【第二部開始】風変わりな魔塔主と弟子

めーぷる

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第六章 我が道を行く魔塔主と献身的に支える弟子(と騎士二人)

176.決着

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「「――凍れフリーズ!」」

 残るもう一体が口をカパリと開けて、炎を吐こうとするのに気付いた俺とレイヴンがほぼ同時に同じ魔法を放つ。
 レイヴンは足元に、俺は口元へと、お互いにオーガの身体を凍らせていく。

「さっすが息ピッタリ! こっちも、いい加減、倒れろって!!」

 ウルガーが剣を引き抜き、今度は逆側の胸を思い切り突き刺す。
 ボタボタと血が滴り落ちると地面がジュッと嫌な音を立てて焦げていく。

「……テオの保護がなかったら攻め込めなかったな。しかし、コイツまだ倒れないのか……ック!」

 ディーは血に当たらぬように、気をつけながらもオーガが事切れるまで攻撃の手は緩めない。
 残った足も切り飛ばそうと力を込める。
 苦しみもがく腕は、ウルガーが上から剣を振り下ろし容赦なく叩きつけた。

「しっかし、ここまでしてもまだ動くとは。どれだけの生命力なんだ!?」

 騎士たち二人が部位攻撃を仕掛けている間、もう一体のオーガを封じこめようと冷気を放ち続けていたが、レイヴンが少し辛そうに片目を瞑る。

「……いくら初期魔法とはいえ、ここまで抵抗するだなんて……!」
「ったく、無傷で捕獲するのは面倒なんだよなァ。仕方ねぇ、ちょいと気合いれるか」

 片手でレイヴンの腰を抱き、驚いたレイヴンと手を合わせるとニヤリと笑んでみせた。

「――絶対的なアブソリュート 氷結フリージング

 威力を増した冷気がオーガの身体を包み込み、標本のように四角く囲む。
 体毛の一本一本までも凍らせていく冷気は、漸くオーガの生命活動自体を封じ込める。

「そんな器用な芸当もできるんですね……師匠。それに、また専用魔法作ってるし……」
「おいおい、それ褒めてねぇだろ? もっと褒めてほしいもんだなぁ……っと、アイツらは生きてるか?」

魔力マナの放出を収め騎士たちの方へと視線を向けると、ちょうどオーガが地面へと倒れ伏したところだった。
 騎士たちの激しい攻撃に四肢の千切れたオーガの死体が出来上がる。

「おーおー。派手にやってんな。ディーよ」
「……予想以上にしぶとかったな。しかも体液は猛毒だった。大地が汚れてしまうほどにな」
「はぁ……テオドール様の魔法がなかったら、俺たちもドロドロに溶かされるところでしたよ。どういう物を作ってるんだよ、全く」

 ディーが周囲の安全を確認し、戦闘が終了したことを告げる。
 二重の確認のために捜索サーチをかけるが、同じく魔物の反応はなくディーも安堵の息を漏らす。

 ブンと剣を振って不浄な血液を飛ばすに騎士二人は念のため剣を洗ってくると言い残し、後始末を俺たちに託して近くの水場を探しに行った。

 まぁ、アレはさっさと洗っちまった方がいいから任されてやるか。
 残った俺たちで状況の報告をするために記録媒体の魔道具を取り出す。
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