462 / 483
番外編SS
それは幻想的な魔法みたいで 4<#2022BL_Xmas>
しおりを挟む
「これだと動けないし、見えないんですが……」
「まぁ、そうだよな。寒い中くっつくのって何かそれっぽいだろ?」
「それっぽいって何ですか、それっぽいって」
「ほら、何か恋人同士っぽいだろ?」
俺の単語にレイヴンの身体が強ばる。
もそもそと俺を見上げて来る顔は寒さのせいだけではなく、赤い気がする。
「また、人のことからかって。いつも戯れに抱きしめるじゃないですか」
「それは、抱き心地がいいし?」
「抱き心地って……」
「最近はレイちゃんしか抱きしめてねぇけどなァ?」
ニッと笑って見下ろすと、レイヴンが困ったように視線を逸らした。
「そ、そうですか……」
「なぁ、折角綺麗な景色なんだしよ、もうちょい愉しもうぜ?」
「……何か、嫌な予感が……」
「いくら俺でもココじゃ寒くてしな……」
「それ以上言わないでいいですっ! 分かったから!」
俺から離れようとするレイヴンを腕の力を緩めて少しだけ開放する。
革手袋のまま、試しに頬に触れてみると冷たそうに顔を顰める。
「やっぱ手で直接触れた方が好みか?」
「好みというか、なんというか……触れる事前提で言われても困りますけど、何か変な感じはします。って、別にわざわざ左手だけ外さなくても……」
「まぁ、手のほうが感覚がそのまま伝わるから、冷たくても柔らかい頬が分かるからな」
「分かりましたけど、そんなに撫でられましても……」
擽ると一応逃げはしないので、雰囲気を重視してなるべく紳士的に微笑みかけてみる。
「なぁ、このままキスしていいか?」
「……え、あ……」
雰囲気に飲まれているレイヴンが返答に困って視線を彷徨わせた。
そんなに顔違うか? 何か優しさ重視すると、レイヴンがいつもやたらと大人しくなるのは気のせいじゃなさそうだが。
まぁ、こういう景色の時は大げさに優しくしてもいいかもしれねぇな。
じゃあ、ココは寂しそうな顔でもしてみるか。
で、なるべく、甘い感じで。
「ダメか?」
「う……こ、こういう時だけ、そういう感じなの、ズルい、し。何か、断りにくい……」
「なら、いいか?」
「…………」
顔を赤くしたレイヴンは返事の代わりに観念したのか、目を閉じた。
少し上向きにさせて、そっと顔を寄せる。
相変わらず、まつげ長いよなぁ。
少し見つめてから、ゆっくりと優しく唇を合わせた。
「ん……」
「今日のレイも、凄く可愛い」
「……っ」
俺の言葉に驚いて目を開くが、至近距離なことに照れて、寒さと共に耳まで赤くする。
「だから、男に可愛いって言っても……」
「そうだな……雪景色と、レイの髪、白と黒が幻想的で綺麗だ。これが魔法じゃなくて現実だっていうのが、な」
「変なモノ、食べました……?」
「まぁ、貴族の嗜みだな。って言っても、そんなに大したこと言ってないが」
フッ、と笑うと、レイヴンが嗜み……と、反芻する。
「魔法使いの魔法でも、ここまで美しい景色と溶け込むのは難しいってことだ。ってなれば、必然的にレイが魅力的ってことになるだろ?」
「ホント、そんなに褒め称えられても……どう反応したらいいのか分かんないんですけど……」
「俺が普通なことを言うと否定するが、見目麗しいって言われてるじゃねぇか」
「それは、その……優しい皆さんが俺の良さそうなところはそこかなと言ってくれてるというかなんというか……」
唇を触れるか触れないかの位置まで近づけると、レイヴンが反射的に目を瞑る。
「いいじゃねぇか。ホントのことなんだし。俺に絵心があったら風景と一緒に描きたいところだが、記録用魔道具で記録してみるのも……」
「わ、分かったから。何か凄く恥ずかしいので……俺も優しいテオが……」
そっと目を開こうとしたので、笑んでまたキスをした。
「まぁ、そうだよな。寒い中くっつくのって何かそれっぽいだろ?」
「それっぽいって何ですか、それっぽいって」
「ほら、何か恋人同士っぽいだろ?」
俺の単語にレイヴンの身体が強ばる。
もそもそと俺を見上げて来る顔は寒さのせいだけではなく、赤い気がする。
「また、人のことからかって。いつも戯れに抱きしめるじゃないですか」
「それは、抱き心地がいいし?」
「抱き心地って……」
「最近はレイちゃんしか抱きしめてねぇけどなァ?」
ニッと笑って見下ろすと、レイヴンが困ったように視線を逸らした。
「そ、そうですか……」
「なぁ、折角綺麗な景色なんだしよ、もうちょい愉しもうぜ?」
「……何か、嫌な予感が……」
「いくら俺でもココじゃ寒くてしな……」
「それ以上言わないでいいですっ! 分かったから!」
俺から離れようとするレイヴンを腕の力を緩めて少しだけ開放する。
革手袋のまま、試しに頬に触れてみると冷たそうに顔を顰める。
「やっぱ手で直接触れた方が好みか?」
「好みというか、なんというか……触れる事前提で言われても困りますけど、何か変な感じはします。って、別にわざわざ左手だけ外さなくても……」
「まぁ、手のほうが感覚がそのまま伝わるから、冷たくても柔らかい頬が分かるからな」
「分かりましたけど、そんなに撫でられましても……」
擽ると一応逃げはしないので、雰囲気を重視してなるべく紳士的に微笑みかけてみる。
「なぁ、このままキスしていいか?」
「……え、あ……」
雰囲気に飲まれているレイヴンが返答に困って視線を彷徨わせた。
そんなに顔違うか? 何か優しさ重視すると、レイヴンがいつもやたらと大人しくなるのは気のせいじゃなさそうだが。
