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第十一章 強気な魔塔主と心配性の弟子
302.狭所での戦闘
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俺の仕草を見たディーとウルガーも、剣を抜き俺と同じ方角を向いて構えた。
後ろ手で一旦檻を閉め、檻全体を覆うように防御と、身体保護を全員分、素早くかけていく。
「レイヴン、お前はそこで子どもの側にいてやれ。敵さんのお出ましだ」
俺が言うのと同時に、黒い影がスッと現れる。
その影は黒いローブを深く被り、顔を見ることはできない。
いかにも怪しい雰囲気で分かりやすいから助かるがな。
俺の声色で、レイヴンはすぐに危険な相手だと判断したらしい。
檻の中から俺らに向けて強化を唱えた。
視線で背後の様子を確認すると、レイヴンは子どもたちを背中へと隠すようにしながら闇の中から現れた相手をじっと見据えていた。
「――結界が破られたか」
「お前、何者だ!」
ディーには答えずに、影はブツブツと独り言を続ける。
こりゃあ、面倒臭そうなヤツだな。
「これだから頭の悪いヤツらは。くだらないやり方のせいで尻拭いをする羽目になる。もっと効率の良い方法を取れば良かった。おかげで俺の可愛いヤツらが――そうか、成程」
先手必勝、無言の牽制で風の刃を飛ばす。
風の刃がぶち当たる瞬間に影の懐から一匹のキツネのような獣が飛び出し、尾を振るうと風を打ち消しちまった。
コイツが魔物使いか? にしても、飼ってる魔物は見たこともないヤツだ。
見た目はキツネのようだが、尾が刃のように鋭い。
ギラリと光る尾はどうみてもキツネには不釣り合いなもので、無理矢理付けられているように見える。
「飼ってる魔物は小さくても合成獣ってか。ずいぶんペラペラと喋る魔物使いだな」
「騎士は大人しく様子見しているのに、アンタはお構いなしだな。そうか……あの時、主に仕掛けたのはアンタか。魔法使い」
ディーとウルガーも動こうとしたところで、鋭く高い音が洞窟内に響く。
不快な音は集中力を奪う。
クソ、まだ仕掛けを隠してやがったか。
防音結界を張りたいところだが、音の出どころが分からねぇことには全ての音を消すわけにもうかねぇ。
もう一度振り返ると敏感な子どもたちは怖がって耳を塞いで身体を寄せ合い、レイヴンも耳に手を当てて神経を研ぎ澄ましているのが分かる。
「――この気配は」
「団長、来ます! って……数が多いって!」
ウルガーが剣で指し示した洞窟の奥から、無数のコウモリの群れが現れた。
洞窟内を埋め尽くさんばかりの数に戸惑いながら、横薙ぎに払って何匹かのコウモリを撃墜する。
「このコウモリ、何か吸ってるぞ!」
「血じゃねぇ、防護魔法を吸ってやがる。コイツら魔力を回収してるのか?」
コイツもただのコウモリじゃねぇ。
魔力を吸うコウモリなんて、聞いたこともねぇし遭遇するのも初めてだ。
鬱陶しくて叶わねぇ。
だからといって、防護魔法を全部切る訳にもいかねぇ。
最悪子どもの分だけ残す手もあるが、この数に吸われ続けたらいくら俺の魔力が豊富だっていってもなくなっちまう。
ディーも最小限の動きで剣を振り続けてコウモリを倒しているが、コイツが本気を出すには洞窟は狭すぎる。
ディーの後ろから炎と放電で、効率よくコウモリたちを沈静化させてはいるが、倒してもまた新たな群れが襲いかかってくる。
個体は強くもねぇが、魔力を吸う攻撃が続くと、誰かが傷を負うのも時間の問題だ。
回復魔法を使えるヤツがいねぇ以上、速攻で倒したいってのに。
