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第十一章 強気な魔塔主と心配性の弟子
304.発生源へ<レイヴン・テオドール視点>
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テオはあっと言う間に行ってしまった。
俺のことを信用してくれたのは嬉しかったけど、今は喜んでばかりもいられない。
ディートリッヒ様とウルガーが気絶している賊たちを縛りあげてくれたのを確認して、俺も檻から出て子どもたちを誘導する。
ウルガーが呼んだらしい他の騎士たちも来てくれたから、彼らに子どもたちを引き渡して避難させてもらう。
この場は皆さんに任せて、俺もテオを追わないと。
怒ると洞窟ごと壊す可能性もあるし、暴走したテオを止められるのは俺だけだ。
それに、テオの助けになりたい。
俺は、魔塔主である師匠の弟子なのだから。
たとえ役に立てなかったとしても、テオの隣に立って戦いたい。
「奥からまたコウモリが出てくるかもしれません! 俺は師匠を追いかけます。この場はお任せしてもいいですか?」
「出てきた時はその時だ! 子どもたちがいなければ多少の荒業でも何とかなる」
「団長! 洞窟だけは壊さないでくださいよ!」
ウルガーは騎士たちに指示をだしていたのに、慌ててディートリッヒ様に釘を刺した。
副団長としてディートリッヒ様が熱くなりすぎないように調節してるから、やっている中身は補佐官と変わらないのかもしれない。
お互い手を挙げて頷き合い、心の中で補佐する役割を確認し合って苦笑する。
目を見れば大体通じるから、ウルガーと一緒なのは俺にとっても心強い。
気を引き締めてから、くるりと二人に背を向けた。
奥に続く道へと、俺も駆け出してテオの後を追う。
+++
洞窟内の道の途中、予想通り奥からコウモリたちが沸いてきやがった。
レイヴンと同じ魔法で叩き落しながら、不穏な気配がする方へ向かう。
薄暗い通路を暫く進むと、道が二股に別れる。
片方は爽やかな風が吹きこんできてるし、おそらく洞窟の外へ出る道だろうな。
もう一つはさらに奥へと進む道だろう。
ヤツは脱出しちまってるし、今は召還陣を潰すのが先決だ。
俺は探知で引っかかる方へと進んでいく。
灯火の明かりを頼りに湿った空気が滞留する洞窟内をひたすら歩いていくと、漸く発生源と見られる召喚陣前へと辿り着いた。
仄暗く光る召還陣は、不穏で胸糞悪い。
「ったく、どこまで歩かせるんだよ面倒臭ぇな。しかも何か蒸し暑いし、こんなもん早く終わらせて……」
雑に足に魔力を込めて消そうとしたその時――
俺の右肩を、何かの液体が掠める。
「……チッ。タダではやらせねぇって? いらねぇんだよな、そういうプレゼントは」
何者かがいるのは分かってたが、液体を飛ばしてくるのは予想外だった。
先に召還陣を潰してからと後回しにして対応が遅れた。
ここにくるまでにコウモリに魔力を吸われて弱まってた身体強化の隙間をついてくるとは、やるじゃねぇか。
おかげで、ローブが少し焦げて穴が開いちまった。
酸性の液を吐き出した魔物は不快な音を出して、バサバサと翼のようなものを羽ばたかせる。
ったく、飽きずに妙なモンばっかり出してきやがって。
少し真面目にやれってことか。
俺のことを信用してくれたのは嬉しかったけど、今は喜んでばかりもいられない。
ディートリッヒ様とウルガーが気絶している賊たちを縛りあげてくれたのを確認して、俺も檻から出て子どもたちを誘導する。
ウルガーが呼んだらしい他の騎士たちも来てくれたから、彼らに子どもたちを引き渡して避難させてもらう。
この場は皆さんに任せて、俺もテオを追わないと。
怒ると洞窟ごと壊す可能性もあるし、暴走したテオを止められるのは俺だけだ。
それに、テオの助けになりたい。
俺は、魔塔主である師匠の弟子なのだから。
たとえ役に立てなかったとしても、テオの隣に立って戦いたい。
「奥からまたコウモリが出てくるかもしれません! 俺は師匠を追いかけます。この場はお任せしてもいいですか?」
「出てきた時はその時だ! 子どもたちがいなければ多少の荒業でも何とかなる」
「団長! 洞窟だけは壊さないでくださいよ!」
ウルガーは騎士たちに指示をだしていたのに、慌ててディートリッヒ様に釘を刺した。
副団長としてディートリッヒ様が熱くなりすぎないように調節してるから、やっている中身は補佐官と変わらないのかもしれない。
お互い手を挙げて頷き合い、心の中で補佐する役割を確認し合って苦笑する。
目を見れば大体通じるから、ウルガーと一緒なのは俺にとっても心強い。
気を引き締めてから、くるりと二人に背を向けた。
奥に続く道へと、俺も駆け出してテオの後を追う。
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洞窟内の道の途中、予想通り奥からコウモリたちが沸いてきやがった。
レイヴンと同じ魔法で叩き落しながら、不穏な気配がする方へ向かう。
薄暗い通路を暫く進むと、道が二股に別れる。
片方は爽やかな風が吹きこんできてるし、おそらく洞窟の外へ出る道だろうな。
もう一つはさらに奥へと進む道だろう。
ヤツは脱出しちまってるし、今は召還陣を潰すのが先決だ。
俺は探知で引っかかる方へと進んでいく。
灯火の明かりを頼りに湿った空気が滞留する洞窟内をひたすら歩いていくと、漸く発生源と見られる召喚陣前へと辿り着いた。
仄暗く光る召還陣は、不穏で胸糞悪い。
「ったく、どこまで歩かせるんだよ面倒臭ぇな。しかも何か蒸し暑いし、こんなもん早く終わらせて……」
雑に足に魔力を込めて消そうとしたその時――
俺の右肩を、何かの液体が掠める。
「……チッ。タダではやらせねぇって? いらねぇんだよな、そういうプレゼントは」
何者かがいるのは分かってたが、液体を飛ばしてくるのは予想外だった。
先に召還陣を潰してからと後回しにして対応が遅れた。
ここにくるまでにコウモリに魔力を吸われて弱まってた身体強化の隙間をついてくるとは、やるじゃねぇか。
おかげで、ローブが少し焦げて穴が開いちまった。
酸性の液を吐き出した魔物は不快な音を出して、バサバサと翼のようなものを羽ばたかせる。
ったく、飽きずに妙なモンばっかり出してきやがって。
少し真面目にやれってことか。
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