まぁ、こういう景色の時は大げさに優しくしてもいいかもしれねぇな。
じゃあ、ココは寂しそうな顔でもしてみるか。
で、なるべく、甘い感じで。
「ダメか?」
「う……こ、こういう時だけ、そういう感じなの、ズルい、し。何か、断りにくい……」
「なら、いいか?」
「…………」
顔を赤くしたレイヴンは返事の代わりに観念したのか、目を閉じた。
少し上向きにさせて、そっと顔を寄せる。
相変わらず、まつげ長いよなぁ。
少し見つめてから、ゆっくりと優しく唇を合わせた。
「ん……」
「今日のレイも、凄く可愛い」
「……っ」
俺の言葉に驚いて目を開くが、至近距離なことに照れて、寒さと共に耳まで赤くする。
「だから、男に可愛いって言っても……」
「そうだな……雪景色と、レイの髪、白と黒が幻想的で綺麗だ。これが魔法じゃなくて現実だっていうのが、な」
「変なモノ、食べました……?」
「まぁ、貴族の嗜みだな。って言っても、そんなに大したこと言ってないが」
フッ、と笑うと、レイヴンが嗜み……と、反芻する。
「魔法使いの魔法でも、ここまで美しい景色と溶け込むのは難しいってことだ。ってなれば、必然的にレイが魅力的ってことになるだろ?」
「ホント、そんなに褒め称えられても……どう反応したらいいのか分かんないんですけど……」
「俺が普通なことを言うと否定するが、見目麗しいって言われてるじゃねぇか」
「それは、その……優しい皆さんが俺の良さそうなところはそこかなと言ってくれてるというかなんというか……」
唇を触れるか触れないかの位置まで近づけると、レイヴンが反射的に目を瞑る。
「いいじゃねぇか。ホントのことなんだし。俺に絵心があったら風景と一緒に描きたいところだが、記録用魔道具で記録してみるのも……」
「わ、分かったから。何か凄く恥ずかしいので……俺も優しいテオが……」
そっと目を開こうとしたので、笑んでまたキスをした。
10
お気に入りに追加
118
あなたにおすすめの小説
すずらん通り商店街の日常 〜悠介と柊一郎〜
ドラマチカ
BL
恋愛に疲れ果てた自称社畜でイケメンの犬飼柊一郎が、ある時ふと見つけた「すずらん通り商店街」の一角にある犬山古書店。そこに住む綺麗で賢い黒猫と、その家族である一見すると儚げ美形店主、犬山悠介。
恋に臆病な犬山悠介と、初めて恋をした犬飼柊一郎の物語。
※猫と話せる店主等、特殊設定あり
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
俺は魔法使いの息子らしい。
高穂もか
BL
吉村時生、高校一年生。
ある日、自分の父親と親友の父親のキスシーンを見てしまい、平穏な日常が瓦解する。
「時生くん、君は本当はぼくと勇二さんの子供なんだ」
と、親友の父から衝撃の告白。
なんと、二人は魔法使いでカップルで、魔法で子供(俺)を作ったらしい。
母ちゃん同士もカップルで、親父と母ちゃんは偽装結婚だったとか。
「でさ、魔法で生まれた子供は、絶対に魔法使いになるんだよ」
と、のほほんと言う父親。しかも、魔法の存在を知ったが最後、魔法の修業が義務付けられるらしい。
でも、魔法学園つったって、俺は魔法なんて使えたことないわけで。
同じ境遇の親友のイノリと、時生は「全寮制魔法学園」に転校することとなる。
「まー、俺はぁ。トキちゃんと一緒ならなんでもいいかなぁ」
「そおかあ? お前ってマジ呑気だよなあ」
腹黒美形×強気平凡の幼馴染BLです♡
※とても素敵な表紙は、小槻みしろさんに頂きました(*^^*)
今世はメシウマ召喚獣
片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。
最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。
※女の子もゴリゴリ出てきます。
※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。
※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。
※なるべくさくさく更新したい。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

拝啓お父様。私は野良魔王を拾いました。ちゃんとお世話するので飼ってよいでしょうか?
ミクリ21
BL
ある日、ルーゼンは野良魔王を拾った。
ルーゼンはある理由から、領地で家族とは離れて暮らしているのだ。
そして、父親に手紙で野良魔王を飼っていいかを伺うのだった。
暁にもう一度
伊簑木サイ
ファンタジー
成り上がり貧乏辺境領主の後継者ソランは、金策のため、「第二王子を王太子になるよう説得できた者に望みの褒美をとらす」という王の頼みごとを引き受けた。
ところが、王子は女嫌いということで、女とばれないよう、性別を隠して仕えることになる。
ソランと、国のために死に場所を探している王子の、「死なせない」と「巻き込みたくない」から始まった主従愛は、いつしか絶対に失いたくない相手へと変わっていく。
けれど、絆を深めるほどに、古に世界に掛けられた呪いに、前世の二人が関わっていたと判明していき……。
『暁に、もう一度、あなたと』。数千年を越えて果たされる、愛と祈りの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる