264 / 483
第十章 たまには真面目な魔塔主といつも真面目な弟子
262.自室で真剣に
しおりを挟む
一旦魔塔にいる魔法使いたちの様子を見て、俺というよりレイヴンが細かな指示を出す。
俺が話すよりもレイヴンが話すと、コイツらも言うこと聞くんだよな。
今日の予定をしっかりと説明した後に、一緒に俺の自室に戻る。
レイヴンが台所で飲み物を準備している間に机へ向かい、記録用の本の白紙のページに自分の見たものを書き写していく。
書き写しちまえば、レイヴンも一緒に見られるしな。
「どうぞ。テオが真面目すぎてちょっと驚いてます」
「なんだ? 惚れ直したか?」
「口を閉じていれば、ですけど。元々研究がお好きだからとは思っていましたけど、探究心は力になるんですね」
「そんな小難しいことは考えてねぇけど、自分の知らないことを吸収するのは嫌いじゃねぇな」
レイヴンが置いたカップを手に取り、鼻孔を擽る香ばしさが漂う珈琲を一口飲む。
何も言わねぇうちに珈琲を淹れるのも上手くなったよな。
俺の好みをよく分かっているのも、さすが可愛い弟子ってことだな。
「俺はこちらにいますので、何かあれば声をかけてください」
「あぁ、分かった」
レイヴンも調べものをするから資料を貸してほしいとわざわざ言ってくる。
んなもん、勝手に使って構わねぇってのによ。
真面目な顔して、俺の自室にある資料や本を何冊も抱えてテーブルの上へと広げていく。
本当はレイヴンを構いながらやりたいところだが、触ると確実にヤっちまいそうだから、少しだけ我慢して作業に戻る。
+++
集中して記憶を書き出せたし、後は問題ねぇはずだ。
珈琲を一気に煽り、腕を掴んで上へと伸ばす。
そのまま首だけ動かして、レイヴンの様子を伺う。
ついさっきまで難しい顔して唸ってたんだが、ソファーにもたれ掛かって寝てるみてぇだな。
椅子から立ち上がって、様子を見にソファーへと歩み寄る。
「レイ?」
話しかけても反応はない。
静かな寝息を立てて、すやすやと眠っちまってる。
寝てると長いまつげがよく見えて、また絵になる可愛さだよなぁ。
テーブルには様々な本や資料が広げられたままだし、レイヴンも何かしら書き写してみてぇだな。
俺の部屋にある書物の中でも分厚いものを読み進めているうちに、睡魔に襲われたってところか。
「俺が静かにしてると寝るのか? まぁ、ここ何日か特に可愛がってるし、しょうがねぇな」
寝顔を晒せるくらい安心してくれてんのは嬉しいもんだな。
レイヴンを起こさないように抱き上げて運び、静かにベッドへと寝かせた。
ベッドの脇に座って見ているだけじゃ我慢できねぇ。
どうしても触れたくなってくる。
色々構いたくなるのを堪えて一度だけ撫でる。
真面目なところも見せてやらねぇと、本気にしねぇしな。
仕方なく立ち上がり、踵を返して作業の続きをするために机へと戻った。
俺が話すよりもレイヴンが話すと、コイツらも言うこと聞くんだよな。
今日の予定をしっかりと説明した後に、一緒に俺の自室に戻る。
レイヴンが台所で飲み物を準備している間に机へ向かい、記録用の本の白紙のページに自分の見たものを書き写していく。
書き写しちまえば、レイヴンも一緒に見られるしな。
「どうぞ。テオが真面目すぎてちょっと驚いてます」
「なんだ? 惚れ直したか?」
「口を閉じていれば、ですけど。元々研究がお好きだからとは思っていましたけど、探究心は力になるんですね」
「そんな小難しいことは考えてねぇけど、自分の知らないことを吸収するのは嫌いじゃねぇな」
レイヴンが置いたカップを手に取り、鼻孔を擽る香ばしさが漂う珈琲を一口飲む。
何も言わねぇうちに珈琲を淹れるのも上手くなったよな。
俺の好みをよく分かっているのも、さすが可愛い弟子ってことだな。
「俺はこちらにいますので、何かあれば声をかけてください」
「あぁ、分かった」
レイヴンも調べものをするから資料を貸してほしいとわざわざ言ってくる。
んなもん、勝手に使って構わねぇってのによ。
真面目な顔して、俺の自室にある資料や本を何冊も抱えてテーブルの上へと広げていく。
本当はレイヴンを構いながらやりたいところだが、触ると確実にヤっちまいそうだから、少しだけ我慢して作業に戻る。
+++
集中して記憶を書き出せたし、後は問題ねぇはずだ。
珈琲を一気に煽り、腕を掴んで上へと伸ばす。
そのまま首だけ動かして、レイヴンの様子を伺う。
ついさっきまで難しい顔して唸ってたんだが、ソファーにもたれ掛かって寝てるみてぇだな。
