162 / 483
第六章 我が道を行く魔塔主と献身的に支える弟子(と騎士二人)
159.普段と違う反応
しおりを挟む
レイヴンは俺が大人しくタオルを持って待っていたことを偉い偉いと適当に褒めてきた。
それ褒めてんのか? 褒めるならもっとちゃんと褒めて欲しいもんだ。
別に気にしてる訳じゃねぇし、こういう戯れも悪くはねぇか。
そう思えば楽しくなってきて、レイヴンの身体をわしゃわしゃ拭いてやる。
「も、もうちょっと丁寧に拭けませんか? 髪の毛がまたグシャグシャになりそうで……」
「注文が細かいんだよなぁ。いいじゃねぇか、拭いてやってるんだし」
「自分で拭くつもりで取ってくださいとお願いしたんですよ! ほら、テオもびしょ濡れなんですから……」
俺の手からタオルを奪い、今度はレイヴンが身体を拭いていく。
俺とレイヴンだと結構身長差があるんだよな。
背伸びをして俺を拭こうとしたレイヴンを、そのまま脇の下に手を入れてヒョイと持ち上げる。
「テオ!? いきなり持ち上げられたら驚くじゃないですか! っていうか、逆にやりづらいんですけど」
「ん? いや、高い高ーい?」
「……何してくれてんですかこの人は……」
「ザッとでいいだろ。また風呂入るかもしれねぇし」
「は? またって何を言って……まさか……テオ。明日、情報収集するって言いましたよね? 俺たち何をしに来ましたか? それでなくても、何か付き合ってやらされて……」
レイヴンが大好きもとい、いつも文句を言い出すことが確定している、人の悪い笑みを浮かべてやってから手をパッと離す。
そのままレイヴンの身体を抱きとめると、鼻歌混じりで抱えたままベッドの上へと転がした。
「俺があの程度で満足するとでも? 甘いな……甘いなァ? レイちゃん。夜はこれからだ」
「いや、隣に二人、いるんですよ!? ただでさえ色々と疑われているのに、そんなことできるわけ……あぁぁ……結界を張り巡らせるのが早い……」
自分の上に覆いかぶさった俺の爽やかな笑顔を見て、レイヴンの顔が自然と引きつる。
失礼だよなぁ? こんなに微笑みかけてやってんのに。
防音結界は、俺の可愛いレイヴンの声をアイツらに聞かせる訳にはいかねぇからな。
そりゃあ展開するだろ。
これでどんなに甘い声をあげても問題ねぇし。
こんなの適当に展開してもイケる。
髪からポタポタと雫が垂れてこようが関係ねぇ。
今はレイヴンをどう喰ってやろうかしか考えてない。
レイヴンも俺が片手で防音結界を張り巡らせたことは理解したようだが、どう逃れようと必死で思考を巡らせるってとこか。
「せ、せめて髪の毛は乾かしたほうがいいのでは……?」
「確かに、コレは鬱陶しいか。じゃあ……コレで」
レイヴンの必死の言い訳は可愛いんだがなァ?
サラリと呪文を紡ぎ、凝縮させた温風魔法でお互いの身体をさっと乾かしてしまう。
「こんなところで魔法の便利づかいを……」
「これから後は、また後で考えるとして。そろそろ観念してもらおうか?」
俺の長い髪がレイヴンの身体を擽るくらいに距離が縮まる。
普段はほぼ面倒臭がって髪を結んだままでヤってるしな。
雰囲気は違うかもしれねぇな。
そんなに強引にしてるつもりもねぇが、レイヴンが雰囲気に気圧されてんのか、珍しく抵抗してこねぇな。
文句すら言ってこないのは珍しい。
「どうした? いつもならこの辺りでギャンギャン言ってくるのに。しおらしいじゃねぇか」
「え? あ、ええと……そう、ですね。テオを止めたいのに、なんだか止められない……」
「そんなに見つめてくるとは、ますます珍しいな。いつもと違うことあったかぁ?」
「……俺から言ったりしませんよ? それにこの状況からひっくり返すには、俺も全力で魔法を叩き込まないと無理だろうし、そんなことしたら色々と迷惑ですから」
諦めたように苦笑するレイヴンの頬を撫で、レイヴンが普段よりおとなしい理由を考えてみる。
勿論、隣の奴らを気にしてということもあるし、先程から煩いほどに勅命だと言っているが。
俺を見ている目つきが珍しいものを見ているような、そんな感じがする。
それ褒めてんのか? 褒めるならもっとちゃんと褒めて欲しいもんだ。
別に気にしてる訳じゃねぇし、こういう戯れも悪くはねぇか。
そう思えば楽しくなってきて、レイヴンの身体をわしゃわしゃ拭いてやる。
「も、もうちょっと丁寧に拭けませんか? 髪の毛がまたグシャグシャになりそうで……」
「注文が細かいんだよなぁ。いいじゃねぇか、拭いてやってるんだし」
「自分で拭くつもりで取ってくださいとお願いしたんですよ! ほら、テオもびしょ濡れなんですから……」
俺の手からタオルを奪い、今度はレイヴンが身体を拭いていく。
俺とレイヴンだと結構身長差があるんだよな。
背伸びをして俺を拭こうとしたレイヴンを、そのまま脇の下に手を入れてヒョイと持ち上げる。
「テオ!? いきなり持ち上げられたら驚くじゃないですか! っていうか、逆にやりづらいんですけど」
「ん? いや、高い高ーい?」
「……何してくれてんですかこの人は……」
「ザッとでいいだろ。また風呂入るかもしれねぇし」
「は? またって何を言って……まさか……テオ。明日、情報収集するって言いましたよね? 俺たち何をしに来ましたか? それでなくても、何か付き合ってやらされて……」
レイヴンが大好きもとい、いつも文句を言い出すことが確定している、人の悪い笑みを浮かべてやってから手をパッと離す。
そのままレイヴンの身体を抱きとめると、鼻歌混じりで抱えたままベッドの上へと転がした。
「俺があの程度で満足するとでも? 甘いな……甘いなァ? レイちゃん。夜はこれからだ」
「いや、隣に二人、いるんですよ!? ただでさえ色々と疑われているのに、そんなことできるわけ……あぁぁ……結界を張り巡らせるのが早い……」
自分の上に覆いかぶさった俺の爽やかな笑顔を見て、レイヴンの顔が自然と引きつる。
失礼だよなぁ? こんなに微笑みかけてやってんのに。
防音結界は、俺の可愛いレイヴンの声をアイツらに聞かせる訳にはいかねぇからな。
そりゃあ展開するだろ。
これでどんなに甘い声をあげても問題ねぇし。
こんなの適当に展開してもイケる。
髪からポタポタと雫が垂れてこようが関係ねぇ。
今はレイヴンをどう喰ってやろうかしか考えてない。
レイヴンも俺が片手で防音結界を張り巡らせたことは理解したようだが、どう逃れようと必死で思考を巡らせるってとこか。
「せ、せめて髪の毛は乾かしたほうがいいのでは……?」
「確かに、コレは鬱陶しいか。じゃあ……コレで」
レイヴンの必死の言い訳は可愛いんだがなァ?
