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第十一章 強気な魔塔主と心配性の弟子
318.辿り着いたその先には
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二人で森を進んでいくと、また似たような光景が目に飛び込んできた。
アレーシュの城下町の外れで見つけた洞窟にそっくりだ。
クレインから聞いていたエルフの森と魔の森との境界に当たる位置で、精霊が嫌がりそうな淀んだ魔力を感じる。
「テオ、これは……」
「代わり映えしないが、また中にあるんだろうな。何かが」
「探知で感じたのがここだったということですよね」
「あぁ。何か胸糞悪ぃ感じがするし、この前の洞窟と同じやり方で中を覗いてみるか」
安全のために認識妨害と防音結界を展開し、俺の後ろにレイヴンを追いやる。
灯火はレイヴンに唱えさせて、辺りをふわりと照らす。
湿っている洞窟内で足を滑らせないように進んで行くと、予想通り奥に開けた空間が現れる。
芸もねぇし、ジメジメしたところがよっぽど好きなんだろうなァ。
「今度は何が……」
レイヴンが言いかけた瞬間――
明かりをめがけて、ヒュッと空間が切り裂かれる。
音と目視で鈍い銀色が見えたと同時にレイヴンを懐に引き入れると、明かりのみが消滅する。
「チッ。明かりだけ察知されたみてぇだな。気配が俺たちを探してんな」
「い、今の……何が飛んで……」
「空を切り裂く刃……妨害と防音はまだ効いてるから、正確な場所は掴めねぇはずだが」
暗がりの中、気配が俺らの元へと近づいてくる。
漸く目がしっかりと慣れてきたところで、近づいてきた気配の正体が朧気に見えてきた。
「え……何で!」
「どういうことだ。コイツ、まさか逃げ出したり……いや、そんなヘマするわけねぇか。双子だったとかそういうオチかぁ?」
目の前に見えたのは、先日捕えたばかりのローブの男に似てんだよなぁ。
明るいところでがっつり見てるわけでもねぇし、特徴を余すことなく覚えてる訳でもねぇから同一人物とは限らねぇが。
雰囲気が酷似してやがる。
「飛んできた刃がこの前の合成獣だとすれば、完全に同じヤツと見るしかねぇ」
「無力化させますか?」
「そうだな。レイヴン、できるか?」
俺は現在魔法を同時に二つ行使しているため、これ以上の行使は防音と妨害の質が落ちる可能性はある。
多少なら大丈夫だが、念のためだ。
そのことを察したレイヴンは、頷いて呪文を紡いでいく。
「麻痺せよ!」
レイヴンが手を翳すと、男の方向に不可視の絡みつく糸が何本も伸びていく。
魔力で紡がれた糸が身体の自由を奪ってしまうと、男は声すらも発せられなくなる。
「――眠れ」
続けざまに魔法を放ち、有無を言わさず無力化させる。
魔法耐性があろうとも、連続で放つと効果が倍増する。
確実に狙うのならば、重ねがけするのは戦略の基本の一つだ。
レイヴンは魔法の本質をよく理解しているから、優秀な弟子って訳だ。
「よし、このまま奥に進むぞ。レイヴン、コッチに来い」
俺はレイヴンを自分の側に引き寄せて、ローブで身体を包みながら奥へと進んでいく。
普段ならば文句でも言いそうなもんだが、明かりを灯すことができない今は俺の側だと連携して魔法を放つときに都合がいい。
さらに奥へと踏み込むと、暗がりで明滅している魔法陣と実験器具のようなものが並ぶ開けた空間が現れた。
先程沈黙化したヤツ以外の見張りはいないことを確認して、用心深く近づく。
アレーシュの城下町の外れで見つけた洞窟にそっくりだ。
クレインから聞いていたエルフの森と魔の森との境界に当たる位置で、精霊が嫌がりそうな淀んだ魔力を感じる。
「テオ、これは……」
「代わり映えしないが、また中にあるんだろうな。何かが」
「探知で感じたのがここだったということですよね」
「あぁ。何か胸糞悪ぃ感じがするし、この前の洞窟と同じやり方で中を覗いてみるか」
安全のために認識妨害と防音結界を展開し、俺の後ろにレイヴンを追いやる。
灯火はレイヴンに唱えさせて、辺りをふわりと照らす。
湿っている洞窟内で足を滑らせないように進んで行くと、予想通り奥に開けた空間が現れる。
芸もねぇし、ジメジメしたところがよっぽど好きなんだろうなァ。
「今度は何が……」
レイヴンが言いかけた瞬間――
明かりをめがけて、ヒュッと空間が切り裂かれる。
音と目視で鈍い銀色が見えたと同時にレイヴンを懐に引き入れると、明かりのみが消滅する。
「チッ。明かりだけ察知されたみてぇだな。気配が俺たちを探してんな」
「い、今の……何が飛んで……」
「空を切り裂く刃……妨害と防音はまだ効いてるから、正確な場所は掴めねぇはずだが」
暗がりの中、気配が俺らの元へと近づいてくる。
漸く目がしっかりと慣れてきたところで、近づいてきた気配の正体が朧気に見えてきた。
「え……何で!」
「どういうことだ。コイツ、まさか逃げ出したり……いや、そんなヘマするわけねぇか。双子だったとかそういうオチかぁ?」
目の前に見えたのは、先日捕えたばかりのローブの男に似てんだよなぁ。
明るいところでがっつり見てるわけでもねぇし、特徴を余すことなく覚えてる訳でもねぇから同一人物とは限らねぇが。
雰囲気が酷似してやがる。
「飛んできた刃がこの前の合成獣だとすれば、完全に同じヤツと見るしかねぇ」
「無力化させますか?」
「そうだな。レイヴン、できるか?」
俺は現在魔法を同時に二つ行使しているため、これ以上の行使は防音と妨害の質が落ちる可能性はある。
多少なら大丈夫だが、念のためだ。
そのことを察したレイヴンは、頷いて呪文を紡いでいく。
「麻痺せよ!」
レイヴンが手を翳すと、男の方向に不可視の絡みつく糸が何本も伸びていく。
魔力で紡がれた糸が身体の自由を奪ってしまうと、男は声すらも発せられなくなる。
「――眠れ」
続けざまに魔法を放ち、有無を言わさず無力化させる。
魔法耐性があろうとも、連続で放つと効果が倍増する。
確実に狙うのならば、重ねがけするのは戦略の基本の一つだ。
レイヴンは魔法の本質をよく理解しているから、優秀な弟子って訳だ。
「よし、このまま奥に進むぞ。レイヴン、コッチに来い」
俺はレイヴンを自分の側に引き寄せて、ローブで身体を包みながら奥へと進んでいく。
普段ならば文句でも言いそうなもんだが、明かりを灯すことができない今は俺の側だと連携して魔法を放つときに都合がいい。
さらに奥へと踏み込むと、暗がりで明滅している魔法陣と実験器具のようなものが並ぶ開けた空間が現れた。
先程沈黙化したヤツ以外の見張りはいないことを確認して、用心深く近づく。
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