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第六章 我が道を行く魔塔主と献身的に支える弟子(と騎士二人)
163.あまり会いたくない先客
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真っ赤な顔で説教し続けるレイヴンの身体を二度目のシャワーで流して綺麗にし、それでも怒りがおさまらないのを何とか宥めて寝かしつける。
疲労もあったのか、撫でてやると大人しく目を瞑り俺の胸の中で寝息をたてていた。
本当はこのまま寝ちまいたいところだが、流石に少しは仕事しねぇといけないからな。
ディーの目を盗んで一服すんのが面倒だから、今のうちに吸わせてもらわねぇと。
名残惜しげに唇を落とし、起こさないようにそっとベッドを抜け出すと窓際で煙草に火を付け煙を燻らせる。
暫くはじっくりと味わい思案すると、レイヴンに持たされている携帯用灰皿に押し付け吸い殻を仕舞い込む。
「さぁて……一杯引っ掛けて、補佐官殿の分も働くか」
適当に服を着直すと眠るレイヴンを部屋に残し、念のための防御結界を張り巡らせると静かに扉を開いて階下へと向かう。
+++
宿屋兼酒場になっているせいか、階下は飲み明かす人々でざわついていた。
空いている席を探していると、別に会いたくもない人物と目があった。
「お前がいるとは思わなかったなァ。なんやかんやで飲みたかったんじゃねぇか」
「テオと一緒にするな。俺はれっきとした理由があってここにいる。飲んでいるのは警戒されない為だ」
ラフな姿のディーは、白のシャツを寛げ茶のパンツに茶のブーツ姿の一見放浪している戦士のようにも見える。
俺も似たようなもんで、髪はそのまま下ろしたまんまで他はシャツの色が暗めの灰でパンツが黒である以外は、ほぼディーと同じ服装で何か被ってんだよな。
まぁ、移動中の服装なんてこんなもんだが。
色が暗い服装のせいか、金髪が目立ちっまうのは仕方ねぇな。
何せ、美形で華やかだからな。
俺が折角イイ顔してやってんのにディーの表情は渋い。
失礼な奴だな。
「相変わらず、盗賊にしか見えない格好だな。ローブがあるから幾分マシだということが良く分かる」
「何を着てたってどうせ、やかましいじゃねぇか。で、何か情報は手に入ったのか?」
注文を取りに来た店の女の子に、いつもの通りビールを注文すると煙草を取り出して火を付ける。
酒場なら吸い放題だってのに、コイツは理解がない。
ガチガチの石頭なんだよな。
「……酒場ならば吸ってもいい訳ではないぞ? 全く、ここまで手放せないのは病気だな」
「お前が素振りするのと似たようなもんだろ? 日課ってヤツだしなぁ。ったく、いいからさっさと本題に入れ」
コイツの説教癖がレイヴンに悪影響を及ぼしているとしか思えねぇんだよな。
二人が揃うと説教が倍になるし、そういうところが融通利かなくて面倒臭いって言ってんのに、俺の母親かってくらいにいちいち注意してくる。
こういう時は大抵、無視を決め込んで煙草をふかす。
ディーはやっと注意を諦めたらしいが眉間に皺を寄せ、煙を手でブンと払いながら話を続ける。
疲労もあったのか、撫でてやると大人しく目を瞑り俺の胸の中で寝息をたてていた。
本当はこのまま寝ちまいたいところだが、流石に少しは仕事しねぇといけないからな。
ディーの目を盗んで一服すんのが面倒だから、今のうちに吸わせてもらわねぇと。
名残惜しげに唇を落とし、起こさないようにそっとベッドを抜け出すと窓際で煙草に火を付け煙を燻らせる。
暫くはじっくりと味わい思案すると、レイヴンに持たされている携帯用灰皿に押し付け吸い殻を仕舞い込む。
「さぁて……一杯引っ掛けて、補佐官殿の分も働くか」
適当に服を着直すと眠るレイヴンを部屋に残し、念のための防御結界を張り巡らせると静かに扉を開いて階下へと向かう。
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宿屋兼酒場になっているせいか、階下は飲み明かす人々でざわついていた。
空いている席を探していると、別に会いたくもない人物と目があった。
「お前がいるとは思わなかったなァ。なんやかんやで飲みたかったんじゃねぇか」
「テオと一緒にするな。俺はれっきとした理由があってここにいる。飲んでいるのは警戒されない為だ」
ラフな姿のディーは、白のシャツを寛げ茶のパンツに茶のブーツ姿の一見放浪している戦士のようにも見える。
俺も似たようなもんで、髪はそのまま下ろしたまんまで他はシャツの色が暗めの灰でパンツが黒である以外は、ほぼディーと同じ服装で何か被ってんだよな。
まぁ、移動中の服装なんてこんなもんだが。
色が暗い服装のせいか、金髪が目立ちっまうのは仕方ねぇな。
何せ、美形で華やかだからな。
俺が折角イイ顔してやってんのにディーの表情は渋い。
失礼な奴だな。
「相変わらず、盗賊にしか見えない格好だな。ローブがあるから幾分マシだということが良く分かる」
「何を着てたってどうせ、やかましいじゃねぇか。で、何か情報は手に入ったのか?」
注文を取りに来た店の女の子に、いつもの通りビールを注文すると煙草を取り出して火を付ける。
酒場なら吸い放題だってのに、コイツは理解がない。
ガチガチの石頭なんだよな。
「……酒場ならば吸ってもいい訳ではないぞ? 全く、ここまで手放せないのは病気だな」
「お前が素振りするのと似たようなもんだろ? 日課ってヤツだしなぁ。ったく、いいからさっさと本題に入れ」
コイツの説教癖がレイヴンに悪影響を及ぼしているとしか思えねぇんだよな。
二人が揃うと説教が倍になるし、そういうところが融通利かなくて面倒臭いって言ってんのに、俺の母親かってくらいにいちいち注意してくる。
こういう時は大抵、無視を決め込んで煙草をふかす。
ディーはやっと注意を諦めたらしいが眉間に皺を寄せ、煙を手でブンと払いながら話を続ける。
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