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番外編SS
それは幻想的な魔法みたいで 3<#2022BL_Xmas>
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飛んだ先は丘の上。
アレーシュの城下町からほど近いが、あまり来るやつはいない。
ここまで来るには少々危険だと言われている森を抜ける必要があるからだ。
町の住民が来ることが許されていないし、野良の魔物と出くわす可能性があるから、どうしても来るのならばそれなりの腕がねぇと無傷では来られないかもしれない。
一人になりたいときはここに来て寝転んで空を見ていた。
ガキの頃に抜け出して、うまいこと魔物をすり抜けて時間を潰しに来てた場所だ。
「もうすっかり夜ですけど、なんだか凄く寒いですね」
レイヴンの吐く息は白く、辺りの空気は澄んでいて冷たさが染みる。
準備はしといたし、いざとなったらいくらでも身体も温めようはあるが何もしないと寒いよな。
「お、降ってきたな」
何かを受け止めるように手を差し出すと、空から白い何かが、ふわり、ふわり、と落ちてくる。
レイヴンも驚いて空を見上げながら、落ちてくる白い何かを受け止めようと両手を合わせるが、それは手袋に白い点だけを残して消えてしまう。
「空から、白い何かが降って……?」
「雨みたいだろ? これは雪だ」
「ユキ?」
「あぁ。一応魔法でも似たようなものは出せるがな。氷属性の変化型だが、知っていないと形にはできないか」
指をパチンと鳴らす。
白い粒状の雪をクルクルと回転させて、ちょっとした柱を作り出す。
もう一度パチンと鳴らすと、それらは弾けて消える。
「これが今、降ってきているのと同じなんですか?」
「まあ、似たような物だ。しかし今日降ってきているのは少し積もるかもしれねぇな。サラサラしてるだろ?」
「確かに……木に降りかかってきてますよね」
「少しずつ降りが強くなってきたから、あんまりにも寒くなったら戻るが。ココは穴場だから人気もねぇし、ゆっくり楽しめるぞ」
俺がそう言うと、レイヴンは楽しそうに笑って目一杯両腕を広げた。
「寒いですけど、なんだか凄く楽しいですね」
「まぁな。初めて見ると大体そんな感じになる。俺は随分前にひとしきり楽しんだから大人しくレイちゃんを見守ってやるよ」
「何ですかそれ、こういう時だけ大人ぶるのおかしくありませんか? まぁいいですけど……」
俺は木に寄りかかって、レイヴンの観察を始める。
レイヴンは諦めて、空から降ってくる雪と一緒にそこらでクルクルと回って遊び始める。
「暫くしたら遊ぶか?」
「無理しないでもいいですよ? 大人は休んでいていただいても」
笑うレイヴンは白に紛れて、キラキラと輝いて見える。
何か、こういうのも絵になるヤツは得だよなぁ。
髪が黒いから、雪の白さと映えるんだな。
絵の才能はねぇが、綺麗なものは分かる。
「あんまりはしゃいで転ぶなよ?」
「転びませんよ! わっ!」
「言う側から滑ってんじゃねぇか」
「テオが話しかけてくるからです!」
煙草でも吸おうかと思ったが、暫く綺麗なものを見ていたくなって、両腕を組んで目に焼き付けておくことにした。
+++
足元に積もってきた雪で玉を作って投げたり、雪を使ってウサギを作ったりして遊んでいたが、大分身体も冷えてくる。
「すっごく楽しいですね! でも、流石に寒くなってきました」
「俺はさっきからずっと寒さに耐えてるんだよな。レイちゃん、コッチ来い」
俺が手招きすると素直に寄ってくる。
珍しいのでそのまま手で引っ張り込んで抱きしめる。
身体は大分冷え切っていて、髪には雪がかかっている。
俺は木の下にいたからそこまでじゃねぇが、レイヴンは雪だらけだ。