サラリと呪文を紡ぎ、凝縮させた温風魔法でお互いの身体をさっと乾かしてしまう。
「こんなところで魔法の便利づかいを……」
「これから後は、また後で考えるとして。そろそろ観念してもらおうか?」
俺の長い髪がレイヴンの身体を擽るくらいに距離が縮まる。
普段はほぼ面倒臭がって髪を結んだままでヤってるしな。
雰囲気は違うかもしれねぇな。
そんなに強引にしてるつもりもねぇが、レイヴンが雰囲気に気圧されてんのか、珍しく抵抗してこねぇな。
文句すら言ってこないのは珍しい。
「どうした? いつもならこの辺りでギャンギャン言ってくるのに。しおらしいじゃねぇか」
「え? あ、ええと……そう、ですね。テオを止めたいのに、なんだか止められない……」
「そんなに見つめてくるとは、ますます珍しいな。いつもと違うことあったかぁ?」
「……俺から言ったりしませんよ? それにこの状況からひっくり返すには、俺も全力で魔法を叩き込まないと無理だろうし、そんなことしたら色々と迷惑ですから」
諦めたように苦笑するレイヴンの頬を撫で、レイヴンが普段よりおとなしい理由を考えてみる。
勿論、隣の奴らを気にしてということもあるし、先程から煩いほどに勅命だと言っているが。
俺を見ている目つきが珍しいものを見ているような、そんな感じがする。
0
お気に入りに追加
118
あなたにおすすめの小説

【完結】元ヤクザの俺が推しの家政夫になってしまった件
深淵歩く猫
BL
元ヤクザの黛 慎矢(まゆずみ しんや)はハウスキーパーとして働く36歳。
ある日黛が務める家政婦事務所に、とある芸能事務所から依頼が来たのだが――
その内容がとても信じられないもので…
bloveさんにも投稿しております。
完結しました。
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
俺は魔法使いの息子らしい。
高穂もか
BL
吉村時生、高校一年生。
ある日、自分の父親と親友の父親のキスシーンを見てしまい、平穏な日常が瓦解する。
「時生くん、君は本当はぼくと勇二さんの子供なんだ」
と、親友の父から衝撃の告白。
なんと、二人は魔法使いでカップルで、魔法で子供(俺)を作ったらしい。
母ちゃん同士もカップルで、親父と母ちゃんは偽装結婚だったとか。
「でさ、魔法で生まれた子供は、絶対に魔法使いになるんだよ」
と、のほほんと言う父親。しかも、魔法の存在を知ったが最後、魔法の修業が義務付けられるらしい。
でも、魔法学園つったって、俺は魔法なんて使えたことないわけで。
同じ境遇の親友のイノリと、時生は「全寮制魔法学園」に転校することとなる。
「まー、俺はぁ。トキちゃんと一緒ならなんでもいいかなぁ」
「そおかあ? お前ってマジ呑気だよなあ」
腹黒美形×強気平凡の幼馴染BLです♡
※とても素敵な表紙は、小槻みしろさんに頂きました(*^^*)
今世はメシウマ召喚獣
片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。
最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。
※女の子もゴリゴリ出てきます。
※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。
※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。
※なるべくさくさく更新したい。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

拝啓お父様。私は野良魔王を拾いました。ちゃんとお世話するので飼ってよいでしょうか?
ミクリ21
BL
ある日、ルーゼンは野良魔王を拾った。
ルーゼンはある理由から、領地で家族とは離れて暮らしているのだ。
そして、父親に手紙で野良魔王を飼っていいかを伺うのだった。
暁にもう一度
伊簑木サイ
ファンタジー
成り上がり貧乏辺境領主の後継者ソランは、金策のため、「第二王子を王太子になるよう説得できた者に望みの褒美をとらす」という王の頼みごとを引き受けた。
ところが、王子は女嫌いということで、女とばれないよう、性別を隠して仕えることになる。
ソランと、国のために死に場所を探している王子の、「死なせない」と「巻き込みたくない」から始まった主従愛は、いつしか絶対に失いたくない相手へと変わっていく。
けれど、絆を深めるほどに、古に世界に掛けられた呪いに、前世の二人が関わっていたと判明していき……。
『暁に、もう一度、あなたと』。数千年を越えて果たされる、愛と祈りの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる