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第七章 エルフにも動じない魔塔主とたじろぐ弟子(と騎士二人)
190.待ち合わせ場所
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出発した後の道中は特にこれといった問題もなく、日が落ちる前にエルフに指定された村まで辿り着くことができた。
村は慎ましやかな農村と言って差し支えない、小さな村だ。
ホント静かにしてるのがつまんねぇな。
歩いている間レイヴンにも近寄れねぇし、欠伸しかでない。
この村はそれでも国境付近で立ち寄れる休息地の一つで、アレーシュ王国の砦もあるから騎士の姿は見慣れているらしい。
と、さっきディーが説明してたな。
そのせいかここでは奇異の視線を向けられない。
「この村に立ち寄ったことがあるのは団長だけですよね」
「そうかもな。テオは通りすぎたことはあるかもしれないが」
ディーが俺に話を振ってくるが、レイヴンがいない頃のことはあまり記憶にない。
「覚えてねぇ」
と軽く肩を竦め、適当に返事をする。
「師匠は色々なところに行ってたんですよね?」
「まぁ、国の情勢が落ち着くまではな。あっちこっち行かされて面倒だったことくらいしか覚えてねぇけど」
ゆったりと歩いていると、道の先に宿屋らしき建物が見えてくる。
どうやらここが待ち合わせ場所として指定された宿屋らしい。
念のためにレイヴンが近くにいた村民の女性に話しかける。
「すみません、この村の宿屋はこちらの宿屋のみでしょうか?」
「はい。そうですよ。この村の収入源の一つですからねぇ。宿屋だけは大きくしようって村長さんが張り切って大きくしたんです。今日は何だか綺麗な子がよく来るのねぇ」
「ありがとうございます。綺麗とは……見た目がってことですか?」
「綺麗な金髪の男の子と女の子だったのよ。あなたは黒髪がツヤツヤしていて賢そうだけどねぇ。待ち合わせをしているって言ってたのよ」
世間話には笑顔で、ありがとうございます、と、レイヴンが返答し、金髪という言葉に目配せしてきた。
皆で頷き合う。
まぁエルフで間違いねぇだろ。
レイヴンが改めてお礼を述べて女性を見送った。
「どうやら先に来ているみたいですね。二人組でしょうか?」
「そのようだな。エルフは一般的に金髪の持ち主が多いと言われていることが多いし、見目麗しいともあれば間違いないだろう」
真面目に会話を交わす背後で、ウルガーがチラと俺を見て声を掛けてくる。
「レイヴンも賢そうで綺麗な子ってことなんだな。審美眼あるな、この村の人。そう思いません? テオドール様」
「なんで俺に振るんだよ。レイちゃんの無駄に高評価な見た目は今に始まったことじゃねぇだろうよ」
「いや、城下町の人たちだけ特別にやたらとレイヴンを褒めるのかと思ってたんですけど。やっぱりパッと見が整ってるってことですか?」
「だから、俺に聞くなよ。本人に言ってやれ。ご自慢なんだからよ」
どうでも良いやり取りをしているのがレイヴンにも聞こえたのか、クルリと振り返った。
「お褒め頂きありがとうございます。エルフの皆様と同様に褒めて頂けるとは光栄ですね。はい。無駄に高評価な見た目で申し訳ありません……こんな感じでいいですか? もう、しょうもないこと言ってないで、行きますよ?」
「全くだ。レイヴンは賢いし、見目が整っているのは当然のことだ。何を当たり前のことを言っているのやら。それでこそ、レイヴンだろう」
レイヴンが適当な返しをしたのに、横にいるディーは普通にレイヴンのことを褒め称えるせいで、居た堪れなくなったレイヴンが恥ずかしそうにに頬を赤く染める。
「うわぁ……何か言い切っている人がいる……」
「なぁに、レイちゃんの点数稼ぎしようとしてんだよ。これだからお父さんは」
元々緊張感のない雰囲気でくっちゃべってたが、他愛のないやり取りで緊張が解れたらしいレイヴンは、ありがとうございます。と、ディーにお礼を言って、微笑みかける。
いや、そこは俺だろうが。
ディーに笑いかける必要はねぇってのになぁ。
