【第二部開始】風変わりな魔塔主と弟子

めーぷる

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第九章 我慢していた魔塔主と受け入れる弟子

254.意地を張る子猫

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 俺が満足するまで、付き合わせたけどよ。
 身体もちゃんと綺麗にしてやったってのに。
 レイヴンは不満そうだ。

 ヤッてる時は甘えてくるし、むしろ積極的に求めてたりするくせに、素に戻るとむくれるんだよな。
 
 レイヴンの体力の都合で、普段より遅めの時間の夕飯を取ることになっちまったが。
 どうしても食いたいっていうから、仕方ねぇ。
 ホント、レイヴンは食うことが好きだからな。

 +++

 夕飯も簡単に済ませて、後は寝るだけの状態でベッドに寝転んでだらだら過ごす。
 疲労困憊のレイヴンは、枕に突っ伏して絶対に動かないという無言の意思を貫いて、俺から妙に距離を取ってんだよな。
 わざわざベッドの端に避難してるらしい。

 別にそこまで警戒しなくても、俺も満足したから後は寝るだけだって言ってんのに、信用しねぇんだよな。

「もうちょい体力つけねぇと、毎回これじゃ持たないよなぁ」
「……誰のせいですか、誰の……テオがおかしいんですよ。この時だけ、どうして体力が化け物になるんですか……」
「そうかぁ? ま、大したことはしてねぇんだけどな」
「アレで? ホントに? こわー」

 俺に疑いの眼差しを向けて、ますますベッドの端へと寄っていく。
 ガキみたいな露骨な態度にククッと笑いが漏れちまう。
 レイヴンのことを可愛いもんだと、逆に見つめてやる。

「俺、もう寝ますよ? そんなに見られても今日はもうしませんから」
「分かったって。でもそこで寝るつもりか? 落ちるぞ」
「そこまで寝相悪くないから大丈夫です」

 少しの間観察してたが、そのままウトウトし始めた。
 起こしちゃかわいそうだし、距離を取ったまま眺める。

 しっかし、同じベッドなのに離れてんのはやっぱおかしいよなぁ。
 なーんか、落ち着かねぇ。

 レイヴンの方へ寄って、落ちないように俺側の真ん中の方へ身体を転がす。
 小さな声が耳に届く。
 動かしたから、起こしちまったか。
 それならと遠慮なく自分の胸の中に抱き込む。

「妙なところで意地を張るの好きだよなぁ。くっついてるの、好きな癖によ」
「だけなら……いい、ですよ? 駄目、ホントに眠い……」

 レイヴンを抱き寄せられても反抗はしない。
 ホントに眠かったらしいな。
 暫くすると静かに眠ったのか、寝息を立て始める。

「やっぱ、抱き枕があると落ち着くよな。体温も高いし、俺まで眠気を誘われるから、すぐに眠くなっちまう」

 レイヴンの体温に引き寄せられるように、段々と眠気が襲ってきた。
 程よい温かさで、少しずつウトウトしてくる。
 自然と欠伸まで出てくると、流石に眠い。

 眠気に逆らわず、目を閉じる。
 早くレイヴンを説得して、毎日抱いて眠りたいもんだな。
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