。
「あまり直視したくないものが見えている気がします。明るいところでは見たくないですね」
液体の入った大きな筒に見たことのないような、気味の悪い生物が泡を出しながらぷかりと浮かんでいるのが分かる。
レイヴンは嫌がって顔を背けてるが、あまり凝視するようなもんじゃねぇな。
二つ首のラットや、何本も角を生やしたオーガに、つぎはぎだらけの狼だろ?
狂ったヤツが作りましたと言わんばかりだな。
どうしてやろうか考え、筒に手をあてた。
「――凍れ」
筒から冷気が伝わり設置されている地面まで、ビキビキと音を立てて凍りついていく。
中の生物も生命活動を静止したのか、氷の彫像のように動かなくなる。
「破壊しなくて良かったのですか?」
「一体何をしていたのか知る必要があるからな。単純に凍りつかせただけだが、この氷を解くことはできやしねぇよ」
「壊さないだなんて、珍しいなと思いまして」
「俺が適当にぶっ壊すのが好きだと思ってるだろ? まぁ、それも嫌いじゃねぇしソッチの方が楽なんだよな」
ニィと笑ってみせたが、魔法陣が怪しく光ったことに気付く。
そんなこったろうと予想はしてたが、漸くお出ましか。
舌打ちして、魔法陣から距離を取る。
「……来やがったな」
「まさか、この魔法陣が召喚陣を兼ねてるんですか?」
「だな。後で壊すとして、まずは出方を見るか。気に食わねぇが」
ヌッと召喚陣から人の形をしたものが現れる。
一人目は黒いローブに身を包んだ男、もう一人も黒いローブに身を包んではいるが一人目とは雰囲気が違う。
一人が現れた瞬間に、机の上においてあった燭台に火を灯す。
「な、な……」
「……落ち着け、主よ。まさかここまで探られるとは」
主と呼んだ方の男はアレーシュの牢屋に捕らえているはずの男とそっくりで、先程沈黙させた男と同一人物に見える。
コイツ、どんだけ同じ顔のヤツがいるんだよ……気持ち悪ぃな。
もう一人の男は見た目が違って、腰までの長い白髪の男でいかにも神経質そうな顔をしている。
知識をひけらかしたいヤツは、コイツだろうな。
「私の可愛い合成獣たちも凍りついて……これでは実験を進められない! もっと魔力を奪い、注ぎ込まねばならないというのに!」
「主、落ち着け。我々がここを出る前には何事もなかった。と、言うことは……敵がまだ潜んでいる可能性がある。連絡を取る前に兄弟たちの反応が途絶えていることから鑑みて……」
魔物使いと思われる男の方が冷静でやりづらそうだ。
だが、白髪の男からも不気味な存在感を感じる。
緊張するレイヴンを胸元に引き寄せて、この状況について考えを巡らせた。
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