一瞬隙を作ることができれば、コウモリの湧き出る奥へ行けそうなんだが。
この場にいるコウモリだけでも、沈黙化するにはどうしたもんか。
後ろ手で一旦檻を閉め、檻全体を覆うように防御と、身体保護を全員分、素早くかけていく。
「レイヴン、お前はそこで子どもの側にいてやれ。敵さんのお出ましだ」
俺が言うのと同時に、黒い影がスッと現れる。
その影は黒いローブを深く被り、顔を見ることはできない。
いかにも怪しい雰囲気で分かりやすいから助かるがな。
俺の声色で、レイヴンはすぐに危険な相手だと判断したらしい。
檻の中から俺らに向けて強化を唱えた。
視線で背後の様子を確認すると、レイヴンは子どもたちを背中へと隠すようにしながら闇の中から現れた相手をじっと見据えていた。
「――結界が破られたか」
「お前、何者だ!」
ディーには答えずに、影はブツブツと独り言を続ける。
こりゃあ、面倒臭そうなヤツだな。
「これだから頭の悪いヤツらは。くだらないやり方のせいで尻拭いをする羽目になる。もっと効率の良い方法を取れば良かった。おかげで俺の可愛いヤツらが――そうか、成程」
先手必勝、無言の牽制で風の刃を飛ばす。
風の刃がぶち当たる瞬間に影の懐から一匹のキツネのような獣が飛び出し、尾を振るうと風を打ち消しちまった。
コイツが魔物使いか? にしても、飼ってる魔物は見たこともないヤツだ。
見た目はキツネのようだが、尾が刃のように鋭い。
ギラリと光る尾はどうみてもキツネには不釣り合いなもので、無理矢理付けられているように見える。
「飼ってる魔物は小さくても合成獣ってか。ずいぶんペラペラと喋る魔物使いだな」
「騎士は大人しく様子見しているのに、アンタはお構いなしだな。そうか……あの時、主に仕掛けたのはアンタか。魔法使い」
ディーとウルガーも動こうとしたところで、鋭く高い音が洞窟内に響く。
不快な音は集中力を奪う。
クソ、まだ仕掛けを隠してやがったか。
防音結界を張りたいところだが、音の出どころが分からねぇことには全ての音を消すわけにもうかねぇ。
もう一度振り返ると敏感な子どもたちは怖がって耳を塞いで身体を寄せ合い、レイヴンも耳に手を当てて神経を研ぎ澄ましているのが分かる。
「――この気配は」
「団長、来ます! って……数が多いって!」
ウルガーが剣で指し示した洞窟の奥から、無数のコウモリの群れが現れた。
洞窟内を埋め尽くさんばかりの数に戸惑いながら、横薙ぎに払って何匹かのコウモリを撃墜する。
「このコウモリ、何か吸ってるぞ!」
「血じゃねぇ、防護魔法を吸ってやがる。コイツら魔力を回収してるのか?」
コイツもただのコウモリじゃねぇ。
魔力を吸うコウモリなんて、聞いたこともねぇし遭遇するのも初めてだ。
鬱陶しくて叶わねぇ。
だからといって、防護魔法を全部切る訳にもいかねぇ。
最悪子どもの分だけ残す手もあるが、この数に吸われ続けたらいくら俺の魔力が豊富だっていってもなくなっちまう。
ディーも最小限の動きで剣を振り続けてコウモリを倒しているが、コイツが本気を出すには洞窟は狭すぎる。
ディーの後ろから炎と放電で、効率よくコウモリたちを沈静化させてはいるが、倒してもまた新たな群れが襲いかかってくる。
個体は強くもねぇが、魔力を吸う攻撃が続くと、誰かが傷を負うのも時間の問題だ。
回復魔法を使えるヤツがいねぇ以上、速攻で倒したいってのに。
一瞬隙を作ることができれば、コウモリの湧き出る奥へ行けそうなんだが。
この場にいるコウモリだけでも、沈黙化するにはどうしたもんか。
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