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第五章 漸くモノにした魔塔主と少し素直になれた弟子
142.何気ないふれあい
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「何かむず痒いな。野郎の髪の毛を弄って楽しいかぁ?」
「俺は楽しいからいいんです。俺に妹がいたら、色々な髪型に結ってあげたかったんですけど……打ち解ける前にいなくなってしまったから」
昔のことを思い出し静かな声色で話すレイヴンは、余計なことを言ったとでも思ったのか一瞬静かになる。
「そうか」
一言だけ返して後はレイヴンになされるがままに大人しくする。
俺が流したことにホッとしたのか、また普通に口を開く。
「別にツヤツヤになれとは言いませんけど、髪の毛傷んで酷いですね。まぁあの生活を送ってれば聖女様のようにはいかないか」
「だから、あのババアと比べるんじゃねぇ。アイツは男の癖にキラッキラしてんだよ」
心底嫌そうな声色がでちまうとレイヴンが笑いながら、丁寧に髪の毛を梳いていくと最初よりかはマシになってくる。
レイヴンの優しい手つきに口元が緩む。
ただ、どうも落ち着かねぇ。
手でどうしても煙草を探してしまう。
「テオ……手元がソワソワしてます。煙草吸ったらダメですからね」
「手持ち無沙汰なんだよ。お前の顔も見れねぇし、触れねぇし。感じるのはレイの指先の感触だけってのがなぁ」
「何か言い方が嫌ですけど、もうちょっとだけ我慢してください」
レイヴンは櫛を置き、今度は髪を手にとって三つ編みに編んでいく。
俺が手持ち無沙汰に何とか耐えうる時間内で完成させると、革紐で結び直していく。
「できました。鏡で見てみます? 雰囲気が違いますよねやっぱり。何か貴族っぽいですよ」
「貴族っぽいって何だよ、ぽいって。残念ながら由緒正しい血筋だからよ。それなりのことをすればキマるに決まってんだろ」
「そうですねー。さすがお貴族様ですねー」
軽口の応酬をしながら一緒に鏡を覗き込んで笑い合う。
大したことをしている訳ではないが、穏やかな時間がレイヴンにとっては嬉しく貴重な時間なのかもしれねぇな。
普通に経験していることを経験できていない、というのがどうしても心の中で影を落としていると心の中だけで留めておく。
笑顔だったレイヴンだったが、ふと考え込むように視線を落とした。
俺が感じたことは間違いではなさそうだと結論づけると、髪の毛を乱すようにわしゃわしゃと撫で回す。
「ちょっと! 俺は綺麗に編んであげたのに、テオは俺の髪の毛かき混ぜないでくださいよ!」
「悪ぃ悪ぃ。その顔、またどうでもいいこと考えてんだろ?そういうのは分かりやすいよな」
「もう、それは見ないフリしておいてください。テオと違って悩みが多いんですよ」
「俺が何も考えてねぇとか思ってんだろ? 魔塔主ともなると色々厄介ごとが多いからなぁ。レイちゃんに優しくしてもらわねぇと」
「全て嘘ではないでしょうけど、厄介ごとの半分は暴走のせいな気がします」
また隣同士に座り直すと、今度は俺が指を絡めて手を握りこむ。
普段の半分くらいの力にしたせいか、雰囲気なのか、そこまで抵抗感なくレイヴンも受け入れて、俺にまた寄りかかる。
「俺は楽しいからいいんです。俺に妹がいたら、色々な髪型に結ってあげたかったんですけど……打ち解ける前にいなくなってしまったから」
昔のことを思い出し静かな声色で話すレイヴンは、余計なことを言ったとでも思ったのか一瞬静かになる。
「そうか」
一言だけ返して後はレイヴンになされるがままに大人しくする。
俺が流したことにホッとしたのか、また普通に口を開く。
「別にツヤツヤになれとは言いませんけど、髪の毛傷んで酷いですね。まぁあの生活を送ってれば聖女様のようにはいかないか」
「だから、あのババアと比べるんじゃねぇ。アイツは男の癖にキラッキラしてんだよ」
心底嫌そうな声色がでちまうとレイヴンが笑いながら、丁寧に髪の毛を梳いていくと最初よりかはマシになってくる。
レイヴンの優しい手つきに口元が緩む。
ただ、どうも落ち着かねぇ。
手でどうしても煙草を探してしまう。
「テオ……手元がソワソワしてます。煙草吸ったらダメですからね」
「手持ち無沙汰なんだよ。お前の顔も見れねぇし、触れねぇし。感じるのはレイの指先の感触だけってのがなぁ」
「何か言い方が嫌ですけど、もうちょっとだけ我慢してください」
レイヴンは櫛を置き、今度は髪を手にとって三つ編みに編んでいく。
俺が手持ち無沙汰に何とか耐えうる時間内で完成させると、革紐で結び直していく。
「できました。鏡で見てみます? 雰囲気が違いますよねやっぱり。何か貴族っぽいですよ」
「貴族っぽいって何だよ、ぽいって。残念ながら由緒正しい血筋だからよ。それなりのことをすればキマるに決まってんだろ」
「そうですねー。さすがお貴族様ですねー」
軽口の応酬をしながら一緒に鏡を覗き込んで笑い合う。
大したことをしている訳ではないが、穏やかな時間がレイヴンにとっては嬉しく貴重な時間なのかもしれねぇな。
普通に経験していることを経験できていない、というのがどうしても心の中で影を落としていると心の中だけで留めておく。
笑顔だったレイヴンだったが、ふと考え込むように視線を落とした。
俺が感じたことは間違いではなさそうだと結論づけると、髪の毛を乱すようにわしゃわしゃと撫で回す。
「ちょっと! 俺は綺麗に編んであげたのに、テオは俺の髪の毛かき混ぜないでくださいよ!」
「悪ぃ悪ぃ。その顔、またどうでもいいこと考えてんだろ?そういうのは分かりやすいよな」
「もう、それは見ないフリしておいてください。テオと違って悩みが多いんですよ」
「俺が何も考えてねぇとか思ってんだろ? 魔塔主ともなると色々厄介ごとが多いからなぁ。レイちゃんに優しくしてもらわねぇと」
「全て嘘ではないでしょうけど、厄介ごとの半分は暴走のせいな気がします」
また隣同士に座り直すと、今度は俺が指を絡めて手を握りこむ。
普段の半分くらいの力にしたせいか、雰囲気なのか、そこまで抵抗感なくレイヴンも受け入れて、俺にまた寄りかかる。
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