【第二部開始】風変わりな魔塔主と弟子

めーぷる

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第九章 我慢していた魔塔主と受け入れる弟子

247.甘いのはお菓子だけじゃなくて

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 珈琲味のマカロンを食べながら、レイヴンが淹れた紅茶の方も飲んでみる。
 味は悪くねぇ。
 レイヴンの淹れ方がうまいせいかもしれねぇが。

「合わないかと思ったがそうでもなかったな」
「珈琲は勿論、甘いものは紅茶とは大体相性がいいと思いますよ。中には合わないものもあるので、一概には言えないですけど」
「そりゃそうか。でもまぁ、口の中に入れば大体一緒だろ」
「こういう人がいるから駄目なんですよね。もっと味わって食べてほしいですけど、まぁテオには無理ですよね」

 レイヴンが両肩を竦めて挑発するようなポーズを取る。
 俺は俺で食べ方を変える気もねぇから、またチョコレートを齧る。

「ホント豪快というかなんというか……でもこういう時間って久しぶりですよね」
「そうだなァ。俺としてはもう暫く休んでいたいんだがな」
「まぁ気持ちは分からないでもないですけどね。俺もなんだか安心してしまって」
「だろ? まぁ、まだ安心できねぇから面倒だけどな」

 俺の呟きにレイヴンもマカロンを口に運ぶ動きを止めて、目線を合わせる。

 こういうこと言うとすぐに反応しちまうよな。
 苦笑して、レイヴンの頭に手を乗せてポンと撫でた。

「いや、今真面目にならなくても別にいいんだけどよ」
「それはそうなんですけど……何か食べづら……んむぅ」

 レイヴンが喋りかけていたところに、持っていたマカロンを奪い取って口に押し込んだ。
 驚いたレイヴンが一旦動きを止める。
 食に大して素直なレイヴンらしく、結局大人しくマカロンを静かに咀嚼する。

 ホント、食べ物は拒まねぇよな。

「……いきなり口に突っ込まないでくださいよ。驚くじゃないですか」
「悪かったよ。気にすんなって。今はのんびりしようぜ。落ち着いたら調べに行くからよ」
「調べに……ですか?」
「あぁ。ちょっとな。まぁ役に立つかは分かんねぇけどよ。やられっぱなしは癪だしな」

 レイヴンの唇を親指でなぞりニィと笑って見せると、レイヴンも苦笑するがどこか安心したような表情に変わる。

「調べるって言っても、何かアテがあるってことですか?」
「まぁな。王宮の図書館に行こうかと思ってよ」
「……すっごい意外すぎます」
「あのなぁ……俺が普段から何もしてねぇと思ってるだろ。失礼だなぁ、補佐官様」

 俺が足を組み直し鼻を鳴らすとレイヴンも自然と笑う。

 「そんなことは……ない? ある?」

 一丁前に追撃で茶化してくる。
 生意気だよなァ?
 頭を掻き混ぜてやると抗議してくる。
 結局撫でられ好きなレイヴンが折れて、笑顔を零した。
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