軽く髪の毛についている雪を払い、暖をとるようにすっぽりと身体を包み込む。
アレーシュの城下町からほど近いが、あまり来るやつはいない。
ここまで来るには少々危険だと言われている森を抜ける必要があるからだ。
町の住民が来ることが許されていないし、野良の魔物と出くわす可能性があるから、どうしても来るのならばそれなりの腕がねぇと無傷では来られないかもしれない。
一人になりたいときはここに来て寝転んで空を見ていた。
ガキの頃に抜け出して、うまいこと魔物をすり抜けて時間を潰しに来てた場所だ。
「もうすっかり夜ですけど、なんだか凄く寒いですね」
レイヴンの吐く息は白く、辺りの空気は澄んでいて冷たさが染みる。
準備はしといたし、いざとなったらいくらでも身体も温めようはあるが何もしないと寒いよな。
「お、降ってきたな」
何かを受け止めるように手を差し出すと、空から白い何かが、ふわり、ふわり、と落ちてくる。
レイヴンも驚いて空を見上げながら、落ちてくる白い何かを受け止めようと両手を合わせるが、それは手袋に白い点だけを残して消えてしまう。
「空から、白い何かが降って……?」
「雨みたいだろ? これは雪だ」
「ユキ?」
「あぁ。一応魔法でも似たようなものは出せるがな。氷属性の変化型だが、知っていないと形にはできないか」
指をパチンと鳴らす。
白い粒状の雪をクルクルと回転させて、ちょっとした柱を作り出す。
もう一度パチンと鳴らすと、それらは弾けて消える。
「これが今、降ってきているのと同じなんですか?」
「まあ、似たような物だ。しかし今日降ってきているのは少し積もるかもしれねぇな。サラサラしてるだろ?」
「確かに……木に降りかかってきてますよね」
「少しずつ降りが強くなってきたから、あんまりにも寒くなったら戻るが。ココは穴場だから人気もねぇし、ゆっくり楽しめるぞ」
俺がそう言うと、レイヴンは楽しそうに笑って目一杯両腕を広げた。
「寒いですけど、なんだか凄く楽しいですね」
「まぁな。初めて見ると大体そんな感じになる。俺は随分前にひとしきり楽しんだから大人しくレイちゃんを見守ってやるよ」
「何ですかそれ、こういう時だけ大人ぶるのおかしくありませんか? まぁいいですけど……」
俺は木に寄りかかって、レイヴンの観察を始める。
レイヴンは諦めて、空から降ってくる雪と一緒にそこらでクルクルと回って遊び始める。
「暫くしたら遊ぶか?」
「無理しないでもいいですよ? 大人は休んでいていただいても」
笑うレイヴンは白に紛れて、キラキラと輝いて見える。
何か、こういうのも絵になるヤツは得だよなぁ。
髪が黒いから、雪の白さと映えるんだな。
絵の才能はねぇが、綺麗なものは分かる。
「あんまりはしゃいで転ぶなよ?」
「転びませんよ! わっ!」
「言う側から滑ってんじゃねぇか」
「テオが話しかけてくるからです!」
煙草でも吸おうかと思ったが、暫く綺麗なものを見ていたくなって、両腕を組んで目に焼き付けておくことにした。
+++
足元に積もってきた雪で玉を作って投げたり、雪を使ってウサギを作ったりして遊んでいたが、大分身体も冷えてくる。
「すっごく楽しいですね! でも、流石に寒くなってきました」
「俺はさっきからずっと寒さに耐えてるんだよな。レイちゃん、コッチ来い」
俺が手招きすると素直に寄ってくる。
珍しいのでそのまま手で引っ張り込んで抱きしめる。
身体は大分冷え切っていて、髪には雪がかかっている。
俺は木の下にいたからそこまでじゃねぇが、レイヴンは雪だらけだ。
軽く髪の毛についている雪を払い、暖をとるようにすっぽりと身体を包み込む。
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