【第二部開始】風変わりな魔塔主と弟子

めーぷる

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第六章 我が道を行く魔塔主と献身的に支える弟子(と騎士二人)

165.面倒臭いが、悪いとも言い切れない

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「……すまんな。俺じゃつまらん話しかできん。そういえば、レイヴンはもう休んだのか?」
「あぁ。そんなに体力はねぇからな。ゆっくりと休ませてやらないとなぁ?」

 レイヴンの可愛い乱れっぷりを思い出すとニヤニヤしちまうな。
 俺を見てディートリッヒが苦笑する。

「そうか……テオなりにレイヴンのことを大切にしているのならいいのだがな。お前のことだ、宿に着いた途端にレイヴンに無茶なことをしていないかと心配していたのだが……」
「無茶なこと? 別に普通じゃねぇか?」
「……おい、テオ。お前……同室にしろと騒いでいたのは、まさか……」
「何言ってんだよ、久しぶりに外でレイヴンと組むから連携の確認に決まってんだろうが。ディーこそ、何考えたんだァ? うわぁー怪しいー」

 あからさまにイラっとした癖に、飲みながら素知らぬ顔して躱しやがって。
 どうせ師弟仲良しで何よりとかそんなこと考えてんだろ?
 父親みてぇな顔して笑ってるしな。
 
 ま、コイツはレイヴンに俺が何しているかなんて考えねぇからな。
 そこまで立ち入られるのも面倒だからそこは鈍いままでいて欲しいもんだが。
 そこは唯一お前のイイところだし。

「……お前はホントつまんねぇヤツだよな。ま、レイヴンのことは俺が一番構ってやってるからいちいち関わってくるんじゃねぇぞ? まぁ、レイヴンのことを好意的に思っていることくらいは、心の広い俺が許してやるけどよ」
「レイヴンはお前の物ではないだろう? 道具のような言い方をするのはやめろ。それに一人の人間として見守ってやるのは当然だ。レイヴンはテオに振り回されて大変な思いをしているのだから、時には間に入って助けなければ。疲労で倒れてしまう」
「物とモノは違うだろうが。発音で分かれよ。俺のモノと言ったらブツじゃねぇんだよ。何だ、この不毛なやり取りは。クッソどうでもいいわ」
「そういうのを屁理屈だと言うのだ。いい年にもなって、くだらないことしか言わん口だな。くれぐれも、くれぐれも、レイヴンに無理をさせるんじゃないぞ? 分かったな?」

 ディーが先に席を立った。
 ホント、説教臭ぇジジイなんだよなァ。
 シッシッと追い払うように掌で払いのける。
 最後に長い溜め息を残して、ディーは勘定を済ませて先に部屋へと戻っていった。

「面倒くさ……」

 デカい背中を見送って、もう一度マグを煽る。
 まぁ、コイツと話すのは面倒な部分もあるが気楽なところもあるからな。
 思ったより気が晴れた。

 そういう意味では使えるヤツかもしれねぇな。
 戦闘においては放り投げておけば全部なぎ倒していくし。
 利用しやすいっちゃ利用しやすいよな。

 ま、腐れ縁も悪くはねぇか。
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