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第六章 我が道を行く魔塔主と献身的に支える弟子(と騎士二人)
167.優しく温かい騎士団長<レイヴン視点>
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「……そんなに態度に出てますか? すみません。これでも本当に普通のつもりだったのですが、ディートリッヒ様にご迷惑をかけるつもりではなかったんです」
ディートリッヒ様が気遣ってくれたことは嬉しいけど、何だか申し訳なくて。
こんなことじゃいけないと思っているのに、師匠は勅命という自覚もなくいつも通りに俺のことを……。
師匠に腹が立っているのは勿論、その行為自体を心の奥底で……本当は奥底なんかじゃなくて。
優しく触れられて、自分だけを見てくれて嬉しいと。
喜んでしまっている自分自身に一番腹が立った。
公私混同なんて以ての外なのに。
気持ちを知ってしまってから、拒否ができない自分がいる。
今はそんな時ではないというのに……。
謝罪の気持ちを込めて丁寧に頭を下げると、ディートリッヒ様が苦笑して頭をポンと撫でてくれる。
「いや、レイヴンはいつも我慢しているのだから気にするな。どうせテオが無茶なことをさせたのだろう? アイツ、連携の確認をしただけだと言っていたが……」
「え? えぇ……。そう、ですね。師匠が我儘ばかり言っていたので、少し疲れてしまったみたいです。身体的には問題ありませんので。心労が少し溜まってしまっているのかもしれません」
師匠、いつディートリッヒ様と話したんだろう?
でも……流石に言えない。
あんなことをしていただなんて、恥ずかしいし最低だし。
何とか苦笑すると、さらに大きな手で撫でられる。
師匠とはまた違った無骨な手なのに、壊れ物に触れるように慈しんでくれているのが伝わってくる。
俺にそんな価値なんてないと思うけど、ディートリッヒ様の温かみのある手に癒やされて、朝からささくれだっていた心の棘が抜け落ちていく気がした。
「ディートリッヒ様は、本当にお優しいのですね。逆に申し訳なくて……」
「いいんだ。レイヴンはいつも真面目に頑張っているのだから、少しくらい羽目を外して感情を顕にするくらいで丁度良い。テオに怒るように、俺が何か間違ったことをしたら怒ってくれていいんだぞ?」
「そんな……ディートリッヒ様に限って、間違ったことをなさるだなんて考えられません。実直でいらっしゃいますし、自分自身を厳しく律しているからこそのお人柄なのですから」
「ハハ……そこまで褒められると照れくさいな。ありがとう。テオはテオでやる時はやる男だとは思うがな。それは、レイヴン自身が良く知っているのだろう?」
優しい眼差しでディートリッヒ様に諭されると、もやもやとして子供じみた態度を取っていた自分が恥ずかしくなってきてしまう。
ディートリッヒ様の優しさはスッと心の中に落ちてきて、自分の心の中の奥底にあるもやもやとした感情も包み込んでくれるような暖かさがあった。
「……そうですね。だからこそ、腹が立つのかもしれませんが。周りに居る方たちに恵まれているからこその、師匠ですから。本当、たちが悪いですよね」
「違いない」
二人で顔を見合わせて笑い合い、他愛のない会話をする。
話すのは苦手だと言いながら、それでも俺の為に一生懸命にお話してくださるのが凄く嬉しい。
師匠もこんな風に接してくれたらいいのに……。
頭の片隅で思いながら、師匠とウルガーの帰りを待っていた。
ディートリッヒ様が気遣ってくれたことは嬉しいけど、何だか申し訳なくて。
こんなことじゃいけないと思っているのに、師匠は勅命という自覚もなくいつも通りに俺のことを……。
師匠に腹が立っているのは勿論、その行為自体を心の奥底で……本当は奥底なんかじゃなくて。
優しく触れられて、自分だけを見てくれて嬉しいと。
喜んでしまっている自分自身に一番腹が立った。
公私混同なんて以ての外なのに。
気持ちを知ってしまってから、拒否ができない自分がいる。
今はそんな時ではないというのに……。
謝罪の気持ちを込めて丁寧に頭を下げると、ディートリッヒ様が苦笑して頭をポンと撫でてくれる。
「いや、レイヴンはいつも我慢しているのだから気にするな。どうせテオが無茶なことをさせたのだろう? アイツ、連携の確認をしただけだと言っていたが……」
「え? えぇ……。そう、ですね。師匠が我儘ばかり言っていたので、少し疲れてしまったみたいです。身体的には問題ありませんので。心労が少し溜まってしまっているのかもしれません」
師匠、いつディートリッヒ様と話したんだろう?
でも……流石に言えない。
あんなことをしていただなんて、恥ずかしいし最低だし。
何とか苦笑すると、さらに大きな手で撫でられる。
師匠とはまた違った無骨な手なのに、壊れ物に触れるように慈しんでくれているのが伝わってくる。
俺にそんな価値なんてないと思うけど、ディートリッヒ様の温かみのある手に癒やされて、朝からささくれだっていた心の棘が抜け落ちていく気がした。
「ディートリッヒ様は、本当にお優しいのですね。逆に申し訳なくて……」
「いいんだ。レイヴンはいつも真面目に頑張っているのだから、少しくらい羽目を外して感情を顕にするくらいで丁度良い。テオに怒るように、俺が何か間違ったことをしたら怒ってくれていいんだぞ?」
「そんな……ディートリッヒ様に限って、間違ったことをなさるだなんて考えられません。実直でいらっしゃいますし、自分自身を厳しく律しているからこそのお人柄なのですから」
「ハハ……そこまで褒められると照れくさいな。ありがとう。テオはテオでやる時はやる男だとは思うがな。それは、レイヴン自身が良く知っているのだろう?」
優しい眼差しでディートリッヒ様に諭されると、もやもやとして子供じみた態度を取っていた自分が恥ずかしくなってきてしまう。
ディートリッヒ様の優しさはスッと心の中に落ちてきて、自分の心の中の奥底にあるもやもやとした感情も包み込んでくれるような暖かさがあった。
「……そうですね。だからこそ、腹が立つのかもしれませんが。周りに居る方たちに恵まれているからこその、師匠ですから。本当、たちが悪いですよね」
「違いない」
二人で顔を見合わせて笑い合い、他愛のない会話をする。
話すのは苦手だと言いながら、それでも俺の為に一生懸命にお話してくださるのが凄く嬉しい。
師匠もこんな風に接してくれたらいいのに……。
頭の片隅で思いながら、師匠とウルガーの帰りを待っていた。
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