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第七章 エルフにも動じない魔塔主とたじろぐ弟子(と騎士二人)
199.息の合った連携
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先に到着していたハーリオンが彼らを下げて、自分が矢面に立ったらしい。
あのエルフたちは感じ悪いエルフの兄ちゃんより若造じゃねぇか。
しかもあの様子じゃ戦い慣れもしてなさそうだ。
エルフの姉ちゃんが言うことは間違いなさそうだな。
戦いに慣れている者はもういないのかもしれねぇ。
目の前には先程と同じラットの群れが、順番に飛びかかって襲いかかっているのが分かる。
あれは、もうもたねぇな。
舌打ちしながら魔法を唱える前に、先に声が聞こえてきた。
「炎の波!」
レイヴンが先に炎魔法を唱え、炎の波を生み出して森を燃やさないようにコントロールしながら、地にわらわらとしているラットたちを焼き払う。
「数が多いが……あそこにいるラットは……変異種だな? しかもかなり大きな」
言うが早いか、剣を抜き放ったディートリッヒが足元からわらわらと身体に登ってくるラットたちを薙ぎ払い、そのまま小走りで距離を詰めて、変異種の子供の背丈ほどのラットへと斬りかかる。
「ギ、ギィエッッ」
不快な声を出して、べしゃり、とその場に崩れ落ちる。
すると、その体液で地面がジュワと音を出し、草が溶けると同時に嫌な臭いを撒き散らす。
「強くはないけど、数が多いのが、厄介ですね!」
一言、二言、三言――
ウルガーは話しながら、纏わりつくラットを丁寧に剣で振り払っていく。
質量で攻めてくるラットたちに対しての決定打が足りてないことに気づいていたので、俺らの指示に従うっていう意味なのか、俺に目配せする。
「どうすっかな。どれでもいいんだけどよ。一気にやりてぇよな」
俺は不敵な笑みと共に詠唱に入る。
その詠唱に気づいたレイヴンが重ねるように一緒に詠唱に入った。
こういう時に先読みして合わせられるのはレイヴンだけだ。
俺に合わせて魔法を組み合わせてくるのが、心地良い。
今の状況も忘れて口が笑みの形を作るのが分かる。
俺らの声は全く違うし言ってる内容も違うもんだが、唱え終わるのは同時になったので一緒に発動する。
「炎の渦」
「水の雨!」
俺が放った炎は渦となって、なめるように地面から根こそぎラットを燃やしていく。
少し威力がある魔法だから、このままだとこの辺一体はすぐに黒焦げになる。
森が焼けないように放たれたレイヴンの魔法で、倒した側から俺の魔法の軌道に合わせて消火していく。
器用に合わせるのは、簡単なようで難しい。
これもレイヴンの才能の一つみたいなもんなんだが、本人はあまり気づいてねぇというか謙虚すぎるというか。
正確無比なんだよな。
俺のことを知り尽くしていないと、こうは合わせられない。
あのエルフたちは感じ悪いエルフの兄ちゃんより若造じゃねぇか。
しかもあの様子じゃ戦い慣れもしてなさそうだ。
エルフの姉ちゃんが言うことは間違いなさそうだな。
戦いに慣れている者はもういないのかもしれねぇ。
目の前には先程と同じラットの群れが、順番に飛びかかって襲いかかっているのが分かる。
あれは、もうもたねぇな。
舌打ちしながら魔法を唱える前に、先に声が聞こえてきた。
「炎の波!」
レイヴンが先に炎魔法を唱え、炎の波を生み出して森を燃やさないようにコントロールしながら、地にわらわらとしているラットたちを焼き払う。
「数が多いが……あそこにいるラットは……変異種だな? しかもかなり大きな」
言うが早いか、剣を抜き放ったディートリッヒが足元からわらわらと身体に登ってくるラットたちを薙ぎ払い、そのまま小走りで距離を詰めて、変異種の子供の背丈ほどのラットへと斬りかかる。
「ギ、ギィエッッ」
不快な声を出して、べしゃり、とその場に崩れ落ちる。
すると、その体液で地面がジュワと音を出し、草が溶けると同時に嫌な臭いを撒き散らす。
「強くはないけど、数が多いのが、厄介ですね!」
一言、二言、三言――
ウルガーは話しながら、纏わりつくラットを丁寧に剣で振り払っていく。
質量で攻めてくるラットたちに対しての決定打が足りてないことに気づいていたので、俺らの指示に従うっていう意味なのか、俺に目配せする。
「どうすっかな。どれでもいいんだけどよ。一気にやりてぇよな」
俺は不敵な笑みと共に詠唱に入る。
その詠唱に気づいたレイヴンが重ねるように一緒に詠唱に入った。
こういう時に先読みして合わせられるのはレイヴンだけだ。
俺に合わせて魔法を組み合わせてくるのが、心地良い。
今の状況も忘れて口が笑みの形を作るのが分かる。
俺らの声は全く違うし言ってる内容も違うもんだが、唱え終わるのは同時になったので一緒に発動する。
「炎の渦」
「水の雨!」
俺が放った炎は渦となって、なめるように地面から根こそぎラットを燃やしていく。
少し威力がある魔法だから、このままだとこの辺一体はすぐに黒焦げになる。
森が焼けないように放たれたレイヴンの魔法で、倒した側から俺の魔法の軌道に合わせて消火していく。
器用に合わせるのは、簡単なようで難しい。
これもレイヴンの才能の一つみたいなもんなんだが、本人はあまり気づいてねぇというか謙虚すぎるというか。
正確無比なんだよな。
俺のことを知り尽くしていないと、こうは合わせられない。
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