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第八章 解こうとした魔塔主と何も知らない弟子とエルフの里の長
210.今も心の中で思うこと
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どこの世界でもそういう輩は必ずいる。
排他的考えで自分のどうでもいい価値観や伝統という名の悪習慣を平気で行おうとしてくる。
そいつらに立ち向かうために何ができるか。
その準備時間が予想よりかかっちまったというのなら。
今からちゃんと向き合ってやればいい。
レイヴンもそこら辺を理解できるくらいには大人になっているし、父親の表情を見ている視線は複雑な気持ちだけじゃなさそうだしな。
何せ、コイツは良い子だから父親と母親を責めたりしねぇだろ。
複雑な事情があれば尚更だろうな。
「あぁ。昔、文献で見たことがあった魔法の一種だった。里に伝わる秘法とされてきたものだったから、私の記憶だけでも消してしまおうと。だが、どうやら小さい時の記憶全てを封印してしまったのだな……。この魔法をかけた後、老人たちはカナリーとレイヴンを始末して、私だけを無理矢理に里へと連れ戻そうとした。私は元々、前の里長の息子だったから、私だけは連れ戻す必要があった、ということだ。いっそ私ごと追放してくれたら……」
「……これだから、頭の固い連中がすることは。胸糞悪ぃんだよ」
それでも辛い過去になっちまうよな。
唇を噛み締めているレイヴンを見ていると、俺の方が苛立ってくる。
舌打ち混じりで毒づくぐらいしかできねぇ。
過去が変わる訳でもないが、人間は面倒臭ぇ生き物だからこういう話を聞けばどうすれば良かったんだって考えちまうときもある。
幸せに暮らしていた記憶まで封印するほどに追い詰められて。
なんもしてねぇのに命まで狙われるなんざ、そいつらが今でものさばってるなら俺が始末してやりたいくらいだ。
なんでこう、ジジイどもは頭が固いヤツばっかりなんだか。
つい、自分の過去とも重ね合わせちまう。
レイヴンとは境遇も何もかも違うが、かくいう俺も過去ではうだうだ悩んだりなんだりしてた訳で。
自分の境遇を呪ってるようなときもあったな。
俺のイラつきに気づいているレイヴンが、またギュッと俺の手を握ってくる。
レイヴンに触れていると、俺も少し落ち着いてくる。
俺のことを信頼してくれている気持ちが伝わってきて、自然と口元も緩む。
自分にとって良い影響となるヤツに出会えるかどうかで分岐点も変わってくるってもんだが、俺の場合はあの人だろうし。
レイヴンにとっては、俺がその一人になってるはずだしな。
そこは自画自賛しておかねぇと。
こんなことを考えるのはらしくねぇんだが、レイヴンにとっては今が大事な時間なのも確かだ。
いつもみたいに茶化してばかりって訳にもいかねぇし、たまには真剣に考えねぇとな。
互いの温度を確かめるように、俺もまた握り直した。
排他的考えで自分のどうでもいい価値観や伝統という名の悪習慣を平気で行おうとしてくる。
そいつらに立ち向かうために何ができるか。
その準備時間が予想よりかかっちまったというのなら。
今からちゃんと向き合ってやればいい。
レイヴンもそこら辺を理解できるくらいには大人になっているし、父親の表情を見ている視線は複雑な気持ちだけじゃなさそうだしな。
何せ、コイツは良い子だから父親と母親を責めたりしねぇだろ。
複雑な事情があれば尚更だろうな。
「あぁ。昔、文献で見たことがあった魔法の一種だった。里に伝わる秘法とされてきたものだったから、私の記憶だけでも消してしまおうと。だが、どうやら小さい時の記憶全てを封印してしまったのだな……。この魔法をかけた後、老人たちはカナリーとレイヴンを始末して、私だけを無理矢理に里へと連れ戻そうとした。私は元々、前の里長の息子だったから、私だけは連れ戻す必要があった、ということだ。いっそ私ごと追放してくれたら……」
「……これだから、頭の固い連中がすることは。胸糞悪ぃんだよ」
それでも辛い過去になっちまうよな。
唇を噛み締めているレイヴンを見ていると、俺の方が苛立ってくる。
舌打ち混じりで毒づくぐらいしかできねぇ。
過去が変わる訳でもないが、人間は面倒臭ぇ生き物だからこういう話を聞けばどうすれば良かったんだって考えちまうときもある。
幸せに暮らしていた記憶まで封印するほどに追い詰められて。
なんもしてねぇのに命まで狙われるなんざ、そいつらが今でものさばってるなら俺が始末してやりたいくらいだ。
なんでこう、ジジイどもは頭が固いヤツばっかりなんだか。
つい、自分の過去とも重ね合わせちまう。
レイヴンとは境遇も何もかも違うが、かくいう俺も過去ではうだうだ悩んだりなんだりしてた訳で。
自分の境遇を呪ってるようなときもあったな。
俺のイラつきに気づいているレイヴンが、またギュッと俺の手を握ってくる。
レイヴンに触れていると、俺も少し落ち着いてくる。
俺のことを信頼してくれている気持ちが伝わってきて、自然と口元も緩む。
自分にとって良い影響となるヤツに出会えるかどうかで分岐点も変わってくるってもんだが、俺の場合はあの人だろうし。
レイヴンにとっては、俺がその一人になってるはずだしな。
そこは自画自賛しておかねぇと。
こんなことを考えるのはらしくねぇんだが、レイヴンにとっては今が大事な時間なのも確かだ。
いつもみたいに茶化してばかりって訳にもいかねぇし、たまには真剣に考えねぇとな。
互いの温度を確かめるように、俺もまた握り直した。
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