【第二部開始】風変わりな魔塔主と弟子

めーぷる

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第六章 我が道を行く魔塔主と献身的に支える弟子(と騎士二人)

188.反省しない魔塔主と謝罪する弟子

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 レイヴンとウルガーも拠点に戻ってきた後は、どうも微妙な空気の中、皆黙々と撤去作業をしていた。
 まぁ、どうせ悪いのは俺ってことになってるしどうだっていいんだけどよ。
 レイヴンが気にしてるんだよな。
 まぁ、もうちょい対策しておけばバレずに済んだかもしれねぇからな。
 それだけはやっちまったよなぁ。
 
「先程は取り乱しまして、大変申し訳ありませんでした!」

 衣服を整え出発準備も整ったところで、レイヴンがディーの前で深々と頭を下げる。

 レイヴンのことだ。
 遊びではないこの道中にいくら俺が先に手を出してきたからとはいっても流されてはいけなかったし、それを律することができなかった自分に恥じてこの命を下ろされても仕方がない。

 とか何とか、思ってんだろうな。
 別に見張りが追ってきて王命に背いたりしないかと見張っている訳でもねぇし、目的さえ果たせばぶっちゃけ過程はどうだっていいと思うが。

 そもそも俺が出張るってことはそういうことだと、陛下は理解している。
 俺が動くのは自分が大切に思う者の為だけだ。
 その条件で魔塔主も引き受けているし、それがひいては国のためになるのならば構わないと言ったのは陛下だ。

 っていう話を何回しても、レイヴンには届かない訳だが。

「レイヴン……」
「私は、如何なる処分でも受ける覚悟はできています。勅命の途中にあのようなことをすべきではないと頭では分かっていたはずなのに、補佐官としてお恥ずかしい限りです」
「全く、相変わらず真面目すぎるんだよな。レイヴンは」
「テオドール様! 事態がややこしくなるから、黙っててください!」

 チッ。
 これだから頭の固い連中は。

 レイヴンもどうしてそういう風になっちまったんだか。
 ウルガーがやたらと訴えてくるから静かにしてやるけどよ。

 レイヴンは頭を下げたままあげようともしない。
 責任を感じてるってか。
 だから、誰もそんなこと思ってねぇのに。

 何なら俺が罰でもなんでも受けてやるってのによ。
 自分を責め続けているレイヴンを見て、ウルガーがディーを見て声をかける。

「団長、何か言ってやらないと」
「そうだな」

 仕方なく黙って事の成り行きを見守ることにして、一歩下がる。

 レイヴンの両肩に優しく手を置いたディーが、レイヴンの身体を起こし、少し屈んでレイヴンと同じ目線になると静かに口を開く。

 見てるだけで腹が立ってくるが、見ない振りしてやるからさっさと終わらせろってんだよ。

「レイヴン、確かに勅命を受けた我々は国を背負って今も動いている。これが軍であれば懲罰もあり得たのかもしれないが。俺個人としては、懲罰には当たらないと考えている。まず、第一にレイヴンは本当に水浴びをしていただけだということ。第二に確かに補佐官として魔塔主の行いを正すように動くべきではあるが、レイヴンのことだ。テオドールを跳ね除けようとしたのだろう?」
「それは……」
「ならば、レイヴンに否はないと考える。よって、懲罰を下すのならば、この男だ」

 ディーが俺の腕を掴んでレイヴンの目の前に突き出す。
 あのなぁ! 馬鹿力で掴むなっての!

「痛ぇな! なんだよ、いきなり」
「レイヴン、コイツの煙草は今すぐ全て燃やしてしまえ。後、次の目的地に着くまでレイヴンに接近することを禁ずる」

 は? いや何で俺の煙草が関係あるんだよ!
 横暴だろ、横暴!

「な――おい、ディー! お前、ふざけるのも大概に……」

 不快感を顕にしてディーを睨みつけ、声を上げた。
 勢いよく反抗してやろうと声を上げてるのに俺を止めるように、レイヴンが俺の両腕を掴む。
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