椅子から立ち上がって、様子を見にソファーへと歩み寄る。
「レイ?」
話しかけても反応はない。
静かな寝息を立てて、すやすやと眠っちまってる。
寝てると長いまつげがよく見えて、また絵になる可愛さだよなぁ。
テーブルには様々な本や資料が広げられたままだし、レイヴンも何かしら書き写してみてぇだな。
俺の部屋にある書物の中でも分厚いものを読み進めているうちに、睡魔に襲われたってところか。
「俺が静かにしてると寝るのか? まぁ、ここ何日か特に可愛がってるし、しょうがねぇな」
寝顔を晒せるくらい安心してくれてんのは嬉しいもんだな。
レイヴンを起こさないように抱き上げて運び、静かにベッドへと寝かせた。
ベッドの脇に座って見ているだけじゃ我慢できねぇ。
どうしても触れたくなってくる。
色々構いたくなるのを堪えて一度だけ撫でる。
真面目なところも見せてやらねぇと、本気にしねぇしな。
仕方なく立ち上がり、踵を返して作業の続きをするために机へと戻った。
0
お気に入りに追加
118
あなたにおすすめの小説
すずらん通り商店街の日常 〜悠介と柊一郎〜
ドラマチカ
BL
恋愛に疲れ果てた自称社畜でイケメンの犬飼柊一郎が、ある時ふと見つけた「すずらん通り商店街」の一角にある犬山古書店。そこに住む綺麗で賢い黒猫と、その家族である一見すると儚げ美形店主、犬山悠介。
恋に臆病な犬山悠介と、初めて恋をした犬飼柊一郎の物語。
※猫と話せる店主等、特殊設定あり
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
俺は魔法使いの息子らしい。
高穂もか
BL
吉村時生、高校一年生。
ある日、自分の父親と親友の父親のキスシーンを見てしまい、平穏な日常が瓦解する。
「時生くん、君は本当はぼくと勇二さんの子供なんだ」
と、親友の父から衝撃の告白。
なんと、二人は魔法使いでカップルで、魔法で子供(俺)を作ったらしい。
母ちゃん同士もカップルで、親父と母ちゃんは偽装結婚だったとか。
「でさ、魔法で生まれた子供は、絶対に魔法使いになるんだよ」
と、のほほんと言う父親。しかも、魔法の存在を知ったが最後、魔法の修業が義務付けられるらしい。
でも、魔法学園つったって、俺は魔法なんて使えたことないわけで。
同じ境遇の親友のイノリと、時生は「全寮制魔法学園」に転校することとなる。
「まー、俺はぁ。トキちゃんと一緒ならなんでもいいかなぁ」
「そおかあ? お前ってマジ呑気だよなあ」
腹黒美形×強気平凡の幼馴染BLです♡
※とても素敵な表紙は、小槻みしろさんに頂きました(*^^*)
今世はメシウマ召喚獣
片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。
最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。
※女の子もゴリゴリ出てきます。
※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。
※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。
※なるべくさくさく更新したい。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

拝啓お父様。私は野良魔王を拾いました。ちゃんとお世話するので飼ってよいでしょうか?
ミクリ21
BL
ある日、ルーゼンは野良魔王を拾った。
ルーゼンはある理由から、領地で家族とは離れて暮らしているのだ。
そして、父親に手紙で野良魔王を飼っていいかを伺うのだった。
暁にもう一度
伊簑木サイ
ファンタジー
成り上がり貧乏辺境領主の後継者ソランは、金策のため、「第二王子を王太子になるよう説得できた者に望みの褒美をとらす」という王の頼みごとを引き受けた。
ところが、王子は女嫌いということで、女とばれないよう、性別を隠して仕えることになる。
ソランと、国のために死に場所を探している王子の、「死なせない」と「巻き込みたくない」から始まった主従愛は、いつしか絶対に失いたくない相手へと変わっていく。
けれど、絆を深めるほどに、古に世界に掛けられた呪いに、前世の二人が関わっていたと判明していき……。
『暁に、もう一度、あなたと』。数千年を越えて果たされる、愛と祈りの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる