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第十一章 強気な魔塔主と心配性の弟子
314.可愛い弟子のお望みどおりに<レイヴン・テオドール視点>
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「何、寛いでるんですか……」
「風呂上がりだからいつもより体温高いな。それにやっぱりイイ匂いだ」
テオが俺の髪の中に鼻を埋めて、スゥとワザとらしく吸い込んでくる。
何恥ずかしいことをしてんだ、このおっさんは!
追い払うように手を伸ばしたのに、うまく手が届かず空を切る。
「変態ですか? 変態でしたね」
「自己完結するなよ。別にいいじゃねぇか。減るもんでもないし」
「そういう問題じゃないですよね?」
「ケチケチすんなって。レイちゃん不足なんだから補給させろよ」
テオが聞く耳を持ってくれるわけもなく、俺の温もりを味わうように強めに抱きしめてくる。
密着されると、もう逃れられない。
だから、先に手を打っておきたかったのにテオは行動が早いしいつも力づくだ。
「おとなしいじゃねぇか」
「俺も……テオが側にいると安心しますから」
「大体側にいるけどよ、いつもくっつくと文句言われるしなぁ?」
「それは時と場合によるというか……何かこんな形でくっついてると眠くなりそうです」
程よい温もりは眠気を誘ってくる。
テオは珍しく俺に悪戯もしないで、ただ抱きしめているだけだ。
背中越しから伝わる包み込むような感覚に、心身ともに安心してしまって意識が微睡んできてしまう。
「本当にぽかぽかしてきて……眠い……」
「ベッドに運んでやるから。寝ていいぞ」
テオが俺の髪に軽く唇を触れさせた気がしたけど、眠気が勝っていてよく分からない。
このまま甘えてしまっても、いいのかな。
考えることを放棄して、全てをテオに委ねてしまう。
「ん……本当に眠くなってきたので……」
「あぁ。おやすみ」
優しい声色が耳に届く。
いつも優しいテオならいいのに。
ゆっくりと目を閉じると、すぐに意識は深い眠りへと誘われていった。
+++
レイヴンは完全に眠っちまったな。
ただ抱きしめてるだけだってのに、すやすやと心地よく寝ちまうところも可愛いもんだ。
綺麗な寝顔を堪能してると、俺にまで睡魔が襲ってくる。
欠伸を逃して、レイヴンが深い眠りに落ちるのをじっと待つ。
「俺まで眠くなってきちまうな……ここで寝ちまう前にベッドへ寝かせてやらないとな」
心地よい体温を手放すのは惜しいが、休ませなくてはいけないことも頭では理解している。
あれだけ魔力を放出してたんだし、しっかりと眠って回復させないといけねぇよな。
眠れる時は眠って回復させる方が、身体に負荷がかからない。
回復薬はすぐに回復できるっちゃできるが、多用すると後で反動がきちまうからな。
優しくレイヴンを抱きかかえて窓枠から降りる。
そのままベッドへと運び身体を横たえてよく眠っている様子を眺めてから、フッと笑う。
別にこのまま隣で寝ちまえばいいし、レイヴンが嫌がったっていくらでも身体を繋げる方法なんてあるはずなのにな。
大人しく寝かせてやろうとは、俺も甘くなったもんだよな。
「がらでもねぇが……まぁいいか」
本当に一切手出ししなかった自分自身に笑いながら明かりを落とし、来たときと同じように窓枠を越えて外へと出てそっと窓を閉める。
このまま静かに去ってやろうと、自分の与えられた部屋へ戻るつもりで歩きだす。
「ったく、お子様に付き合ってやるのも大変だよなァ」
欠伸を嚙み殺し、戻る間の一服を楽しもうと煙草を咥えて火をつけた。
「風呂上がりだからいつもより体温高いな。それにやっぱりイイ匂いだ」
テオが俺の髪の中に鼻を埋めて、スゥとワザとらしく吸い込んでくる。
何恥ずかしいことをしてんだ、このおっさんは!
追い払うように手を伸ばしたのに、うまく手が届かず空を切る。
「変態ですか? 変態でしたね」
「自己完結するなよ。別にいいじゃねぇか。減るもんでもないし」
「そういう問題じゃないですよね?」
「ケチケチすんなって。レイちゃん不足なんだから補給させろよ」
テオが聞く耳を持ってくれるわけもなく、俺の温もりを味わうように強めに抱きしめてくる。
密着されると、もう逃れられない。
だから、先に手を打っておきたかったのにテオは行動が早いしいつも力づくだ。
「おとなしいじゃねぇか」
「俺も……テオが側にいると安心しますから」
「大体側にいるけどよ、いつもくっつくと文句言われるしなぁ?」
「それは時と場合によるというか……何かこんな形でくっついてると眠くなりそうです」
程よい温もりは眠気を誘ってくる。
テオは珍しく俺に悪戯もしないで、ただ抱きしめているだけだ。
背中越しから伝わる包み込むような感覚に、心身ともに安心してしまって意識が微睡んできてしまう。
「本当にぽかぽかしてきて……眠い……」
「ベッドに運んでやるから。寝ていいぞ」
テオが俺の髪に軽く唇を触れさせた気がしたけど、眠気が勝っていてよく分からない。
このまま甘えてしまっても、いいのかな。
考えることを放棄して、全てをテオに委ねてしまう。
「ん……本当に眠くなってきたので……」
「あぁ。おやすみ」
優しい声色が耳に届く。
いつも優しいテオならいいのに。
ゆっくりと目を閉じると、すぐに意識は深い眠りへと誘われていった。
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レイヴンは完全に眠っちまったな。
ただ抱きしめてるだけだってのに、すやすやと心地よく寝ちまうところも可愛いもんだ。
綺麗な寝顔を堪能してると、俺にまで睡魔が襲ってくる。
欠伸を逃して、レイヴンが深い眠りに落ちるのをじっと待つ。
「俺まで眠くなってきちまうな……ここで寝ちまう前にベッドへ寝かせてやらないとな」
心地よい体温を手放すのは惜しいが、休ませなくてはいけないことも頭では理解している。
あれだけ魔力を放出してたんだし、しっかりと眠って回復させないといけねぇよな。
眠れる時は眠って回復させる方が、身体に負荷がかからない。
回復薬はすぐに回復できるっちゃできるが、多用すると後で反動がきちまうからな。
優しくレイヴンを抱きかかえて窓枠から降りる。
そのままベッドへと運び身体を横たえてよく眠っている様子を眺めてから、フッと笑う。
別にこのまま隣で寝ちまえばいいし、レイヴンが嫌がったっていくらでも身体を繋げる方法なんてあるはずなのにな。
大人しく寝かせてやろうとは、俺も甘くなったもんだよな。
「がらでもねぇが……まぁいいか」
本当に一切手出ししなかった自分自身に笑いながら明かりを落とし、来たときと同じように窓枠を越えて外へと出てそっと窓を閉める。
このまま静かに去ってやろうと、自分の与えられた部屋へ戻るつもりで歩きだす。
「ったく、お子様に付き合ってやるのも大変だよなァ」
欠伸を嚙み殺し、戻る間の一服を楽しもうと煙草を咥えて火をつけた。
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