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第五章 漸くモノにした魔塔主と少し素直になれた弟子
132.煙草の香り
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「ちゃんと、言えたじゃねぇか。イイコだ、レイ」
「……明日には忘れてください」
「それはどうだろうな?」
「言えって言われたから言っただけですから。それに、元々人間性以外は尊敬してるし、いつか追いつきたい憧れの人ですから。そんな人が俺にべた惚れって思えば、優越感? ですよね」
「そうだなァ。レイちゃんに命令されたら国の一つや二つ取ってきてやるよ。なんせ魔塔主様だからな」
触れるだけのキスをして、強がりの饒舌で恥ずかしがっているレイヴンを宥める。
まだまだ愛したりねぇんだよなぁ。
今のうちに畳み掛けたいところだが、レイヴンも色々と余裕なさそうだしな。
何とかヤりたい気持ちを押し隠して大人の余裕を見せつけてやろうと、自然な動作で一緒にベッドに横になる。
「明日は後片付けしねぇといけないんだよなぁー。面倒臭ぇな」
「だから、もう寝ますよ? 俺もここで寝ますから……」
レイヴンは色々と見なかったことにして、ブランケットを引き寄せると無理矢理にでも眠ろうと目を瞑る。
「なぁ、もう面倒だし。部屋、一緒にしたらいいんじゃねぇか?」
「嫌ですよ……ただでさえ、部屋の中が煙いのに。俺まで煙くなる」
今いるベッドも、ブランケットも、煙草の残り香がしている。
それは俺の部屋だから当然だが、文句をもっと言いたいのを我慢してそうだな。
自分の身体に染み付くのは困る、と。レイヴンが俺の提案を無視して俺から距離をとろうとする。
「残念だが……最近のレイちゃんはマーキングされてるから、俺の香りも濃いんだよなぁ。周りの奴らも気付いてるんじゃねぇ?」
スン、と髪の香りを吸い込むと、レイヴンの香りと自身の煙草の香りが混ざっているのが良く分かる。
香りが移るっていうのも、イイことだ。
それだけ俺の側にいるってことだからな。
「元々、側にいるから気にしてたのに……朝一で落とさないと人前に出られないじゃないですか。もう、禁煙して欲しい……」
「したところで、香りなんてもんは混ざるだろうが。ホント、妙なところを気にするよなぁ。俺とお前のことなんて、知らねぇヤツの方が少ないんじゃねぇ?」
事もなげに言い放ったせいか、真に受けたレイヴンがブランケットを頭までスポリと被ってうなり始める。
「あぁぁぁ~……っ……分かりましたから、もう、言わないで。こうなってる時点で、敗北してるんだ……だから嫌だったのに!」
「なんで勝ち負けになってんだよ。大げさだな」
「なんでもありません! おやすみなさい!」
一人で照れたりむくれたり忙しいレイヴンを落ち着かせるようにブランケットの塊ごとポンポンと叩き、これ以上は刺激しないように俺も目を閉じて眠りにつくことにした。
「……明日には忘れてください」
「それはどうだろうな?」
「言えって言われたから言っただけですから。それに、元々人間性以外は尊敬してるし、いつか追いつきたい憧れの人ですから。そんな人が俺にべた惚れって思えば、優越感? ですよね」
「そうだなァ。レイちゃんに命令されたら国の一つや二つ取ってきてやるよ。なんせ魔塔主様だからな」
触れるだけのキスをして、強がりの饒舌で恥ずかしがっているレイヴンを宥める。
まだまだ愛したりねぇんだよなぁ。
今のうちに畳み掛けたいところだが、レイヴンも色々と余裕なさそうだしな。
何とかヤりたい気持ちを押し隠して大人の余裕を見せつけてやろうと、自然な動作で一緒にベッドに横になる。
「明日は後片付けしねぇといけないんだよなぁー。面倒臭ぇな」
「だから、もう寝ますよ? 俺もここで寝ますから……」
レイヴンは色々と見なかったことにして、ブランケットを引き寄せると無理矢理にでも眠ろうと目を瞑る。
「なぁ、もう面倒だし。部屋、一緒にしたらいいんじゃねぇか?」
「嫌ですよ……ただでさえ、部屋の中が煙いのに。俺まで煙くなる」
今いるベッドも、ブランケットも、煙草の残り香がしている。
それは俺の部屋だから当然だが、文句をもっと言いたいのを我慢してそうだな。
自分の身体に染み付くのは困る、と。レイヴンが俺の提案を無視して俺から距離をとろうとする。
「残念だが……最近のレイちゃんはマーキングされてるから、俺の香りも濃いんだよなぁ。周りの奴らも気付いてるんじゃねぇ?」
スン、と髪の香りを吸い込むと、レイヴンの香りと自身の煙草の香りが混ざっているのが良く分かる。
香りが移るっていうのも、イイことだ。
それだけ俺の側にいるってことだからな。
「元々、側にいるから気にしてたのに……朝一で落とさないと人前に出られないじゃないですか。もう、禁煙して欲しい……」
「したところで、香りなんてもんは混ざるだろうが。ホント、妙なところを気にするよなぁ。俺とお前のことなんて、知らねぇヤツの方が少ないんじゃねぇ?」
事もなげに言い放ったせいか、真に受けたレイヴンがブランケットを頭までスポリと被ってうなり始める。
「あぁぁぁ~……っ……分かりましたから、もう、言わないで。こうなってる時点で、敗北してるんだ……だから嫌だったのに!」
「なんで勝ち負けになってんだよ。大げさだな」
「なんでもありません! おやすみなさい!」
一人で照れたりむくれたり忙しいレイヴンを落ち着かせるようにブランケットの塊ごとポンポンと叩き、これ以上は刺激しないように俺も目を閉じて眠りにつくことにした。
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