「何、真実を言ったまでだ。さあ、客人を待たせるのも悪い。中に入るとしよう」
ディーの一言で、一応軽く警戒をしてからゆっくりと宿屋の扉をくぐった。
村は慎ましやかな農村と言って差し支えない、小さな村だ。
ホント静かにしてるのがつまんねぇな。
歩いている間レイヴンにも近寄れねぇし、欠伸しかでない。
この村はそれでも国境付近で立ち寄れる休息地の一つで、アレーシュ王国の砦もあるから騎士の姿は見慣れているらしい。
と、さっきディーが説明してたな。
そのせいかここでは奇異の視線を向けられない。
「この村に立ち寄ったことがあるのは団長だけですよね」
「そうかもな。テオは通りすぎたことはあるかもしれないが」
ディーが俺に話を振ってくるが、レイヴンがいない頃のことはあまり記憶にない。
「覚えてねぇ」
と軽く肩を竦め、適当に返事をする。
「師匠は色々なところに行ってたんですよね?」
「まぁ、国の情勢が落ち着くまではな。あっちこっち行かされて面倒だったことくらいしか覚えてねぇけど」
ゆったりと歩いていると、道の先に宿屋らしき建物が見えてくる。
どうやらここが待ち合わせ場所として指定された宿屋らしい。
念のためにレイヴンが近くにいた村民の女性に話しかける。
「すみません、この村の宿屋はこちらの宿屋のみでしょうか?」
「はい。そうですよ。この村の収入源の一つですからねぇ。宿屋だけは大きくしようって村長さんが張り切って大きくしたんです。今日は何だか綺麗な子がよく来るのねぇ」
「ありがとうございます。綺麗とは……見た目がってことですか?」
「綺麗な金髪の男の子と女の子だったのよ。あなたは黒髪がツヤツヤしていて賢そうだけどねぇ。待ち合わせをしているって言ってたのよ」
世間話には笑顔で、ありがとうございます、と、レイヴンが返答し、金髪という言葉に目配せしてきた。
皆で頷き合う。
まぁエルフで間違いねぇだろ。
レイヴンが改めてお礼を述べて女性を見送った。
「どうやら先に来ているみたいですね。二人組でしょうか?」
「そのようだな。エルフは一般的に金髪の持ち主が多いと言われていることが多いし、見目麗しいともあれば間違いないだろう」
真面目に会話を交わす背後で、ウルガーがチラと俺を見て声を掛けてくる。
「レイヴンも賢そうで綺麗な子ってことなんだな。審美眼あるな、この村の人。そう思いません? テオドール様」
「なんで俺に振るんだよ。レイちゃんの無駄に高評価な見た目は今に始まったことじゃねぇだろうよ」
「いや、城下町の人たちだけ特別にやたらとレイヴンを褒めるのかと思ってたんですけど。やっぱりパッと見が整ってるってことですか?」
「だから、俺に聞くなよ。本人に言ってやれ。ご自慢なんだからよ」
どうでも良いやり取りをしているのがレイヴンにも聞こえたのか、クルリと振り返った。
「お褒め頂きありがとうございます。エルフの皆様と同様に褒めて頂けるとは光栄ですね。はい。無駄に高評価な見た目で申し訳ありません……こんな感じでいいですか? もう、しょうもないこと言ってないで、行きますよ?」
「全くだ。レイヴンは賢いし、見目が整っているのは当然のことだ。何を当たり前のことを言っているのやら。それでこそ、レイヴンだろう」
レイヴンが適当な返しをしたのに、横にいるディーは普通にレイヴンのことを褒め称えるせいで、居た堪れなくなったレイヴンが恥ずかしそうにに頬を赤く染める。
「うわぁ……何か言い切っている人がいる……」
「なぁに、レイちゃんの点数稼ぎしようとしてんだよ。これだからお父さんは」
元々緊張感のない雰囲気でくっちゃべってたが、他愛のないやり取りで緊張が解れたらしいレイヴンは、ありがとうございます。と、ディーにお礼を言って、微笑みかける。
いや、そこは俺だろうが。
ディーに笑いかける必要はねぇってのになぁ。
「何、真実を言ったまでだ。さあ、客人を待たせるのも悪い。中に入るとしよう」
ディーの一言で、一応軽く警戒をしてからゆっくりと宿屋の扉をくぐった。
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