【第二部開始】風変わりな魔塔主と弟子

めーぷる

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第七章 エルフにも動じない魔塔主とたじろぐ弟子(と騎士二人)

205.里長のいる神殿

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「里には訪問者が来ることが滅多にないものですから、怖いもの見たさで……申し訳ありませんが、もう少しの辛抱ですので」
「そんなに見られてもなぁ。俺が格好良いから見惚れるっていうなら仕方ねぇが?」

 俺が顎に手を当てて擦ってカッコいい仕草を決めてやると、他の三人が一斉に返答する。

「いや、それはないです」
「ないな」
「ですよねー。諦めましょう、テオドール様」
「何だよ。一斉に……」

 軽く舌打ちしている俺を見て、レクシェルが笑う。

 へぇ、笑うと可愛らしいじゃねぇか。

「そうそう、折角綺麗な顔してんだからよ。笑ってないと勿体ねぇ」
「確かに。いいこと言いますね、テオドール様。それに下心がなければもっといいと思いますけど」
「お前なぁ。余計なこと言うと、コイツが……」
「……何で俺の方を見るんです? 師匠のいつもの悪い癖ですから気にしてません。それに、レクシェルさんに冗談を言いたかったんですよ。ね?」

 レイヴンは笑っているが、少しだけ怒ってねぇか? ヤキモチだったら可愛いもんだが。
 むくれすぎるとご機嫌取りしねぇといけないからなぁ。

 気にしないフリをして、視線を前に戻す。
 レクシェルは俺たちのやり取りを見ていて、笑っている自分に内心驚いているみたいだが、まぁしょうもないやり取りしてれば笑いたくもなるよなぁ。

「すまない、悪気はないのだが。いつもこんな感じでな。厳かな雰囲気からは程遠い連中でな。レイヴンはそれでも一人ならば静かだと思うのだが……」
「いえ、私たちはこういう接し方をあまり知らないので。新鮮だなと思いまして。……そろそろ着きます。この建物が里長のいる建物です」

 ディーにも微笑を向けたあと、レクシェルが建物を指し示す。
 この建物は石で出来ているようで、他の住居などとは一風変わった建物だった。
 どちらかと言えば神殿といった方が分かりやすいかもしれねぇな。

「何か妙に堅苦しい感じの建物だな。ババアのいる神殿みたいな」
「だから、ババアって言わないでください。聖女様です。里長さんはここにお住まいに?」
「はい、そうです。精霊との対話もこちらで行いますので、寝泊まりはここで」
「でも確かに厳かな雰囲気がありますね。テオドール様は精霊にも嫌われそうだから、居心地悪いかもしれませんけど」

 ウルガーの小さな反撃はいちいちうぜぇんだよな。
 きっちり文句を言わせてもらうぜ?

 言い合いながら案内されるままに建物の中へと進んでいく。
 白い石で作られている建物は、単純な作りながら澄んだ空気の満ちた建物で、精霊がいるかもしれないと言われれば何となく納得してしまう雰囲気がある。

 まあ、荘厳というか。
 俺が好きじゃねぇ感じだな。
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