【第二部開始】風変わりな魔塔主と弟子

めーぷる

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第九章 我慢していた魔塔主と受け入れる弟子

243.いつもの師匠と弟子

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 珍しく歩いて魔塔へと戻り、階段を上る。
 久しぶりだが、相変わらず長くて面倒臭ぇんだよな。
 ホント、無駄に高いんだよ。

 レイヴンも息を切らさずついてくるのは偉いんだけどな。
 俺でも荷物を持ってると、どうも歩き辛い。
 さっさと上っちまいたいが、この区域は特に魔法が使えねぇってのがなー。

 今度、魔法の構造を書き換えてやるか。
 そもそも通らねぇせいで、書き換えることも忘れちまうんだがな。

「やっぱ飛べば良かったわ。ここの階段長いんだよなぁ。何でこの高さで設計したんだよ、初代の魔塔主は。確実にテラスに飛ぶためだろ」
「そもそも魔塔では外敵防止の結界があるから、特定の場所以外は魔法が使えないじゃないですか。そもそも飛んで来られるようにしたのテオですよね?」
「まぁな。魔法使いは身体動かせっていう理由だったら、魔塔自体を壊したいんだがなぁ」

 俺の素直な意見に、盛大なため息を吐かれる。
 たぶん全部ぶち壊して作り直した方が早いだろ。
 変に今残ってる部分を使おうとする方が、確実に色々と面倒なんだからよ。

 何も間違ったことは言ってねぇだろ。

「何言ってるんですか……」

 その一言を言い捨てたとおもったら、口を閉ざして無言になっちまった。
 まあ、喋りながら上ると流石に息切れになるのも分かるんだけどよ。

 しっかし、無言で淡々と階段を上って、何が楽しいんだかな。
 ただひたすら、拷問としか思えねぇんだよな。

 +++

 無言で上った一番天辺が、俺の自室だからな。
 一体どれだけ時間を無駄にしてんだか分からねぇ。

「やっぱ怠ぃからもう二度と階段は使わねぇ。何で無言で上らなきゃいけないんだよ」
「喋りながらだと疲れるからに決まってるでしょう? はぁ……俺も体力もっとつけないとなぁ……」

 買い物した荷物は、仕方なく丁寧に机の上へと置いて並べていく。

 何か無駄に喉が乾いて仕方ねぇ。
 適当に転がっていたコップを手に取って水を注ぎ、一気飲みする。
 レイヴンも腕を掴んで身体をゆっくりと伸ばすと、軽くほぐしてから買ったものを順に片付け始める。

 ホント、目を離すと片付けしてるよなァ。
 別にメロウベリーで買ったもん以外は、気にしなくて良さそうなもんばっかりなはずだろ。
 食料だって、今、放置したところで腐ったりしねぇし。

「なぁ、後でいいだろ? 少し休もうぜ」
「後に回したらもっと面倒臭くなるでしょう? 折角買ったんですから、仕舞っていかないと……あ、これは後で自分の部屋に持っていこうかな」

 自分のために買った食材も分けて、小まめに動くレイヴンに近づくと、遮るように後から抱きしめる。
 無理矢理にでも動きを止めねえと、ずっと片付けちまうからな。
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