【第二部開始】風変わりな魔塔主と弟子

めーぷる

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第十章 たまには真面目な魔塔主といつも真面目な弟子

274.再びの魔法陣

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 俺たちは城下町の出入り口で、ウルガーと同じ所属の騎士二名と合流する。
 見た感じ、若いがそこそこ戦力にはなりそうだ。
 
 ウルガーの案内で魔法陣があったという森の中を進んでいく。
 森は不気味なほどに静まり返っている。
 奥へと進むほど、肌に感じる魔力マナが気持ち悪ぃ。
 俺たち魔法使いにとっては、不愉快極まりねぇこの感じ。
 感覚が研ぎ澄まされたヤツなら、魔法使いじゃなくても違和感として感じるほどに強いもんだ。
 
 気持ち悪さが増してきたところで、先頭に立つウルガーが立ち止まる。
 確認のために、前方へ声をかけた。

「ここで間違いないか?」
「道も覚えましたし、魔道具も反応してますから。ほらー、あそこ。光ってるじゃないですか。間違いないですよ」
「そんなに疑わなくてもいいのに……っていうか、もう近くにあるのが分かってるくせにウルガーを試すような言い方してますよね。俺でも異様な魔力マナを感じてますから」

 ウルガーも騎士の中で、ディーの右腕にされてるヤツだ。
 間違いなく違和感を感じただろうが、コイツはたまにハッタリをかますからな。
 レイヴンなら俺と同じように、魔力マナを感じられるから言わずとも表情だけで信じられるってのに。
 俺からの信頼を差し置いて、ウルガーのことをさらっと庇いやがって。
 
 ウルガーは騎士たちに指示を出し、辺りの警戒をするために少々離れた位置へ立たせた。
 俺たちにも距離をとるように手振りをすると、腰に下げている剣をスラリと抜き放つ。
 フゥと息を吐き、高く伸びている雑草を剣で一閃して薙ぎ払う。
 
 魔法陣自体を見やすくするためにってか。
 なかなか気が利いてるじゃねぇか。
 
 視界がより良好になると、以前見かけたものと類似している魔法陣が眼前に現れる。
 魔法陣は魔法陣だが、コイツは間違いなく召還陣だな。
 
 推測だが魔物から摘出した黒い血で描かれたもので、側に寄ると一層不快感が増す。
 大きさは、以前見つけたものよりデカい。
 レイヴンも神妙な顔つきをしてるところを見ると、同じく察したことが分かる。
 舌打ちしてその場にしゃがみ込み、頭の中の知識と照らし合わせて詳細に見分する。

「コイツも召喚陣だが、永続的に出現させるものじゃねぇ。大物を離れた地に飛ばすように細工されてんなぁ。ここに書かれている文字は俺の使う移動テレポートの原理に似てる。これを書いてるヤツは魔法の心得があるのか、文献を理解してんのか……何にしてもふざけたヤツだな」
「まさか、戦争でも始めようってんじゃないでしょうね?」
「持てる戦力を誇示しているって? エルフも目じゃないって証明したとでも言いたいのでしょうか……」

 三人で少しの間沈黙して考えを巡らせてたが、静寂が突如打ち破られる。
 警戒していた騎士のいる方角で、唸り声と耳障りな金属音が響く。
 その音に対して真っ先に反応したウルガーが素早く身体を翻し、音の元へと急行した。
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