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第七章 エルフにも動じない魔塔主とたじろぐ弟子(と騎士二人)
191.宿屋で待っていたのは
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「いらっしゃいませ」
宿屋を営む女将らしき女性が明るく声を掛けてくる。
ぞろぞろと入ってきた俺たちに一瞬呆気に取られるもののすぐに気を取り直して、お泊りですか? と続けて確認してきた。
まぁ、ごついのも美形も見慣れてるんだろ。
「私たちより先に宿泊している二人組がいると聞いたのですが」
「ええ、その方たちならお部屋へご案内しましたよ。確かに後から人が来ると仰ってましたねぇ」
「すまないが、その部屋に案内してもらえないだろうか? 向こうも承諾済だが、用があってな。到着したことを知らせたいのだ」
「はい、分かりました。この子に案内させますから」
使用人の少女が呼ばれると、ディーの前に立って軽く頭を下げる。
ご案内しますね、と告げて、先頭に立って歩きだした。
村娘ちゃんらしい村娘ちゃんだ。
愛想もあるし、手慣れてる感じがするな。
ぱっつん髪がまた可愛いもんだ。
「確かに、思ったより部屋数も多くて綺麗な宿屋ですね」
「田舎にしちゃあ悪くねぇな。今日こそは一人一部屋で泊まれるんじゃねぇの?」
接近禁止令はこの村に着くまでだったからな。
堂々とレイヴンの隣を陣取る。
俺とレイヴンで辺りを見回しながら歩いていると、少女が突き当りの扉の前で立ち止まる。
「こちらのお部屋です。いらしてから外には出られていないので、中にいらっしゃると思います」
「すまないな。案内ありがとう」
ディーは小遣い程度の銅貨を少女に手渡す。
少女はお礼を言って頭を下げるとそのまま来た道を戻っていった。
「この中にいるんですかね。どっちにしても早く解決できるといいんですけど。では、団長。張り切ってどうぞ」
「この場でもふざけてる場合か。全く。いいか、扉を叩くぞ」
ディーが扉を叩こうとしたところで、中から、開いているから入れ、と高圧的な声がした。
先に気配でも探っていやがったか?
何にしても感じ悪ぃな。
全員で顔を見合わせて、扉を開き中へと入る。
「遅かったな、人間よ。まあ、人間ではこの村に来るのも遠かったな」
「……いきなり喧嘩を売るのはやめなさい。彼らに失礼だわ」
部屋の中にはフードを外して姿を顕にしたエルフの男女がいた。
二人とも美しく長い金髪だ。
女性と思われる方は髪を三つ編みに結っている。
流石にエルフは違うな。
綺麗なもんだ。
野郎ですら綺麗だときてるからな。
服装も緑を貴重とした清楚なもんだが、男はパンツ、女はスカートの形になっていた。
「この度は遠いところをありがとうございます。私はエルフの里長の命でこちらに参りました、レクシェルです。こちらはハーリオン」
「里長も何でこんなまどろっこしいやり方を……コイツらが協力など好んでする訳もない。私たちで何とかすればいいものを」
レクシェルと名乗った女性の方は穏健派っぽいが、ハーリオンと呼ばれた野郎は人間を敵視してんだろうな。
さっきからやたらと煩ぇし。
イラっとはするが、仕方ねぇからもう少し様子をみてやるか。
ディーも気にせず、同じく名乗りを上げる。
「今回、我がアレーシュ王国の代表として来たうちの一人、ディートリッヒ・アーベラインだ。こっちのがウルガー・ボーネマン。俺たちは騎士だ」
「初めまして。私はレイヴン・アトランテです。こちらは師匠で魔塔主である、テオドール・バダンテール。私たちは魔法使いです」
簡単な自己紹介をすると、ハーリオンが俺を不躾な視線で睨みつけてきた。
宿屋を営む女将らしき女性が明るく声を掛けてくる。
ぞろぞろと入ってきた俺たちに一瞬呆気に取られるもののすぐに気を取り直して、お泊りですか? と続けて確認してきた。
まぁ、ごついのも美形も見慣れてるんだろ。
「私たちより先に宿泊している二人組がいると聞いたのですが」
「ええ、その方たちならお部屋へご案内しましたよ。確かに後から人が来ると仰ってましたねぇ」
「すまないが、その部屋に案内してもらえないだろうか? 向こうも承諾済だが、用があってな。到着したことを知らせたいのだ」
「はい、分かりました。この子に案内させますから」
使用人の少女が呼ばれると、ディーの前に立って軽く頭を下げる。
ご案内しますね、と告げて、先頭に立って歩きだした。
村娘ちゃんらしい村娘ちゃんだ。
愛想もあるし、手慣れてる感じがするな。
ぱっつん髪がまた可愛いもんだ。
「確かに、思ったより部屋数も多くて綺麗な宿屋ですね」
「田舎にしちゃあ悪くねぇな。今日こそは一人一部屋で泊まれるんじゃねぇの?」
接近禁止令はこの村に着くまでだったからな。
堂々とレイヴンの隣を陣取る。
俺とレイヴンで辺りを見回しながら歩いていると、少女が突き当りの扉の前で立ち止まる。
「こちらのお部屋です。いらしてから外には出られていないので、中にいらっしゃると思います」
「すまないな。案内ありがとう」
ディーは小遣い程度の銅貨を少女に手渡す。
少女はお礼を言って頭を下げるとそのまま来た道を戻っていった。
「この中にいるんですかね。どっちにしても早く解決できるといいんですけど。では、団長。張り切ってどうぞ」
「この場でもふざけてる場合か。全く。いいか、扉を叩くぞ」
ディーが扉を叩こうとしたところで、中から、開いているから入れ、と高圧的な声がした。
先に気配でも探っていやがったか?
何にしても感じ悪ぃな。
全員で顔を見合わせて、扉を開き中へと入る。
「遅かったな、人間よ。まあ、人間ではこの村に来るのも遠かったな」
「……いきなり喧嘩を売るのはやめなさい。彼らに失礼だわ」
部屋の中にはフードを外して姿を顕にしたエルフの男女がいた。
二人とも美しく長い金髪だ。
女性と思われる方は髪を三つ編みに結っている。
流石にエルフは違うな。
綺麗なもんだ。
野郎ですら綺麗だときてるからな。
服装も緑を貴重とした清楚なもんだが、男はパンツ、女はスカートの形になっていた。
「この度は遠いところをありがとうございます。私はエルフの里長の命でこちらに参りました、レクシェルです。こちらはハーリオン」
「里長も何でこんなまどろっこしいやり方を……コイツらが協力など好んでする訳もない。私たちで何とかすればいいものを」
レクシェルと名乗った女性の方は穏健派っぽいが、ハーリオンと呼ばれた野郎は人間を敵視してんだろうな。
さっきからやたらと煩ぇし。
イラっとはするが、仕方ねぇからもう少し様子をみてやるか。
ディーも気にせず、同じく名乗りを上げる。
「今回、我がアレーシュ王国の代表として来たうちの一人、ディートリッヒ・アーベラインだ。こっちのがウルガー・ボーネマン。俺たちは騎士だ」
「初めまして。私はレイヴン・アトランテです。こちらは師匠で魔塔主である、テオドール・バダンテール。私たちは魔法使いです」
簡単な自己紹介をすると、ハーリオンが俺を不躾な視線で睨みつけてきた。
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